愛する人を失う恐れ

私の父は交通事故で亡くなりました。
高校2年生の冬、いつもの通り出勤した父はそのまま
帰ってきませんでした。
当時、思春期で父とはあまり深い会話はなく、
私はあまり悲しさを感じていないように、感じました。
そんな自分を冷たいと思いました。

しかし、急にいなくなったことに対して、
怒りや、不条理な思いを持っているようです。
それも、気がつきませんでした。

日本の教会で内的癒しのようなセミナーがあるとき、
講師の先生にどんな人生を歩んできたかを聞かれました。
父が亡くなったことに対して、
「あなたが父親を必要としている時に、すでにいなくなっていて
ごめんなさい」と、父になり代わって（？）なのか、
そのように言われたことがあります。

その時も自分は言われて気分がほぐれたとか、
これが聴きたかった言葉だ！とは思わず、
「ふ～ん、そういうのが必要なのか？」と
結構冷静な気持ちで聴いていました。

いつも定期的に連絡をくれている人から、
連絡がなくなると、私は突如不安になる事があります。
必要以上に不安になるらしいことが分かりました。
その人の存在が亡くなってるんじゃないかと
リアルに不安になるのです。

今日はセルの交わりがサムエルⅡで、ダビデがヨナタンの死の知らせを受ける
悲しみを描いた場面が取り扱われました。

悲しみという感情は、悲しい出来事が起こらなくても
それを想像しただけで、とても悲しい。
私は次に愛する家族や友達を、理不尽だと自分が感じる状況の中で失うとき
神様にこういう風に言うと思いました。

「神様は私のお父さんも連れて行った。
そして、この人も連れて行くんですか？！」

私は、神様を第一に愛していると思っていながら、
現実的には、まだまだ神様のなさる事に、納得していない事を
知りました。
お父さんを突然連れて行ったことに対して、私は神様に怒りを
持っているんじゃないかと思います。
人間が目に見える範囲は、ほんの少しで、理解できる事もほんの少し。
神様が全世界を治め、私たちに最善を約束してくださっていても、
私の信仰は、まだまだ全然弱いことを感じました。

独りにされることが怖いんだと思います。
お父さんが私を置いていったから…。
結局は神様も私を独りになさるんじゃないかと
思っているんじゃないかと思います。

父が亡くなったときには、私が一番ショックを受けてないように
思えて、その事自体にかなりショックを感じましたが、
家族を失うこと、自分の命を生み出してくれた存在の
生死って、あとあとまでずっと影響を持つものなんだと思います。
その時は、平気なように自分自身が感じていたとしても、
そうではなかったり、後で悲しみが押し寄せてきたり。

神様が、悲しさという感情を人間に与えておられる事が、
どういう意図があってそうなさるのか、理解していきたいと思います。
イエス様が涙を流されている場面には、
人の死の場面もありました。
家族の死に泣いている人のところに行って、
一緒に泣かれました。

神様は御心のとおりを地上に為す事のできるお方だけれど、
その同格であられるイエス様は、生死を自由に出来る権威を
持っておられつつも、死に泣いている「人」の、感情と涙に
寄り添われたんだと思うと、とても、慰めを受けます。

私は、信仰の弱い者なのですが、
また、信じていても、人の死や、一時的にでも
愛する人に先立たれるということは辛い感情を伴いますが、
その感情に、神様は理解を深く表してくださるのですね。

私の感情は、私の心の根にあるものを教えてくれます。
感情は揺れ動くものですが、
根底にある問題点に気がつくきっかけを与えてくれます。
心の表面に表出するものだからです。

問題点も今日少し悟りました。
祈らなければならない課題も、
私の弱さも、悟りました。
神様に対して罪を犯している部分も目を留めることが出来ました。

お父さんの存在を通し、
いなくなったけれども、存在してくれていた歴史と、
いなくなった事実を通して、今の私は、まだ成長を受けている気がします。
父は、私を今も育てています。

そして、天の父も全ての歴史と出来事を通して、
私を育てていらっしゃるようです。