可哀想なAくん

弟Ａくんの話。

「くるりちゃんに煽り運転された話したっけ？」

「誰が煽られたの？」

「オレ」

「聞いてなーい」

先日の現場からの帰り。Aくんの運転する車に、車間距離を開けずにびっちびちにくっついて来る車がいたそうだ。

鬱陶しかったので急ブレーキをかけてみたところ、その車はクラクションを鳴らしながらAくんを追い抜いて面前で急停車。

（急ブレーキなんてやめてー）

男がわーわー言いながら降りて向かってきたとか。

「えー？こわー、大丈夫だったの？」

「うん。何言ってるかわかんないからオレも降りて、なーにー？って聞いてやったんだよ」

「うんうん」

「そしたらさ、そいつ、この辺にタバコの自販機ありませんか？って聞いてきたんだよ」

「えっ？」

「だから、知るかよ、その辺のセブンで売ってんだろ、今オレの顔見て態度変えただろ、失礼だろ、って言ってやったの」

「Aくんが言ったの？」

「言った。そしたら、すんませんだって。」

30歳前後の男性だったそうだ。Aくんが無事でよかったし、笑い話だけど。その人、車から降りてきてどうしたかったんだろう？短気は損気よ。

Aくんは優しい良い子だ。が、見た目がイカツイ。

ちなみにマイケルは、わたしの弟だから話できるけど、じゃなかったら怖くて話せないという。なんて酷いことを言うんだ！

桜が咲いたと上ばかり気にしていたら、いつの間にかツツジが満開だ。春はどっと押し寄せてくる。