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ロンドンから徒然に

天才と天才達 ~ Picasso and Modern British Art

2012-02-19 | アート
 前回触れた草間彌生が、統合失調症で現在も闘病生活を送りつつたくさんの作品を生み出しているのはご存じの通りで、それによって起きる幻覚や幻聴が作品にも影響を与えているとよく言われます。

 精神の“病”というのは特に最近になって分析が進んだせいかよく取り沙汰されますが、これだけおかしくなっている社会に“適応”している僕たちの方が(いや、僕はあまり十分に適応しているとは言えないけど・笑)むしろおかしいんじゃないだろうかと思うことがよくあります。

 まぁ、そのあたりはともかく、アーティストの目には一般の人が見ているものとは違う形が映っており、それゆえそれらが描き出された作品を見て、自分の内面の目が驚いてしまうのでしょう。そしてそれらのアーティストを僕らは天才と呼んでしまいます。
 
 その意味では子供の頃からずっと好きだったのがピカソです。彼の絵を見ているとひとりでいつまでも空想の世界で遊ぶことが出来ました。おとなになってからは、作品数が多いこともあって、各国の美術館で初めて発見する作品が多いことも楽しみのひとつです。

 2月のロンドンは新しい展覧会のラッシュで、今度はテート・ブリテンでピカソの絵を中心にした《Picasso and Modern British Art》が始まりました。



 タイトル通り、ピカソに影響を受けたと公言しているイギリスのアーティスト7人(ヘンリー・ムーア、フランシス・ベーコン、デイヴィッド・ホックニーを含む)の作品を並行して展示する試みです。

 イギリスではこういった企画が受けるのか、同じようなテーマで何回か見たことがあります。その中でももう10年ほど前(この時は旅行で来たロンドンですが)にテート・モダンで開催された《Matisse Picasso》は秀逸でした。この場合はマチスが先輩になるわけですが、互いに影響を受け合うふたりの天才アーティストの作品の対比が非常に興味深かったです。

 さて今回の展覧会は?
 ピカソの作品には《The Three Dancers》を始めとする見応えのあるものも含まれていて楽しめたのですが、全体の印象で言うと何故か少し薄味に感じてしまいました。他のたくさんのアーティストと並べることで今回は何故だか逆に少しインパクトが薄まってしまったような気がします。この天才が他の天才達を圧倒し過ぎたのかな。

 もっとも都合で時間がなくて少し駆け足で見てまわってしまったという自分の側の理由によるものかもしれません。7月半ばまで続くようなので、もう一度ゆっくり楽しんでこようと思います。