HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

David Hockney展

2012-02-05 | アート
 昨年は一度も真冬用のコートに袖を通しませんでした。そのくらい例年よりも暖かい気候が続いたロンドンですが、ここ一週間ばかりは0度を下回る日もあり、なんだか“懐かしい”気がする空気感に震えています。

 それでもロンドンの人にとって重要なのは、寒さよりもむしろ空模様らしく、どんなに寒くても青空が覗いているのならHappyだとのことです。確かにその意味ではどんよりしたあの灰色の空でなければ、気持ちは暗くなりません。

 ところが昨日はどうにも怪しげな重たい曇り空で、もしやと思ったら案の定、夜から雪。今朝起きたら見事に積もっていました。この冬初めての雪です。




 そんな中久しぶりに美術館に出かけました。Royal Academyで最近始まった《David Hockney RA : A Bigger Picture》。
 日曜日ということもあってか、チケットを買い求める人の長い列が出来ていましたが、幸い僕はサポート・メンバーなのですぐに入ることができました。

 デイヴィッド・ホックニーは言うまでもなくイギリスを代表する現代画家ですが、今はLAに定住して活動を続けています。
 しかし今回の作品はEast Yorkshireの“風景画”が中心。しかもここ数年の作品が多く、今年75歳を迎える彼の精力的な活動には感心します。



 作品は同じ場所が季節を変えて描かれ、展覧会のタイトル通りスケールの大きなものが多いのですが、そのヴィヴィッドなカラーには遠くからでもやっぱり目が惹き付けられてしまいます。

 興味深かったのは、iPadを使って作成された作品群。それらが巨大に引き延ばされて展示され、従来のものとはまたタッチの違う独特の世界を創り出していました。こういった風に技術の進化を軽々と自分のものにして、アートの高みにまで昇華してしまうのはすごいですね。

 僕らはどうもその技術の進化たるツールに振り回されているようで、何を目指しているのかを忘れがちになりそうな感があります。手段はあくまで手段で、大切なのはそこじゃないですもんね。