最新式ではないのですが、ベローズタクマーから綿々と続く100㎜マクロレンズで、最新式は防滴構造になっているのですが、明るくなって使いやすくなった、現代のマクロレンズです。その中にあって絞りリングや太いピントリングなど、昔からの雰囲気を残している、フィルムカメラからのユーザにしてみれば有難い存在のレンズです。
今ではカメラもミラーレスで、カメラでレンズの設定のすべてを行うようになりましたから、ある意味味気ない雰囲気でピントリングはかなり細くなってしまい、絞りリングも姿を消してしまったという事になります。しかし、フィルムカメラも使うユーザにしてみれば、絞りリングが無くなると設定すらできなくなってしまいますから、ある意味困った雰囲気になります。
フィルムカメラに装着すると、*ist以外は絞り解放以外の選択肢が無くなってしまいますので、背景ボケの雰囲気や解像感のことを考えると、やはり絞りリングが必要になってきます。何しろ絞り解放のままで撮影するわけにもいきませんから、もう生産終了になっている昔のD FAマクロレンズを購入したという事になります。
いくら絞りリングが付いていて、防滴構造になっていなくてもそこはD FAレンズという訳で、コーティングも中のレンズ構成も現代レンズですから、昔レンズの癖を愉しむことはできないのですが、現代レンズの優等生の写りを手に入れる事が出来ます。色々迷ったのだけれども、買って良かったと思わせてくれるレンズで、今では撮影行の良き相棒レンズになってくれています。
今の最新式レンズではないので、インナー・フォーカスではなくて、近接時には前玉がにょきにょきと伸びます。等倍近くではレンズフードの先端に前玉が来てしまいますので、レンズフードの効果が無くなってしまい、逆光や遮光に注意しながら撮影を行う必要があります。しかし、コーティングが結構踏ん張ってくれて、フレアまみれになるという事もあまりありません。
それでもフローティング機構が採用されている訳で、マクロレンズでも望遠レンズでも使えるという事は有難くて、これ1本あれば望遠レンズを持って行かなくても良い簡便さがありますから、気軽に撮影行に出かけられるようになったと言う所です。昔のタクマーでは、マクロタクマーを持ち出した後で、望遠レンズや標準レンズを装着してもう一度撮影行に出向くことがありましたから、結構便利という感じです。
しかし、優等生的な写りというのも結構味気ないという感じで、レンズ自体の味わいも少ないですから、時々マクロタクマーやタクマーレンズを持ち出して、レンズの持つ味わいを堪能しているという事になります。昔レンズは何しろ分散レンズも非球面レンズもありませんから、何とか収差が現れてこないように調整を行っている訳で、残された収差が味わいとなって出てきます。
予想通りD FAマクロレンズ一辺倒になる事も無くて、いろいろなレンズを取り換えながら楽しんでいるという事になります。タクマーにしか出せない雰囲気もある訳で、そろそろこの被写体だからこのレンズにしようと考えている訳です。その一つの選択肢に望遠もマクロも出来るこのレンズがある訳で、スナップでマクロ撮影を行うには最適のレンズです。
梅雨もそろそろお終いの時期になってきて、晴れ間が出る時間帯が少しずつ長くなってきました。とはいえ梅雨の時期のムシムシとじめじめはある訳で、たまに雨が降ったりしますから、このレンズがあるとすぐにスナップ間隔で撮影が行えて、大変便利という事が出来ます。梅雨が明けたらこのレンズにしようと考えながら、歩き回るのも良いものです。
それでは、今月中旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-5 SMC Pentax-D FA Macro 100mmF2.8
撮影データ:1/500sec F3.5 ISO100
夏が近づくとヤブカンゾウの花という感じで、緑色の葉の中で、オレンジ色はひときわ目立つ感じです。すぐ咲き終わってしまうのですが、別の場所で咲きだしたりしますので、結構長い間楽しめる花でもあります。