01/03 私の音楽仲間 (349) ～ 私の室内楽仲間たち (322)
初めチョロチョロ 終りポッポ
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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現場に急行せよ
アメリカ広し
ドヴォジャーク (Dvořák) の人気曲 『アメリカ』 は、
ちょっと変わった形で始まります。
［譜例①］は、その第Ⅰ楽章の冒頭です。 最初の小節は
"拍の頭が休符" ですね。
もし予備知識が無く、パート譜だけを見ていると、演奏者
でさえ面食らってしまいます。 ましてや、初めて聴く方は
なおさらでしょう。
チェロが加わり、２小節目の頭で長い音が聞えると、やっと
一安心。 "細かい音" を無意識に数え始めます。 「どうやら
４拍子らしいな」…と感じたところで、Viola が登場してくる…
という仕組みになっています。
わざわざ "いい加減な" 始め方をするなんて、なぜ？
どうも作曲者は、敢えて明確なリズム感を、「与えまい」
…としているようです。
"pp" と書かれた３パートは、努めて "背景に徹し"、Viola
には、思いっきり伸びやかに弾いてもらいたいところです。
"白いキャンバス"…といったところでしょうか。
ただしこの背景、無造作に登場していますが、ちゃんと
テーマを準備しています。 この "３度の音程" は、テーマ
の重要な素材ですね。
楽譜をよく見ると、これはあちらこちらで顔を出しています。
この譜例の最後の小節では、３度の音程関係が、さらに
発展し、"主題の締めくくり" モティーフになっています。
［譜例②］は、一挙に跳んで、楽章の最後の部分です。
先ほどの "３度の音程"、そして "締めくくり" のモティーフ
が、ここでも登場しています。
また、［譜例①］で Viola に見られた "４つの音符" は、
ここではチェロに聞かれます。
ただし、音符の順番などが、ちょっと変化していますね。
これ、どこかで聞き覚えが…。
そう、例の交響曲『新世界より』でも、頻繁に登場している
形です。 本来はもっと長い音符で、どれも２倍以上の長さ。
まずフルートの低音域に登場する主題でした。
この２曲、もちろん両方ともアメリカで作られています。
次の［譜例③］は、同じ "アメリカ" の第Ⅰ楽章から。
［譜例②］の、ちょっと前の部分で、第二主題が ViolinⅠで
再現されたところ。 練習番号 "17" から４小節間あります。
すぐその後で、同じテーマをチェロが奏でますが、それは、
ちょっとした "事件" なのです。 最初にこのテーマが登場
したときには、いつも Vn.Ⅰが弾いていましたから。
そして、他の３人がここで刻むのは、"シュッシュッ ポッポッ"
…という形です。 いや、"ポッポッ シュッシュッ" かな？
実はここに来るまで、"シュッシュッ" だけの形なら、何度も
出てきていました。 でも、明らかな "汽車ポッポ" は、ここで
初めて聞かれます。
これ、ひょっとして、作曲者が汽車に乗って、喜んでいるの？
所は北アメリカ大陸です。
彼の汽車好きは有名で、それも徹底していました。
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"シュッシュッ" は、他の楽章にも頻繁に出てきます。
また第Ⅳ楽章では、さらに別の "快速ＳＬ" まで登場します。
［第Ⅰ楽章 の終りの部分の演奏例］の音源は、
［譜例③］のだいぶ前から始まり、終着駅は［譜例②］
です。
ここで汽車に乗っているのは、Violin 私、Ｓａ.さん、
Viola Ｓ.さん、チェロ Ｓｕ.さんです。 潤滑油切れで、
連結不良の箇所もありますが、どうぞお赦しください。
［譜例③］
［譜例②］
［音源ページ］
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