11/09 私の音楽仲間 (529) ~ 私の室内楽仲間たち (502)
現場に急行せよ
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ドヴォジャーク (Dvořák)の弦楽四重奏曲 ヘ長調 『アメリカ』。
Ⅰ~Ⅳのうち、もっとも短いのは第Ⅲ楽章ですが、
音楽になりにくい。 難敵だらけなのです。
速い 3/4拍子で、“Molto vivace” と書かれている。
譜例は、9小節目からの様子です。
「楽譜を見ないで、いきなり音楽を聞くと、一拍ずれて
聞えるよ。」 そんな感想をよく耳にします。
最初の数小節をご覧ください。 数字の “1、2、3…”
の上に、×印がありますね。
「長い音は1拍目、短い音は3拍目?」 長い音には
アクセント(>)があるので、よけいにそう聞えやすい。
これ、どう弾いたらいいのか? 私も長年悩み続けています。
今のところは、こんなふうに考えています。 【提案 1】
聞き取りにくくて恐縮ですが、「基本的なリズム感は…」と
喋っています。
1拍目の8分音符を “短い” と思わず、音量的にも充分
鳴らす。
2拍目の付点4分音符は、“強く” ではなく、長く。 ただ
でさえ不規則なリズムなので、重心がかかりすぎないほう
がいいでしょう。
これ、“軽く、長く”…になりますが、弦楽器でも難しい…。
長いと、どうしても弓の重さが増えてしまいやすいのです。
ヨーロッパ言語、西欧音楽のアクセントが「強さより、長さ
にある」…ことを考えると、そのように処理したほうが、音楽
が安定して聞えるのでは? 後から考えた理由です。
この曲が “純粋な西欧音楽” かどうか。 これには異論
もあるでしょうが、作曲者の記譜から読み取る限り、そう
感じられるのです。
次は、譜例の最後の Vn.Ⅰの形です。 【提案 2】
正確なリズムで弾くのも大変ですが、やはり1拍目
に、歌の重心があるほうがいい。
↑ ↑ ↑ ↑
この二段目には、8分音符がたくさん出て来ます。 “Violin 組”
と、“Viola、チェロ組” と。
これは弾き分けたほうが、全体が安定しやすい。 【提案 3】
“Violin 組” は1拍目から弾き始め、その上、メロディー-
ラインです。 最初の音符は、長さを丁寧に。
“Viola、チェロ組” は2拍目からで、役割はリズム。 重い
よりは軽いほうがいいので、私なら叩き気味に弾きます。
【提案 4】は、その続き。 譜例の先の部分では、Violin
の高音の歌を、今度はチェロが低音で歌うのです。
8分音符も4分音符も、この楽章で小節の頭にあるとき
は、長さを特に丁寧に弾きたいと思っています。
譜例の最後の2小節間では、チェロの1拍目、Vn.Ⅱの
2拍目も同じ。 ただし Viola の “スラー無しの音符” は
軽めに。
【提案 5】は、この先の中間部の音楽についてで、
譜例は前回ご覧いただいたものです。
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先ほどの【提案 2】では、喋っているうちに、音が上ずって
しまった。 なんだか、パトカーが近づいてくるような音程です。
ドップラー効果。
「ヤバい、サツだ、手が回った!」
違うね、救急車だった。 指がもつれたから?
誰が呼んだの?
このときは時間に迫られていて、特に早口。
Violin の S.さんによれば、“Molto vivace” だったそうです。
[音源ページ]