MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

急がば回れ ①

2009-03-18 00:10:00 | 私のオケ仲間たち

03/18  私の音楽仲間 (31) ~



    私のオーケストラ仲間たち (8) 急がば回れ ①






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 私が初めて合宿にお邪魔し、神奈川大学管弦楽団とご一緒
してから、20余年があっという間に過ぎました。



 大昔の話ですが、私などが現役の頃は、学生オケの指導者陣は
指揮者だけ、あるいは、せいぜい弦楽器にトレーナーが一人だけ
ということが、珍しくありませんでした。

 しかし最近の学生オケでは、トレーナーの先生方の人数も増え、
ほぼ "一パートに一人" というのが珍しくないようです。



 このオケでも新しくお目にかかる先生方が増え、いつの間にか
自分も "古株" になってしまったようです。 ただチェロのT.先生、
私に声をかけてくれた、トロンボーンのY.先生は、私より以前から
おいでになる方々です。



 トレーナーの数が多く、パートごとに行き届いている一方で、
その "管理" はさぞ大変でしょう。 合宿に限らず、練習計画
その他、苦労が多いはずです。




 運営面に限らず、パート・リーダーなど、技術面に携わる者も
また、意気込みに燃えています。 自分だけでなく、パート内外
仲間の面倒も見なくてはならないのですから、大変です。

 しかし、具体的な指導方法となると、制約も多いものです。




 この団体との初めての合宿の際、コンマス君と一対一で
練習したことをお話ししましたが、このような少人数の場合は、
誰がやるにしても注意が必要です。 特に仲間同士の間では。



 もちろん、厳しさも必要なのですが、不幸にして、教わる側が
その場で出来ないことがある場合には、逃げ道を残しておいて
あげなければなりません。 いくら "いいオケを作るため" とは
言え、スパルタ式特訓が行き過ぎると、相手は自信や向上意欲
を失ってしまうかもしれません。

 かと言って、指導する側が、「アマチュアだから、このまま下手
でも仕方が無い」という姿勢に偏り過ぎると、何のための練習
なのか、分からなくなります。




 私がよく耳にする、学生さん同士のやり取りに、

(トレーナーなどから) 一度指摘されたことは、もう同じことを

言われないように
、自分たちでしっかりやろう!」

というのがあります。



 素晴らしいことです! でもそれを耳にすると私は、そっと
目をつぶり、下を向いてほほ笑むのです。



 なぜかと言えば、そこには、

 「よし、それぐらいの気持ちでやってくれ! 嬉しいよ。」

という気持ちと、

 「自分の場合だが、一つのことを修正するのに、これまで
一体どれほど時間がかかったろう? 30年かかっても、
まだ途上にあることが、幾つもあるのに…」

という心情の、両方があるからです。



 ほんの一例ですが、もし私が Violin や Viola の人たちに、

「それでは3、4の指の音程が低くならないようにしてね」

と頼んだら、すぐに直るのでしょうか?



 私はすでに毎回のように指摘し、具体的な方法まで指示
しているのですが直りません。 一向に。 20年経っても…。





 意欲は尊い。 しかし、意志だけではままならないのが
楽器演奏であり、合奏であり、また他の諸々の分野の
事柄です。



 (続く)