MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

シベリウス 交響曲第1番 ①

2009-03-20 00:00:50 | 私のオケ仲間たち

03/20  私の音楽仲間 (33) ~



私のオーケストラ仲間たち (10) シベリウスの交響曲第1番 ①






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 個々の技術を "向上" させて "うまい" オケを作るためには、
一体どうすればいいのか、これまでご一緒に悩んできました。



 「必要以上の厳しさ、甘さは禁物」、

 「向上の意志だけでは無理がある」、

 「専門的な分析、助言が必要」、



 などと、色々難しいことを言われてしまい、これでは
"八方塞がり" ですよね。 はっきり言って、 一朝一夕
にはとても無理です。

 特に、"上から押し付けられた" 場合には。




 と言って、指導者としての専門家の存在を、常には
当てには出来ない
難しさを、前回では見てきました。




 技術の中には、一人だけで集中的に練習しさえすれば
"ものになる" ものもあります。

 しかしその一方で、"集団の中でなければ改善できない
こと" も、また多いものです。 また、"その方が重要だ" と
言える場合さえあります。

 特にオーケストラに関わる場合には。



 と申し上げると、「また別の課題や難しさが増えるのか…」
と、がっかりされるかもしれませんね。



 確かに "別のこと" には違いありません。

 しかしそれは単に、結果として練習時間が足し算的に増える
だけなのでしょうか? むしろ、逆に個々や全体が向上する
のに役立つような面は、無いのでしょうか?

 いわゆる "相乗効果" です。




 そのことに触れる前に、これまで私が勝手に引き合いに出した
学生オーケストラさんに、もう一度登場していただきましょう。



 神奈川大学管弦楽団では、現在、シベリウス交響曲
第1番
に取り組んでいます。



 このうち、ここで取り上げる第Ⅱ楽章は静かな歌で始まり、
また歌で終わります。

 しかし、途中で景色は刻一刻と変わります。 音量、リズム、
楽器の音色…。


 
 速くて激しい後半部分は、どの楽器にも細かい音符が多く、
一人でじっくり練習しないと "弾けない" 部分です。 誰でも
こちらを懸命にさらうことでしょう。




 一方、これに先立つ前半の歌の部分は、個々のパート譜を
眺めただけでは、特に問題があるようには見えません。

 しかしここには、様々なリズムが複雑に絡み合った部分が
あります。 それも、歯切れのいい、聞きやすい音符は少なく、
渾然一体と溶け合うように書かれているのです。

 そう、目立たないながら、アンサンブル上の大きな難所なの
です。 その上、"縦の線" をただ合わせればいいのではなく、
"横に"、つまり音楽的に歌うことも要求されているのです。



 テンポはゆっくりめで、それほど大きく変化せず、指揮者は
ほとんどいつも、一小節を "二つに" 振っているだけです。




 音源 [




 (続く)