MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

音楽の贈物 ①

2009-03-23 00:03:38 | 私のオケ仲間たち

03/23  私の音楽仲間 (36) ~



  私のオーケストラ仲間たち (13) 音楽の贈物 ①






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 これまで、個々の技術向上や、"うまい" オーケストラを作る
ことは、一朝一夕には出来ない、また、「目標を、与えられた
課題として捉えるだけでは足りない」と申し上げてきました。



 前回まで、シベリウス交響曲第1番、その第Ⅱ楽章を
聴きながら、アンサンブルの難しさをご一緒に見てきました。

 神奈川大学管弦楽団が、2009年6月14日(日)の演奏会に
向けて取り組んでいるので、この曲を引き合いに出させて
いただきました。




 指揮者の労力を、アンサンブル面で最小限に済まさせる
には、当然のことながら、オーケストラ側の自治能力が必要
です。

 一例として、指揮者に "一つ" 振らせるだけで、その中に2個、
4個、あるいは6個の音符を、演奏者が正確に入れなければ
いけませんでした。

 厳密に。 また自分勝手にテンポを変えずに。



 また、それだけでは充分ではありません。

 練習、特に本番では、何が起こるか分からないので、
仲間の微妙なズレにも対処できるような、余裕と愛情が
あればいい、そんな風にも申しあげました。 




 楽器演奏に携わる私たちは、当り前のことですが、音楽が
好きだからそれを始めました。 しかし一旦楽器を手にして
みると、障害がいかに多いかに気付かされ、唖然としますね。

 特に、いわゆる初心者としてオーケストラを初めて体験した
方にとっては、難題山積! 解決の糸口さえ見えない場合も
多いことでしょう。



 そのような状態で悩んでいる方も含めて、私は今、"楽しみ
のための自発的アンサンブル" を奨励しようとしています。

 弦楽器で言えば、四重奏など、室内楽のことです。 "オケの
アンサンブル" の "核" となる、弦セクションの方々に対して。



 と言っても、まず「オーケストラを良くしたいから」ではない
ことを、くれぐれもお解りいただきたいのです。

 それは結果であり、その前に、もっと大切なものがあるはず
だからです。




 しかし、どちらにせよ、

「それでは "難問" を増やすだけだ、ただでさえオケの曲
だけで手一杯なのに!」

とお考えの方が多いでしょう。



 それではもし、「どちらか、好きな方だけ取っていい」と
言われたら、どうしますか? 「どんなに失敗してもいい
から」という、条件付きで。

 元々、オケをやるためにオケに入られたのですから、
もちろんオケを選ばれて当然かもしれませんね。



 それはそれで、もちろん結構です。 でも私はただ、オケ
もっと楽しむために、別の面からの魅力を体験して
いただきたいと考えているだけです。 一度だけでもいい
から。

 はたして、「オケの曲ほどには面白くない」ものかどうか。
また本当に、「高級すぎて近寄りがたい」ものなのか…。

 でも、まだ体験しないうちに答を出すのは早いようです。
今までその場が無かっただけかもしれません。



 事実私の周りにも、「聴いてよかった、やってよかった」
と言ってくれる若い方々が、たくさんおられます。 中には、

「卒業してしまったが、また合宿に顔を出すなら、そのときは
ぜひ "深夜の儀式" がある夜に来て、一緒に弾きたい」

という、あわれな犠牲者まで。 何人も。




 音楽を楽しむのは、あなた自身です。 他の誰のため
でもありません。 指揮者でも、トレーナーのためでもなく。




 室内楽では、当然のことながら指揮者はいません。
テンポを自分でキープし、周囲の音と気配だけで、
音楽の進行を察知せねばなりません。

 また、自分のパート譜を鳴らすのは自分一人。
音符にも、また休符の勘定にも、自分で責任を
持たねばなりません。 一人一パートですから。

 そして、一旦 "落ちたり"、"走ったり" してズレたら、
再び正確に音楽に乗る努力も、自分一人でしなければ
なりません。



 しかし、室内楽が与えてくれる楽しみ、仲介者無しに、
仲間と直接触れ合って音楽を作っていく独自の楽しみ…。
その魅力は、ここでは語り尽くせません。




 あまり強調し過ぎると、逆効果ですね。 そろそろ
口を閉じるときが近づいてきました。



でも、今まで経験されたことがない方で、

「騙されたつもりで、一度試してみよう…」

という気になった方は、ひょっとしておられないでしょうか…?

 (まだ喋っている…。)




 (続く)