memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

歌舞伎衣装の製作・直し 小堺徹一氏

2015-07-23 14:14:51 | ART
2013年の黄綬褒章の記事の切り抜きが出てきた。
歌舞伎衣装の制作・直しを手掛けて約70年。江戸時代からの文化を支え続けた功積が評価されたという小堺さんは当時86歳。

洗張屋の生まれ。浅草の店が東京大空襲で焼け戦後再出発。
歌舞伎を中心に和の舞台衣装の世界に入ったと言う。

手間のかかる衣装作りは「割に合わない」と思い、やめようと思っていた若い頃、初代水谷八重子の舞台を観た。自作の薄い納戸色(鈍い青)の着物のすそを引きながら、水谷が登場した瞬間、客席から「うぉー」とどよめきが起きた。役者は勿論、着物も形が良くなければ、客の心を動かすことはできない。「自分がほめられたようで、やめようという気持ちは一発で吹き飛んだ」
 
染や絵付け、刺繍、仕立て、すべて自前でできる数少ない工房だ。歌舞伎は初日までの制作の時間が限られ、外注では間に合わないこともある。「歌舞伎の衣装を誰かが守らないといけない」との思いから、自前には思い入れがある。15人の職人がおり、後進の育成にも熱を入れる。

客席との距離を計算に入れ、衣装にはメリハリをつけなければ映えない。演目ごと一つひとつ違い、そこが難しく、楽しみでもある。最近の仕事で印象深いのは「菅原伝授手習鑑」の「寺子屋」の松王丸の衣装。雪をかぶった松とタカの見事な絵柄を約1年かけて、すべて刺繍で仕上げた。

荒川区荒川6丁目の店では、洗い張りや仕立て直しなど、着物を長く着てもらえるような仕事も引きうける。「着物文化を残していきたい。ぜひ着物を着て、歌舞伎を観に行ってほしいですね」


*お店の名は「小堺」
いつか行って、洗い張りを頼んでみたい。


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