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memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

男社会のルールズ?「ビジネス・ゲーム」

2014-05-02 11:24:30 | BOOK
最近TVの「ロシア語会話」を観ています。
Eテレの語学講座には有名人が1人、生徒役でナビゲーターを務めるのですが、ロシア語担当はアナウンサーの小林麻耶さん。

彼女が書評欄で勧めていたのが、
「ビジネス・ゲーム」ベティ・L・ハラガン (光文社知恵の森文庫\700)

アメリカで1977年に出てベストセラーになった本だと言うことですが、
子供時代から野球などでチームプレーや集団の中でのルール、身の処し方を学ぶ男子と伍して働く女性が知らないルールを解説、というものらしいのですが、おっと思ったのが小林さんの感想で、

「読みながら、『何事も誠実に取り組めば認められる』とおもっていた私は『ウソでしょ!』と何度思ったことか。
 集団の中でどのように動けばよいのか、そのコツが具体的に書かれていて、衝撃を受けました。
 心の持ちようが変わり、何より、現場で自分が気持よく仕事できるようになりました」

まさに根がまじめな女子が陥りがちな罠!そのトラップを回避できる秘訣が載っているのなら是非読まなくては・・・。

翻訳されて日本で刊行されたのが93年。さらに16年後の2009年に文庫に。
ということは男性社会に出て行った女性たちの悩みは何年も変わっていないということ?それもすごいですよね・・・と締めくくられていました^^;

小津を読む

2014-04-28 06:46:34 | BOOK
年を重ねてなお、評価の高まる小津映画。
おととしの英国映画協会発刊の雑誌の「世界歴代BEST映画」で映画監督が選ぶベスト1に小津の「東京物語」が選ばれたという。

そんな小津安二郎の世界に浸るための粋で端正な関連本を。
三省堂名古屋高島屋店の福澤いづみさんリコメンド。

1)「小津安二郎を読む」フィルムアート社編 1982年 フィルムアート社\2484
 小津映画入門の定番にして必携の一冊。との太鼓判。ハイレベルな入門書であり定本である。
 サイレント時代を含め全作品をていねいに解説。さらに、食べ物やカメラ位置などの「小津事典」、出演した俳優・女優のプロフィルも充実。
 小津ファンにはこたえられない一冊。思い入れを排したクールな筆致も好ましく、文句なしの一冊だ。

2)「絢爛たる影絵 小津安二郎」高橋治著 1985年 岩波現代文庫 \1382
 「東京物語」の助監督として小津に仕えた高橋治のロングセラーでよく読まれている。
 映画監督から小説家に転じた高橋は自らの体験と取材を交え、達者な文章で巨匠に迫る。
 偉大な監督に対して、若い同業者はアンビバレントな感情を持ちつつ、その圧倒的な存在感と格闘するのだ。

3) 「小津安二郎先生の思い出」 笠智衆著 1991年 朝日文庫¥540
 ②と対照的。小津映画の常連・笠智衆による回想記。
 「ぼくは先生の言われる通りにやっただけ」と小津をひたすら尊敬し、恩人と慕った、控え目な名優の思い出だ。
 福澤さんは、「読み進むうちに、いつしか彼の独特のセリフ口調で文字を追っていることに苦笑してしまう」と言う。
 確かに笠は独自の雰囲気を持った俳優で、実はただものではない。
 意外だが、2人は仕事以外ではあまり口をきかなかったそうだ。笠が口べただったからだが、見えない緊張感もあったのだろう。

4) 「小津ごのみ」中野翠著 2008年 ちくま文庫¥821
 小津ファンなら、そうだよね、と相づちを打ちながら読むのは記者のおすすめ「小津ごのみ」。
 秀才評論家のとんでもない深読みをさらりとかわし、粋で端正な小津ワールドに案内してくれる。
 着物の柄や和装の女性の物腰、あるいは障子や湯飲みなどの小道具に、小津の美意識を見、深く共感している。
 その象徴が、粗い布地(ドンゴロス)に題名や俳優名などが刻まれるタイトルバック。
 「大人の、いい趣味。和風で洋風、古風でモダン」と絶賛だ。
 小津映画の世界に浸る快感は、「サザエさん」を読む快感と重なる、という指摘には、なるほどと納得。
 笠智衆と波平の古風なファッション、とかね。

井上荒野の読書

2014-04-28 04:09:12 | BOOK
本のレビュー記事の中で「作家の読書道」というコラムがある。
現在活躍中の日本の作家の幼いころからの読書体験を聞く、という趣向で、これが結構面白い。
正直、御本人の作品を読んだことがない、あるいは特に興味を抱かなくても、読書の傾向が、 
ん?もしかして似たような道筋を通ってきているのかも・・・と思うことがままある。
勿論、途中で分水嶺の如く枝分かれするのだが、ここまでが共通しているのなら、その先も面白いかも・・・と
つい後を追いかけてみたくなる。

井上荒野さんもその一人。
1961年東京生まれとは兄と同じ。
幼いころ、作家である父上、井上光晴氏が、娘のために知り合いの編集者に頼んだセレクト本を段ボールで定期的に送らせていたとか。
そのラインナップが
「100まんびきのねこ」
「スザンナのお人形」「こねこのぴっち」

高校生の頃、父親の「妊婦たちの明日」を読み感銘をうけ、バイブル的存在に。
その頃読んだ日本文学は大江健三郎と中上健次。後になってから山田詠美。
翻訳小説ではガルシア=マルケス。「百年の孤独」「悪い時」も。
街全体がじわじわと嫌な感じになっていく、ああいう、”場の小説”というものにハマったとか。

その後の読書生活は翻訳もの中心。
マーガレット・アトウッドは30代半ばくらいで。
「青ひげの卵」という短編を読んだ時ものすごく面白いとおもったから。
ポール・オースターはよく読んでおり、カズオ・イシグロも大好きで全部読んでいるそう。

なんとなく納得&マーガレット・アトウッドを読んでみたくなりました。

プロブストの「カロリーヌ」

2013-11-06 13:03:53 | BOOK
子供の頃、サンタクロースが本を持ってきてくれることが多かった。
自らリクエストすることがほとんどだったのですが、たまにはサンタクロースセレクト^^のものも。
そんな一冊にフランス語の絵本、「カロリーヌ」がありました。
ツインテールの金髪の女の子が黒猫と白い子犬のお供を連れて、ヨーロッパ各国を旅するお話。
バスケットボールのような白いチーズが無数にならんだオランダの青空市場とか、今でも思い出すいきいきとした場面の数々。

そんなカロリーヌについての小さな記事が、朝日朝刊2013年11月6日(水)BonMarcheの特集記事の片隅にありました。

翻訳家のにむらじゅんこさんの「チュトワイエ通信」というコラム。

60年読み継がれる、プロブストの絵本、というタイトルで・・・。

ピエール・プロブスト(1913年~2007年)は、戦後フランスを代表する国民的絵本作家。
彼の代表作は娘さんをモデルにした「カロリーヌ」。
戦後フランスの教育方針でもある男女混合のシンボル、オ―バ―オ―ルをはいた好奇心旺盛な女の子が、動物たちと繰り広げる冒険シリーズは、60年もの年月を超えて今も愛され続ける。
最近では美術館での回顧展も行われ、作家の再評価も進んでいる。
「カロリーヌ」は日本も含め、世界15カ国でも訳されている。

現在、「カロリーヌ」を始めとするプロブストの絵本がフランスで続々と復刊され、話題を呼んでいる。
お洒落な子猫「プフ」、悪戯っ子の黒猫「ノワロ」、しっかり者の子犬「ユピ」ら、カロリーヌの友人である可愛い動物たちは、時代を超えて幼児たちを釘づけにしており、新たなファンが増加中。1950年代の楽天的なムードを反映した物語と色も魅力的だ。

*娘のお気に入りは「ユピ」と「プフ」。
アシェット社の復刻版は1ユーロ70セント(約200円)~とお手頃。

*にむらじゅんこ 作家・翻訳家 東京大学大学院在籍。フランス人の夫と3歳の娘とフランスに暮らす。趣味は旅。

「ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利」ミステリーの語り口

2013-07-20 07:53:27 | BOOK
作家、逢坂剛氏のおすすめ本。
 
「ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利」ロバート・バ― (平山雄一訳、国書刊行会・2310円)

 まことに珍重すべき、ミステリーの古典である。著者はコナン・ドイルと同時代の作家で、ホームズもののパロディを書いたこともある、という。主人公のウジェーヌ・ヴァルモンは、フランスの刑事局長の座を追われ、ロンドンに渡って私立探偵になる。その、破天荒な活躍を描いた連作短編集。
 本書は、<我輩>という一人称で書かれており、往年の保篠龍緒訳のアルセ―ヌ・ルパンものを思わせる、軽妙な語り口が心地よい。これは何より訳者のお手柄だろう。何より、ヴァルモンの気取った、それでいて憎めないキャラクターが、いちばんの収穫だ。ビクトリア朝の時代色がよく出ている。捜査方法など、英仏のお国柄の違いを論じるおしゃべりも、おもしろい。
 提示されるなぞと解決は、どれも古さを感じさせず、総じてルパンものより合理的である。中でもヴァルモンが、犯人一味の青年にやり込められる、「うっかり屋協同組合」は失敗談にもかかわらず、愛すべき小品に仕上がっている。
 昔ながらの、読書の楽しみを思い出させてくれる、佳味あふれる作品集である。