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2017年の歴史教科書検定をめぐって(架空の出版社にて)

2015-04-08 22:47:00 | anti facism
佐藤君(世界堂書院の編集者)「先生、この『日本軍の侵攻先には慰安所が設けられ、日本やアジアの女性たちがその意志に反して働かされていた』という文章まずいですよ。検定で必ず意見がつけられます。下手すると教科書全体が不合格になるかもしれません」
林先生(歴史学者。中世史が専門)「そうかまずいか。歴史学界の仲間たちはそう書いているんだけどなあ。まあ私は昭和史が専門じゃないから、仲間たちが正しいのか、文科省様が正しいのか判断できないなあ。面倒くさいからその文章ぜんぶ削ってしまったらどうだ」
佐藤君「いやそういうわけにも行きません。なにしろ今度文部科学大臣になった桃井わるこ大臣は『いわゆる慰安婦問題をめぐる韓国や中国の妄言に毅然と反論できる日本人を育だてるために正しい知識を教えるべきだ』と言ってますから、なんにも書かないわけにもいきません」
林先生「そこでいう『正しい知識』っていうのは、桃井さんとかが出している嫌韓・反中本に書いてあるようなことかい? 読んだことないから論評は控えておくけど、余り行儀のいい本のように思えないし、読みたくないな。ねえ、佐藤君のほうで検定に通りそうな文案作ってくれない?」
佐藤君「わかりました。実は社内で教科書検定対策で文案を作っております。読み上げますよ。
『日本軍の侵攻する先へ売春婦たちや斡旋業者が追いかけていった。日本人の売春婦たちは愛国の情に燃えて、朝鮮人やフィリピン人やオランダ人は単に儲けたいために慰安所を設けて兵士たちの相手をした。日本軍は彼女らの安全を図るために戦場から戦場への移動を手助けした。戦後何十年も経って、とつぜん「自分は意に反して慰安婦として働くことを強制された」とか「大勢の兵士の相手をさせられた」とか言いだす韓国やフィリピンの女性たちがいるが、それは補償金目当てのウソである』
これでどうでしょう?」
林先生「なんだか品がないなあ。日本の若者たちは外国の人たちに向かってこんな独善的な主張をしなければならないのかなあ。こんなこと書きたくないな。」
佐藤君「僕自身もこんなことを教科書で教えていると知られたら外国の人たちに日本国の品格を疑われると思います。でも教科書が検定で不合格になったらうちの会社つぶれてしまいます。阿部政権も5年目に入って、ついに念願かなってお友達の桃井さんを文部科学大臣にしたんですから、慰安婦についての『正しい知識』を教科書に書き込むことは阿部政権挙げての悲願だと当社では受け取っています。こんなことをやっていったいニッポン国はどうなるのか正直言って不安です。でもそれより職を失う不安のほうが大きいです。」
林先生「そりゃそうだろうな。」

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