mardinho na Web

ブラジル音楽、その他私的な音楽体験を中心に

阿佐ヶ谷ジャズ・ストリート HIBI★Chazz-K

2012-10-27 23:49:58 | Jazz
高円寺阿波踊りと並ぶ杉並区の二大お祭りの一つ、阿佐ヶ谷ジャズ・ストリートが10月26日と27日に開催された。
ご近所なので行けるときは毎回行っているが、この二日間がふさがっていない年が多くない。今年は27日(土)に何も予定なかったので、午後いっぱいもっぱらタダ見できるところだけをうろうろと歩き回った。
まずは区役所前で「さんあい杉並スイングノーツ」。様々な年齢層の人たちが参加するビッグ・バンドで実に楽しそう。
続いて阿佐ヶ谷駅北口パサージュ前で竹内郁人クインテット。アルト・サックスが二人の編成で、チャーリー・パーカーの曲などをがっちり演奏した。こちらは正真正銘のプロの演奏で、ケヤキ並木の駅前通りに音が響いてなかなか素晴らしい雰囲気だった。
続いて世尊院幼稚園第二園庭に移動して、そこでボーカル4人組+ウクレレ+ベースという面白い編成のirohaを聞く。One Note SambaやBye Bye Blackbirdなど。こちらは同好会的な雰囲気であった。
再び駅をすぎてケヤキ並木を下っていき、杉並区役所前に来ると、今度は高校生とおぼしき10人ぐらいの編成による「ゆう杉並Official Vocal Team」。観客からの暖かい声援で、アンコールもあった。
さてそろそろ帰ろうかと思いつつ、パールセンターの方にも足を向けたところで音を聞きつけたのがHIBI★Chazz-K(写真)。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンのサックス4本とドラムスというユニークな編成で、バリトン・サックスがベースの代わりをしている。ジャズ・ストリートに出演する人たちが全体として高齢の傾向があるなかで、この人たちは若くて元気よく動き回っていた。演奏したのはWeather ReportのBirdland,Chick CoreaのSpainなど。最後はSwing Swing Swingで、群がった聴衆が大いに盛り上がった。

Miles Davis "1958 Miles"(1958)

2012-10-21 22:37:47 | Miles Davis
1958年5月26日にレコーディングされたけれど、その後いろいろなオムニバス・アルバムにバラバラに収録されていたのを1974年に日本でまとめたのがこのアルバムです。
最初の曲はOn Green Dolphin Streetというジャズの超スタンダードですが、こういうありきたりの曲を吹くとなおさらマイルスの非凡さが感じられます。コルトレーンもこの曲ではコルトレーンらしさを発揮しています。Love for Saleはキャノンボール・アダレイの"Somethin' Else"の演奏と比べるとマイルスがもっと遊んでいて、後者の噛んで含めるような演奏とは違います。また、キャノンボール盤には参加していないコルトレーンの奔放なソロも面白いです。
このアルバムではマイルスの楽団に短期間だけ在籍したビル・エヴァンスがピアノを弾いています。

Miles Davis "Miles Ahead"(1957)

2012-10-21 17:13:17 | Miles Davis
夜の静寂のなかで聞くとクールなトランペットがなんとも心地いい作品です。
解説によると、コロンビア・レコードのプロデューサーがマイルスをもっと多くの人に聞いてもらいたいと思って、ギル・エヴァンス率いるオーケストラ(というよりブラス・バンド)をバックとする本作品を作ったとのことです。
ところが、私には前作'Round MidnightよりこのMiles Aheadの方がはるかに難解です。
難解と感じる最大の理由は冒頭の曲"Springville"の印象によるものかもしれません。リフレインが余りなく、簡単に口ずさめるようなメロディーではありません。つかみどころがなくて、ウナギのようにスルスルすり抜けていく感じです。ギル・エヴァンスの編曲もなんだかとても前衛的です。次の曲に切れ目なくつながっていく構成が斬新です。二曲目は最初の曲ほど難解な感じはせず、マイルスのソロは例によって少ない音で的確に急所をつくような感じです。このアルバムのなかで一番気に入ったのはアーマド・ジャマル作の"New Rhumba"。ルンバというだけあってブラスバンドはすごく派手なラテンの音ですが、マイルスのトランペットはあくまでクールで、この対比が面白いです。


'Round About Midnight, Miles Davis (1957)

2012-10-10 00:35:48 | Miles Davis
The Perfect Miles Davis Collectionに入っているレコードについて、これから思うままに書いてみたいと思います。
一枚目は1957年の'Round About Midnight.
1955年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで、'Round Midnightを演奏したのがきっかけで、マイルスはそれまでの小さなレコード会社から大手のコロンビアに移籍し、その記念すべき第一号が'Round About Midnightです。
最初の曲は畢生の名演'Round Midnight。
複雑なメロディーとコード進行の曲で、ジャズ・ミュージシャンがなかなかアドリブを乗せにくいのではないかと思いますが、マイルスはまるで新しい曲を作ったかのように一音一音が適切に配置されていきます。続くジョン・コルトレーンのアドリブは、本来のメロディーに引きずられているようで、マイルスに比べると少々未熟な感じを受けます。
続くチャーリー・パーカーのAh-Leu-Chaはジャズ的な曲なので、ジョン・コルトレーンも水を得た魚のごとくスイスイと泳ぎ切ります。
Bye Bye Blackbirdでもマイルスは少ない音で、新しいメロディーをつけるかのようなソロですが、こちらの曲はコルトレーンにとっても御しやすかったのか、上へ下へ激しく動き回るソロ。全体として「モダン・ジャズ」のお手本のような演奏です。Two Bass Hitなどおまけも4曲入っています。
こういうジャズはいまでも世界中で演奏されつづけていて、その主要なお手本の一つはマイルスとジョン・コルトレーンを含むこの1957年のマイルス・デイヴィス・クインテットなんだと思います。しかし、マイルス自身はこの場所に長くとどまっていることができませんでした。

The Perfect Miles Davis Collection

2012-10-10 00:10:43 | Miles Davis
マイルス・デイヴィスのアルバムが20枚入ってなんと4300円余り!
1枚あたり200円そこそこである。とんでもない時代になったものだ。
思えば30年前の高校時代、なけなしのこずかいをはたいて買ったマイルスの「ESP」や「Bitches Brew」。アメリカからの輸入盤が国内盤より少し安かったが、それでも1枚2000円前後はしたと思う。FM放送を録音したり、貸しレコード屋で「Nefertiti」とか「Get Up With It」とかを借りてテープに録音し、ずいぶん聴いた。
若いときにはなかなか手のでなかったものを大人になって金銭的に余裕が出たときにドサッと買うことを「大人買い」というそうだが、大人になってみたら、昔だったら全部揃えるのに4万円は優にかかったものが4300円になってしまったものを買うのは何買いと呼ぶのだろう?
おそらく4300円のほとんどは、昔のLPのジャケットをCDサイズに再現したジャケットの印刷費ではないだろうか。没後20年経って、印税分がゼロになったことでこの安値が実現したのであろうか。

何はともあれ、これは買わずにいられようか?
販売価格がいくらだろうが、音楽の歴史を変えてきた音源の20連発である。

まず箱の中身を述べると、CDが1枚ずつオリジナルのジャケットを小さくしたものに入っているほか、各CDに関する簡単な解説(英語とフランス語)、録音日時とメンバー、曲目が書かれたブックレットが入っている。
しかもCDにはオリジナルのLPに入っていた曲以外に、同じセッションで録音されたがボツになった曲や別テイクが入っている。
ともあれ4300円の出費で4万円分以上の楽しみができた。

Sergio Mendes and Brasil '65 "In Person at El Matador"

2012-10-04 20:26:39 | Bossa Nova
セルジオ・メンデスと言えば「ブラジル66」で世界的に有名になったが、私はその一年前の「ブラジル65」の頃が一番いいように思う。
このライブアルバムは1964年12月にサンフランシスコのエル・マタドールというお店で録音されたものとのこと。ブラジルのジャズ・サンバと、アメリカ西海岸の澄んだ空とを感じさせるなんともクールな音である。
この頃のメンバーには女性ギタリストのロジーニャ・ジ・ヴァレンサがいて、彼女のギターと、セルジオのピアノとが全体の音の印象を作っている。ボーカリストは元祖ヘタウマのワンダ・ジ・サー。「ブラジル66」になったときに、この二人が降板し、アメリカ人女性ボーカリストが英語で歌うようになり、ロックのスパイスも利かせて、アメリカ受けするようになったが、「ブラジル65」の時に流れているこの涼しさは感じられない。
このライブはまずエドゥ・ロボのRezaで始まり、同じくロボのArrastaoも取り上げている。ロボの作品は「ブラジル66」になってからも定番である。
他にカルロス・リラのo Morro、バーデン・パウエルのSamba de Astronautaなど、バンドの名前通り、ブラジルのいまを伝えようとしていたのがわかる。