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mardinho na Web

ブラジル音楽、その他私的な音楽体験を中心に

阿佐ヶ谷ジャズストリート2008&黒船レディ&銀星楽団(2008年10月24日)

2008-10-25 23:03:04 | 黒船レディ
阿佐ヶ谷ジャズストリートが10月24日、25日に開催された。杉並区の山田区長いわく「横浜、神戸と並ぶ日本3大ジャズフィスティバル」とのこと。その真偽のほどはともかく、杉並区内の一つの町が二つの政令指定都市と肩を並べていると自負しているのが面白い。
黒船レディ&銀星楽団はここ数年阿佐ヶ谷ジャズストリートの時に「バルト」でライブをやっている。ジャズの祭典ということもあって、最近オリジナル曲の比重を高めつつあった黒船レディも、今回のライブでは古いジャズの曲を多めに取り上げた。1曲目はYou are the cream in my coffee.黒船レディのライブに行き始めた頃は必ず演じていた曲なので懐かしい。前よりもゆっくりめのテンポだった。レディが「忘れ物」という日本語詞をつけたDo you know what it means to miss New Orleans? は映画のなかでビリー・ホリデーとルイ・アームストロングが共演しているそうだ。どんな感じか聞いてみたい。
翌25日も昼から家族で阿佐ヶ谷ジャズストリートを見て回った。杉並区役所前ではかなり大がかりな編成のビッグバンド。「都庁スウィングビーツ」という創立60年にもなる由緒あるアマチュアのビッグバンドとのこと。ランディ・ブレッカーの曲などなかなか難曲に挑んでいた。Corcovado, Waveと、A.C.Jobimの曲も2曲披露。
阿佐ヶ谷駅前広場ではHIBI★Chazz-Kという工事作業服姿のクインテット。サックス4本(ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)+ドラムスというユニークな編成でDuke EllingtonのCaravan, J.ZawinulのBirdlandなど。
来週はいよいよジョアン・ジルベルトの4回目の来日公演だ!

黒船レディと銀星楽団new album

2008-05-20 23:43:11 | 黒船レディ
待望の黒船レディと銀星楽団の新作が出た。
これまでの2枚のミニ・アルバムはオリジナル曲が中心だったが、この16曲入りの1stフルアルバムはオリジナル曲よりカバー曲が少し多くて、これはいつものライブみたいだ。
いつもライブで聴いているカバー曲以外に初めて聴く曲が3つあって、いずれも驚きのアレンジが施されていた。
ノーランズの「ダンシング・シスター」はディキシー風、続くオリビア・ニュートン・ジョンの懐かしい「そよ風の誘惑」はワルツにアレンジされている。「そよ風の誘惑」は原曲も好きなので最初は4分の3拍子に少し違和感を感じたが、何回か聴くと耳に馴染んできて、原曲がこってりしたアイスクリームだとすれば、黒船レディ版はうぐいす餅のようなスッキリした甘さである。
ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」はなんと4分の5拍子になっていて、遠くへ行った人(王女?)を想う歌詞がついている。
Doop-Doo-De-Doopは何とも気持ちよいけれど、歌詞はどうも駄洒落の連発らしいことを歌詞カードを見て初めて知った。
中国語でのメンバー紹介に続いて、李香蘭の「夜来香」。この日本語訳詞(佐伯孝夫氏訳)は名訳だが、「夜鶯」に少し引っかかった。「夜に鳴くウグイス」はウグイスではないのではないか。辞書で調べてみたら、なるほど「文学でセキセイインコの類の鳥を指す」とある。夜の闇を衝いて、もの悲しく聞こえるのは「ホーホケキョ」ではなくて、セキセイインコのさえずりだったようだ。
"Wrap Your Troubles in Dreams"もいい歌詞だ。「嫌なことは夢にくるんで、寝て忘れてしまいな。」夢は嫌な記憶を捨てる場所だ、という説をどこかで読んだことがある。朝になったら夢と一緒に嫌なことを忘れてスッキリとできるという学説を、この曲は優しく教えてくれる。

黒船レディと銀星楽団at阿佐ヶ谷バルト

2006-10-24 00:19:50 | 黒船レディ
黒船レディと銀星楽団の第2弾アルバム「古本屋のワルツ」の完成を記念したライブが阿佐ヶ谷バルトで10月21日に開催された。アルバムでは前作に収められていない彼女らのオリジナル曲を中心に9曲収められている。ライブではこれらに加えて、The best things in life are free, C'est magnifique, ボンジュール街角などカバー曲も含めて盛りだくさんな内容だった。
初めて聴いた昨年5月は、私の知らない古いジャズの曲を多く取り上げて、新鮮に感じたが、すてきなオリジナル曲がだんだん増えてきて、そうした活動の結実が今回のアルバムなのだと思う。
唯一アルバムに入っているカバー曲は「上海」。歌詞カードの説明によると、ドリス・デイが英語で、美空ひばりが日本語で歌っている。美空ひばりの方は、まだ少女歌手だった時代に歌っているのをテレビでちらりと見たことがある。
歌詞カードを見て、なるほどこういう歌詞だったのかと納得した。
元の英語詞は、おそらくアメリカ在住と思われる女性が恋人とちょっとした喧嘩をして「もうあなたとはさよなら、私は上海に行くの」と言って慌てさせるという内容で、ここに出てくる上海はいわばたわいのない冗談として出てくるだけなのだが、戦後日本で上海といえば、戦前に住んでいて、戦後引き上げた人も多く、行きたくても中国と国交がなくて行けず、余り冗談にはならなかったようで、美空ひばりの歌う日本語詞は「懐かしい夢の街よ 上海 すぐにも ゆきたい」と、まるで逆のニュアンスで上海が登場する。最後は「泣けてくる」と、軽妙なメロディとは対照的に、思う人と離ればなれに暮らす苦しみを歌っている。

時は流れ、いま上海に行くのは簡単になり、再び恋人を「もう上海に行っちゃう」といって慌てさせることができる環境が整った。
そこで、元の英語詞の意味を生かして、新訳を作ってみた。

上海(B.Hilliard & M. Delugg) mardinho激訳

行くわよ上海!
明日は上海!
もうあなたと、バイバイ!

あした朝イチで発つと言ったけど
本当はうそなの
もう会えないわって脅したけど
本当は会えるの

ちょっとした行き違いね
キスで直せるわ
もう一度あなたと初めから
やりなおしたいのよ

外灘(ワイタン)の夜景もすてきだけど
あなたが一番
浦東(プートン)のビル街散歩しても
一人じゃ寂しい

小籠包子(シャオロンバオズ)
上海蟹も
キスにはかなわない

電話をかけてる間に
私を引き留めてね

・・元の詞では上海を象徴する食べ物として「米」が出てくるが、日本で上海を象徴するのが米というのはピンと来ないので、小籠包子と上海蟹が登場する豪華な宴席となった。