mardinho na Web

ブラジル音楽、その他私的な音楽体験を中心に

ヘルプ! by The Beatles

2009-12-31 17:35:46 | Beatles
2009年12月30日(つまり昨日)、NHK BS2でビートルズの映画「ヘルプ!」を見た。ジョン・レノンによれば「『ヘルプ!』ではいろいろとわがままを聞いてもらい、『スキーしたことないからスキー行きたいな』と言ったらアルプスのシーンが追加され、『バハマに行ってみたいな』と言ったらバハマのシーンが追加された」とのこと。そんなこともあって中学の頃から2-3回ぐらい見ているはずだが、ストーリーは余り覚えていなかった。
今回あらためて見て感じることは、オリエンタリズムの強い作品だということだった。ヒンズー教の神みたいなものをあがめる宗教団体が大きな指輪をはめているリンゴ・スターを追い回すというストーリーだが、この宗教団体が登場するシーンではインド音楽風のシタールが流れたり、ターバンを巻いた信徒が出てくるので、インド方面の団体らしく描かれている。そしてこの宗教団体を理解しようとビートルズはロンドン市内のインディアン・レストランを訪れて「オリエンタルなもの」について調べようとするのだが、その店にはインド人は一人しかいなくて、その人は逆立ちの修行をしている。店ではお客にベリー・ダンスを披露している。インドと中東がごちゃ混ぜのインチキ臭いレストランなのだ。
欧米の教養のない人たちは日本と中国を混同していることがあるが、「ヘルプ!」ではインドに対するステロタイプと無理解がひどいと感じられる。
しかし、この映画の後、ビートルズ(特にジョージ)はインド(音楽)への関心を深めて、現地に滞在したり、本格的なインド音楽を取り入れたりするのだから、「ヘルプ!」がそのきっかけになったのかもしれない。
そしてジョージ・ハリスンと交流の深かったラヴィ・シャンカルの娘がノラ・ジョーンズになるなんて、世の中おもしろいものだ。