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mardinho na Web

ブラジル音楽、その他私的な音楽体験を中心に

Michelle Shaprow, "Earth One" (2014)

2014-12-25 01:15:16 | USA
ミッシェル・シャプローを知ったのは2カ月前。
デビュー作の"Purple Skies"を聞いたらとても良かったので、2作目の"Earth One"を買いました。
デビュー作から3年目にして2作目ですが、なんとなく余裕を感じます。特に生活に困っていないので好きなように音楽を作っています、という感じを受けます。
2作目の"Earth One"はBeatlesのSargent Peppersのようにアルバム全体が一つのショーになっていますが、もっと徹底していて全体として一つのミュージカルのようです。
地球から宇宙の虚空に向けて発信されている"Earth One"というラジオ局の番組、という設定ですが、最初は前作"Purple Skies"のエンディングから始まり、"That was `Purple Skies` by Earth One"と始まりますので"Earth One"というのはミッシェル・シャプローその人でもあるようです。
このラジオ・ショーのテーマはLoveなのですが、そのスポンサーであるFirst Airは欲望ギラギラの会社のようで"You Really Look Good with Your Money"というCMソングが入ります。
冒頭から空中に舞い上がり、CMソングも航空会社で、そのあとも香港や北京に飛んだりして最後まで宇宙空間を遊泳しながら口笛を吹いてフィナーレを迎えます。
個々の曲がどうのこうのというより、全体を聞き流すのが正しい聞き方のように思います。

Michelle Shaprow, "Purple Skies" (2011)

2014-10-21 00:48:39 | USA
新星誕生!です。
ミシェル・シャプロウというアメリカ・ロサンゼルスのシンガーソングライターですが、すごい才人だと思います。
カーラジオでJ-WAVEを聞いていたら、JRA提供による「ウマジョ」という番組が始まり、「競馬か・・」と思って聞いていたら、スタジオ・ライブが始まりました。
ミシェル・シャプロウという知らない歌手が電子ピアノの弾き語りで"Back down to earth", "Hong Kong"の二曲を歌いました。ピアノの音使いの巧みさ、可愛らしい声、歌詞の良さにすぐに惹かれ、試しにCD"Purple Skies"を買ってみました。彼女の2011年のデビューCDです。
期待にたがわない素晴らしい音楽です。ほぼ全曲彼女自身の作詞作曲によるもので、ピアノやバックコーラス、そのアレンジも自分でやっています。
CDで聞くと、ベベウ・ジルベルトに特にアレンジやバックコーラスなどで影響を受けている感じがします。実際、本人も好きなアーティストの一人にベベウ・ジルベルトをあげています。素敵な友達を得たと思ったら、実は自分のかねての友人の友人であったみたいです。ベベウ・ジルベルトが好きな人ならきっとこの人も好きになるに違いないと思います。
音楽の興味の範囲がとても広く、ある曲はスティービー・ワンダーを、ある曲はマドンナを、またある曲はディズニー映画の音楽を思い出させます。曲と歌詞、そしてアレンジにも彼女の細やかな配慮が行き届いている感じがします。

ホテル・カリフォルニア

2011-04-02 22:47:20 | USA
もう4週間ほど前、つまり大地震の前であるが出張でアメリカの3都市を訪れた。最後に行ったサンディエゴで仕事を終え、夕方車でホテルに向かっていると、夕焼けを背景にヤシの木が黒々と見えた。この情景を見て「ホテル・カリフォルニアだ」と思わず口に出た。イーグルズの大ヒットしたアルバム「ホテル・カリフォルニア」のジャケットがまさにこんな感じの風景写真だった。残念ながら車に同乗していた人たちは誰もわかってくれなかったが。
その時はカメラを持っていなかったが、翌朝泊まったホテルの周りを散歩して写真を撮った。カリフォルニアの青い空とヤシの木とゆったりとしたホテルとがとても気持ちがいい。空港に近いからという理由でとってもらったホテルだが、一泊でそそくさと帰ってしまうのが惜しいようなところだ。それにしてもここは本来どういう目的の人が泊まるところなのだろう。宿泊者にけっこう軍服を着た人が多かった。サンディエゴには米海軍の拠点があるそうだ。任地に赴く前のつかの間の天国を感じるところなのだろうか?

James Brown, The Best Collection

2010-08-10 16:56:36 | USA
ジェームズ・ブラウンのベスト曲集のCDが西友の家電コーナーの片隅で一枚877円で売られていた。ゴミみたいな値段だが、中身はすばらしい!
このCDには彼の代表曲のゲロッパ!(Sex Machine)はもちろん入っているし、Get up offa that thing, Living in Americaなど80年代以降の新しめのジェームズ・ブラウンが入っていて、ソウルフルなJBよりもファンキーなJBが多い方がいい私のような人間にはとても楽しいアルバムである。
それにしても、"Get up-a!", "Ha!"とひたすら気合を入れ続けて40有余年、幾多の人々を元気にしてきたことか。まさにアメリカの人間国宝である。

ソウル・ディープ

2010-01-22 21:55:43 | USA
この正月のNHK-BSでのもう一つの収穫は「ソウル・ディープ」である。
BBCが制作した、ソウル・ミュージックの歴史を紹介する6回シリーズだった。
第1回はレイ・チャールズを中心に、R&Bとソウルが誕生した経緯を紹介した。黒人音楽はもともとRace musicと呼ばれていたが、これではあんまりだと考えたビルボード誌の編集者たちが一晩考えてつけた呼び名がリズム・アンド・ブルース(R&B)だった。ジャズやR&Bといった世俗の音楽に、教会のゴスペルの要素を盛り込んだのがレイ・チャールズだった。
第2回はサム・クックを中心に、さらにゴスペル色が強くなったソウルを紹介した。
第3回はモータウン・レコードの話。売上を拡大するには白人にもアピールするようなソウルを目指したモータウンが、その尖兵として売り出したのがシュープリームスだった。だが、シュープリームスの3人はその路線が好きになれず、ダイアナ・ロスはとても冷淡に歌った。それが大ヒットした。
第4回は、メンフィスを中心とする南部のソウルの紹介で、その中心がオーティス・レディングだった。友人がベーシストとしてレコード会社に売り込みに行くのに付き合って、そこで自分の歌を聴いてほしいと訴えてデビューにこぎつけたとのこと。
第5回は、ジェームズ・ブラウンを中心にファンクの興隆を描いた。ファンクが興隆した時代はアメリカ各地で黒人暴動が頻発した時代で、ファンクは「ブラック・パワー」を鼓舞する音楽だった。コンサート会場で熱くなって今にも革命を起こそうと興奮する観客たちをジェームズ・ブラウンがなだめて、ここはコンサートなんだ、と諭しているシーンも面白かった。
第6回は残念ながら見逃したが、メアリーJブライジを中心にヒップホップを紹介したようだ。
第6回だけは知らないアーティストばっかりだったが、第1回~第5回はたいへん楽しみ、かつ勉強になった。

Herbie Hancock "River, The Joni Letters"(2007)

2007-09-24 00:39:44 | USA
ハービー・ハンコックと言えば、まず1965年のソロ・アルバム「処女航海」の鮮烈な印象と、1960年代後半のマイルス・デイビス・クインテットの音楽に美しいハーモニーを与えていた立役者というのが私のイメージだ。
一方で、「ヘッド・ハンターズ」に始まる、シンセサイザーを使ったファンク・ミュージックもハービーの重要な側面だ。高尚なジャズばかりでは食べていけないので大衆受けする音楽にも手を出した、という面もなくはないのだろうけど、こちらの路線も余技とは言えないほど大ヒットを記録して、ずいぶん多くのアルバムを作った。
もう一つ、ミルトン・ナシメントをアメリカに紹介し、ミルトンの多くのアルバムでピアノ伴奏をしていることも私としては忘れられない。
ただ、どの側面が一番いいかと問われれば、1960年代後半のマイルス作品における何とも高尚なハーモニーを付けていたハービーが一番だと思う。
さて、たまたま近所の中規模なCDショップにぶらりと行ったら、ハービーの新作である"River--The Joni Letters"が並んでいた。「ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」とか書いてあるので、ジョニ・ミッチェルはいつの間に亡くなったのだろう?といぶかしく思いながら手に取り、そのまま余り深く考えずに買ったが、ジョニ・ミッチェルが亡くなったわけではなかった。
このアルバムは、サックスにウェイン・ショーター、ベースにデイブ・ホランドと、60年代末頃のマイルス・クインテットの面々が3人揃っている。ウェイン・ショーターの曲"Nefertiti"を除いては全曲ジョニ・ミッチェルの曲集で、ボーカルが入っている曲も半分以上だが、メロディよりも、1960年代を彷彿とさせるハービーのつけるハーモニーが印象的だ。「ハービー節」が強いので、何となくどの曲も同じに聞こえるが、秋の夜長に落ち着いて聴くと気分がとてもよい。

Julie London, Julie is her name (1955)

2007-09-16 16:19:11 | USA
ディス・イズ・ボサノヴァ(ああこの邦題は嫌いだ!)のなかで、ロベルト・メネスカルが自分に影響を与えた音楽として第一に挙げたのがこのアルバムだった。全編ジュリー・ロンドンのボーカル、バーニー・ケッセルのギター、レイ・レザーウッドのベースというシンプルな構成のこのアルバムで聴かれるバーニー・ケッセルのギターからメネスカルは「軽く10曲作れるぐらいハーモニーを学んだ」という。
 女性ジャズ・ボーカルではヘレン・メリル、男性ではチェット・ベイカーと同類という感じだが、"Cry me a river"で始まるこのアルバムはまさに本命という感じで、永遠の輝きを持つしっとりとした世界が広がる。
 メネスカルだけでなく、このアルバムはボサノヴァの創始者たちに多大な影響を与えたことは疑いない。たとえば"I love you"のビギン風のリズムは、ジョアン・ジルベルトのHo-ba-la-laの元ネタのように聞こえる。
 また、三曲目の"I'm in the mood for love"はブラジルのアーティスト(ナラ・レオンだったか?)も歌っていた。
最後をしめる曲は、"Gone with the wind"。エラ・フィッツジェラルドも歌っているけど、汗がほとばしるようなエラの歌に比べて、ジュリーはクールそのもの。同じ曲とは思えない。
 驚いたことに、このアルバムはジュリーにとってデビュー作だという。何という落ち着き。さらに驚いたことに"Cry me a river"は1955年に全米ポップチャートで第9位にまで上ったという。こんな落ち着いた曲が流行る時代があったんだなあ。

Free Design

2006-01-26 01:16:56 | USA
最近、偶然の機会に耳にして、以来気に入っています。
The Free Designは1967年から73年まで活動したアメリカのコーラスグループです。Chris Dedrickという人がほとんどの曲を作っていて, その兄弟姉妹であるBruce, Sandy, Stephanie, Ellenで構成されています。家族の気安さか、メンバーは3人になったり4人になったり出入りがあるようです。
60年代末から70年代初めというと、ビートルズの解散をはさむまさにロックの高度成長期で、多くのロッカーがドラッグでハイになりながら、次々に新しい音楽を産み出していった時期、という印象を持っています。
Free Designはその同時代にあって、多大な影響を受けながらも、ドラッグとは無縁な爽やかさ、明るさ、優しさを感じさせてくれます。
ブラジル音楽でいうと、同じく家族のコーラスであるQuarteto Em Cyと通じるものがあります。60年代末から70年代はじめのマルコス・ヴァレの音楽にも何か通うものがあります。
Free Designは活動していた当時はヒットに恵まれなかったようですが、活動をやめてからも少数の人たちに支えられて、運良く私の耳にも入りました。

写真は、スペインで発売された編集版ですが、この中で特にStarlightsとBubblesの2曲が私のお気に入り。
Free Designに関しては、次のウェブサイトでその全貌がわかります。
http://www.thefreedesign.com/