mardinho na Web

ブラジル音楽、その他私的な音楽体験を中心に

黒船レディと銀星楽団at阿佐ヶ谷バルト

2006-10-24 00:19:50 | 黒船レディ
黒船レディと銀星楽団の第2弾アルバム「古本屋のワルツ」の完成を記念したライブが阿佐ヶ谷バルトで10月21日に開催された。アルバムでは前作に収められていない彼女らのオリジナル曲を中心に9曲収められている。ライブではこれらに加えて、The best things in life are free, C'est magnifique, ボンジュール街角などカバー曲も含めて盛りだくさんな内容だった。
初めて聴いた昨年5月は、私の知らない古いジャズの曲を多く取り上げて、新鮮に感じたが、すてきなオリジナル曲がだんだん増えてきて、そうした活動の結実が今回のアルバムなのだと思う。
唯一アルバムに入っているカバー曲は「上海」。歌詞カードの説明によると、ドリス・デイが英語で、美空ひばりが日本語で歌っている。美空ひばりの方は、まだ少女歌手だった時代に歌っているのをテレビでちらりと見たことがある。
歌詞カードを見て、なるほどこういう歌詞だったのかと納得した。
元の英語詞は、おそらくアメリカ在住と思われる女性が恋人とちょっとした喧嘩をして「もうあなたとはさよなら、私は上海に行くの」と言って慌てさせるという内容で、ここに出てくる上海はいわばたわいのない冗談として出てくるだけなのだが、戦後日本で上海といえば、戦前に住んでいて、戦後引き上げた人も多く、行きたくても中国と国交がなくて行けず、余り冗談にはならなかったようで、美空ひばりの歌う日本語詞は「懐かしい夢の街よ 上海 すぐにも ゆきたい」と、まるで逆のニュアンスで上海が登場する。最後は「泣けてくる」と、軽妙なメロディとは対照的に、思う人と離ればなれに暮らす苦しみを歌っている。

時は流れ、いま上海に行くのは簡単になり、再び恋人を「もう上海に行っちゃう」といって慌てさせることができる環境が整った。
そこで、元の英語詞の意味を生かして、新訳を作ってみた。

上海(B.Hilliard & M. Delugg) mardinho激訳

行くわよ上海!
明日は上海!
もうあなたと、バイバイ!

あした朝イチで発つと言ったけど
本当はうそなの
もう会えないわって脅したけど
本当は会えるの

ちょっとした行き違いね
キスで直せるわ
もう一度あなたと初めから
やりなおしたいのよ

外灘(ワイタン)の夜景もすてきだけど
あなたが一番
浦東(プートン)のビル街散歩しても
一人じゃ寂しい

小籠包子(シャオロンバオズ)
上海蟹も
キスにはかなわない

電話をかけてる間に
私を引き留めてね

・・元の詞では上海を象徴する食べ物として「米」が出てくるが、日本で上海を象徴するのが米というのはピンと来ないので、小籠包子と上海蟹が登場する豪華な宴席となった。

Bophana at TOKYO BOSSA NOVA 2006

2006-10-07 16:35:47 | Bossa Nova
10月1日(日)は先週に続いて恵比寿ガーデンプレイスのTOKYO BOSSA NOVA 2006を聞きに行きました。聞いたのは女性ボーカルの山田里香を中心とする3人組のBophana。Bophanaってどういう意味なんだろう。ガル・コスタにそんな名の曲があったような。タダのコンサートなので、いろんな方がいらっしゃいます。後ろにいる結婚式帰りと思しき若い女性が連れの男性に向かって始終しゃべり続け、演奏中もやめようとしません。(「」内は女性の言葉)
(Bophanaの山田里香さん登場)
「かわいい。これで歌も上手だったら最高だね」
(1曲目を歌い出す)
「これオリジナル?」(ドリ・カイーミのo Cantadorである。)
「顔の感じと違う声だね」
・・(演奏終了)・・
「良かった。CD買いたくなっちゃった」(おめでとさん)
 Bophanaは先週の比屋定篤子さんと違って、すべてがカバー曲で、ジョアン・ジルベルトの「オバララ」からカルトーラの「沈黙のバラ」、カエターノの「オダラ」など、ブラジル音楽通っぽい渋い選曲が光ります。
 ただ、好きな曲をやっていて楽しそうではあるのだけど、山田さんの声を生かす曲というのを考えた方がいいんじゃないかとも思いました。山田さんの声というのは声楽家のように、胸から後頭部の方に響く感じで、ボサノヴァを歌う多くの歌手のように体から口の前へ出る声とは違います。歌った曲のなかでは「沈黙のバラ」が一番声質に合っていました。軽妙な曲より、しっとりと悲しみを歌い上げるような曲がいいかも。