2011年の福島第一原発の事故の際、東京電力は起きたのは「炉心損傷」だと説明していたが、実は東電内部のマニュアルに従っていれば「炉心溶融」と説明すべき状況であったということが判明し、東電が謝罪した。
東電の幹部たちが、予想外の事態になすすべもなく青ざめているなか、つい柔らかめの表現を使いたくなる心理はなんとなくわかるような気がするし、遅きに失したとはいえ、反省の弁も述べている。
ただ、日経新聞に「専門家の見方」として紹介されている北海道大学の奈良林直教授のコメントには腹が立った。奈良林教授いわく、「事故から間もない3月14日の段階で(もしマニュアル通りに)『炉心溶融(メルトダウン)』を正式に発表していたら、国民の間で大パニックが起きていたと思う。炉心溶融と認めたところで、何かしらの利点があったとは思えない。」
つまり、奈良林教授は、原発の大事故が起きてメルトダウンだと認識したとしても、国民がパニックを起こさぬように柔らかく粉飾して発表するべきだ、と言っているに等しい。原子力村の住人たちにあるこうした傲慢な考え方を原発事故当時の東電経営陣も共有していたから、大きな事故を小さく見せるような言葉を選んだのではないか、と思ってしまう。
実際には原発事故によって国民の間で十分にパニックが起こっていた。放射能が東京周辺にも飛んできて浄水場の水から検出され、人々はミネラルウォーターを求めて商店に行列を作った。自衛隊のヘリコプターで海水を汲んできて原発の上からかける、というまるでパニック映画のような映像をテレビでみて、もう原発を止める手立てが何もない事態であることは誰にでも分かった。「炉心損傷」程度の軽い事故だと思う人は少なかっただろうから、その意味でさほど害がなかったのかもしれない。
事態が深刻なことはわかるが、この先どうなるのかは素人にはわからない。その点について専門家の知見を聞きたいところなのだが、もし専門家たちがみな奈良林教授のような考えなのだとしたら、専門家たちも信用できないということになってしまう。
東電の幹部たちが、予想外の事態になすすべもなく青ざめているなか、つい柔らかめの表現を使いたくなる心理はなんとなくわかるような気がするし、遅きに失したとはいえ、反省の弁も述べている。
ただ、日経新聞に「専門家の見方」として紹介されている北海道大学の奈良林直教授のコメントには腹が立った。奈良林教授いわく、「事故から間もない3月14日の段階で(もしマニュアル通りに)『炉心溶融(メルトダウン)』を正式に発表していたら、国民の間で大パニックが起きていたと思う。炉心溶融と認めたところで、何かしらの利点があったとは思えない。」
つまり、奈良林教授は、原発の大事故が起きてメルトダウンだと認識したとしても、国民がパニックを起こさぬように柔らかく粉飾して発表するべきだ、と言っているに等しい。原子力村の住人たちにあるこうした傲慢な考え方を原発事故当時の東電経営陣も共有していたから、大きな事故を小さく見せるような言葉を選んだのではないか、と思ってしまう。
実際には原発事故によって国民の間で十分にパニックが起こっていた。放射能が東京周辺にも飛んできて浄水場の水から検出され、人々はミネラルウォーターを求めて商店に行列を作った。自衛隊のヘリコプターで海水を汲んできて原発の上からかける、というまるでパニック映画のような映像をテレビでみて、もう原発を止める手立てが何もない事態であることは誰にでも分かった。「炉心損傷」程度の軽い事故だと思う人は少なかっただろうから、その意味でさほど害がなかったのかもしれない。
事態が深刻なことはわかるが、この先どうなるのかは素人にはわからない。その点について専門家の知見を聞きたいところなのだが、もし専門家たちがみな奈良林教授のような考えなのだとしたら、専門家たちも信用できないということになってしまう。