憲法改正手続き緩和の先行を疑問視 大村知事
2013/5/8
大村秀章知事は七日の定例会見で、自民党が憲法改正手続きを緩和するために憲法九六条改正を目指していることに「憲法の何を変えるのかを置いたまま、(手続きを定めた)九六条だけ変えるのは、国民が望んでいることなのか」と疑問視した。現行憲法には「時代の流れに合わせて変えていく必要はある」と述べる一方、「果たしてきた役割は大きい」とも評価した。主なやりとりは次の通り。
-憲法改正の国会発議には、衆参両院の三分の二以上の賛成が必要と定めた憲法九六条の改正を自民党が目指している。
大いに議論すればいい。ただ「憲法の何を改正したいから、九六条の『三分の二』を『二分の一』に下げる」という議論をした方が、国民の理解は進むのではないか。九六条改正ありきで突っ走るのはどうなのか。
安倍晋三首相は九条改正が本命なのでしょう。だとすれば、最初から九条改正などのメニューを示した上で、九六条も変えたいと言われた方がいい。
-知事は現行憲法を変えるべきだと考えているのか。
国会議員時代から、国会の憲法調査会などで発言してきた。戦後、日本国憲法が果たしてきた役割は意義深かったと評価する立場だ。国民主権や、憲法九条で平和国家日本をつくると高らかに宣言したことが、アジア太平洋の平和に寄与してきた。
ただ、国民生活のあり方や国際社会は時代とともに変わってくる。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という根幹は堅持しながら憲法も変える必要がある。道州制で地方分権を強化したり、基本的人権に環境権などを加えてもいい。九条は(戦争放棄を定めた)一項は変えないで、二項は少し変え、自衛のための戦力保持は認めるべきだ。国際平和協力業務も憲法に位置付けるべきだろう。
最後に申し上げると、日本維新の会が綱領に「憲法が日本を侮蔑の対象におとしめた」と書いたが、違和感がある。そういうふうに思っている国民はいます?
注)大村秀章愛知県知事、衆議院議員(5期)、厚生労働副大臣(麻生内閣)、内閣府副大臣(安倍内閣)等を歴任した。
参考:
首相、解釈変更へ意欲 集団的自衛権の行使
安倍晋三首相は8日午前の参院予算委員会で、憲法で禁じられているとされる集団的自衛権の行使容認に向けた議論を、安倍政権になって再開した意義を強調した。政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」について「安全保障環境が変わる中で、今までの解釈でいいのか」と、議論の進展に意欲を示した。
懇談会が2008年にまとめた最終報告書で実施可能とした、公海上での自衛隊による米艦船防護など4類型に関し「新たな分類が必要かどうかを含め、懇談会でさまざまな議論がなされている」と説明した。民主党の川上義博氏への答弁。(5/8 共同)
首相、「進駐軍が作った」 改憲実現に意欲
安倍晋三首相は8日の参院予算委員会で、1946年に公布された現行憲法が連合国軍総司令部(GHQ)の草案を基にしていることを踏まえ「制定過程で(見ると)、進駐軍が作った。時代にそぐわない内容もある」と述べ、改憲実現への意欲を重ねて示した。
同時に「私たち自身の手で憲法を作るという精神こそが、新しい時代を切り開く」と訴えた。
トルコとの原子力協定締結を含めた原発輸出政策に関し「相手国の事情や意向を踏まえ、高い安全水準技術を提供する」と推進していく考えを強調した。みんなの党の山田太郎、社民党の山内徳信両氏に対する答弁。(5/8 共同)
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