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[改憲] 反対の声 続々!!東日本被災者たち

2013-05-09 | Weblog

「改憲より現状解決を」 不平等感じる被災者

福島民友新聞

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降、多くの県民が仮設住宅などでの不自由な避難生活を強いられている。さらに原子力災害や避難に伴い仕事を奪われ、居住地などの違いで賠償に差が生じるなど、憲法の3原則の一つ「基本的人権の尊重」が等しく保障されているかどうか、疑念を抱く被災者も少なくない。そうした中で高まる憲法改正をめぐる論議。県内被災者はどう受け止めているのだろうか。
 富岡町から郡山市の借り上げアパートに避難している女性(77)は「町の除染は進んでいないし、自分が現在置かれている不安だらけの現状を考えると、国は自分たちの基本的人権の尊重について、どう考えているのかと考えてしまう」と長引く避難生活に率直な気持ちを吐露した。会津若松市の仮設住宅で生活する大熊町の木幡ますみさん(57)も、「基本的人権の尊重」が保障されていないと感じている。

「またどこかで原発事故が起きれば多くの人が避難しなければいけない。私たちが何で逃げているのかということをもっと分かってほしい」と訴える。郡山市の富岡町富田仮設住宅自治会長の遠藤武さん(69)は「(憲法改正よりも)目の前のこの理不尽な状況の解決が先だ」と、国会での論議に疑問を呈する。


東日本大震災 改憲より復興を

毎日新聞

米軍ヘリが降りた公民館の庭を示す吉田忠雄さん。普段は高齢者がグラウンドゴルフを楽しんでいる=岩手県大船渡市赤崎町で、根本太一撮影

 3日は憲法記念日。2011年の東日本大震災以降では3度目の記念日となり、被災地からは「憲法改正論議より、復興に政治のエネルギーを注いでほしい」との声も上がる。東京電力福島第1原発事故で「居住移転の自由」など憲法で定める人権を奪われた被災者は「現行憲法さえ守られていない」と憤る。


 ◇生存権 

 進まぬ街の復興を見つめながら岩手県釜石市の中川淳さん(79)は憲法改正のハードルを下げようとする動きを憂慮する。

 大震災で死者・行方不明者1000人以上を出した釜石市は1945年7月と8月、太平洋戦争で艦砲射撃を受け、この時も1000人以上が犠牲になった。当時国内で2番目に大きい製鉄所が狙われ、街は焦土と化した。

 中川さんは爆音にうろたえた少年時代の経験も踏まえ、戦争放棄を定める9条や、生存権を保障する25条の大切さを訴える。自らは中学校で38年間、教師として憲法を社会科の授業で取り上げ、生徒が9条などについて書いた作文は大切に保管してきた。作文は自宅もろとも津波に流されたが「憲法の価値観は社会の中堅世代となった教え子たちに根付いている」と自負する。

 いまだに避難生活を送る中川さんは「被災者の生存権は十分に守られているだろうか」との疑問を持つ。憲法16条は損害の救済などを求める請願権を保障するが「遠慮やあきらめで口をつぐんでいる被災者も多い。憲法には被災地復興や被災者支援のための権利が詰まっている。国会議員は憲法改正論議の前に、住民は保護されるべき存在だということを再度、自覚する必要がある」と話した。

 ◇米軍支援

 岩手県大船渡市の赤崎地区公民館の前館長、吉田忠雄さん(72)は「あまりのうれしさに涙が出た」と「あの時」を振り返る。

 大震災直後、公民館には約340人が押し寄せた。交通網が遮断され、水が尽きた4日目の昼過ぎ、ごう音が聞こえてきた。米軍の「トモダチ作戦」の空母艦載ヘリだ。

 「窮地で救ってもらうありがたさ」が身に染みた。地区内ではそれ以来、自衛隊の他国での米軍支援を容認する若者が増えたと感じている。戸田公明市長も「時代の変化に応じた憲法は必要だ」と改憲論を容認する。

 「だが」と吉田さんは立ち止まる。日本は自衛目的以外で銃を構えて良いのだろうか。「トモダチ」に恩義は感じるが、米軍に対して自衛隊は医官派遣などの後方救護活動に専念する策もあるはずだ。「そもそも違憲判決が出た衆院選の当選者に、改憲への1票を国会で投じる資格があるのだろうか」。改憲論議よりも「政治のエネルギーを復興に」と願う。

 ◇財産権 

 東京電力福島第1原発事故で、福島県大熊町から会津若松市に避難している農業、渡部隆繁さん(63)、栄子さん(60)夫妻は、職業選択の自由や財産権など、憲法の保障する権利が侵害されていると憤る。

 大熊町の自宅は原発から約3キロ。昨年12月に帰還困難区域(年50ミリシーベルト超)に再編され、除染は当面始まらない。自宅と田畑は、政府が示した中間貯蔵施設の調査候補地内に入る可能性がある。このため埼玉や茨城などの農地を見に行き、移住の構想を練ってきた。

 しかし、移住の前提になる財物賠償基準は生活再建にほど遠い。所有していたトラクターや田植え機などは買い直せば約5000万円かかるが「減価償却に応じた価値」という基準では1500万円にしかならない。納得できる賠償を得るには訴訟しかないと考え始めているが「奪われた財産や生活を元に戻せない基準はおかしい」と思う。

 隆繁さんは大熊町で40年以上、農業を続けてきた。土作りには時間がかかる。一刻も早い再開を目指すが、借り上げ住宅で細々と暮らす日々が続き「働けないことがつらい」(栄子さん)。職業や財産が奪われたままの「中ぶらりんの人生」を余儀なくされ、夫妻にとって憲法改正論議は空疎に響く。「今の憲法が認める権利さえ守られない中、どんな新しい憲法を作るというのか。順番が逆ではないか」


 

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