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[責任のとりかた] 東海原発(東海村)廃炉作業の場合

2013-06-26 | Weblog

記事:廃棄物処分先決まらず

国内初の商業用原発である日本原子力発電東海原発(東海村)の廃炉に向け、設備の解体作業が本格化している。関係者は技術やノウハウを、東京電力福島第1や老朽化した原発などの廃炉でも活用したいと意気込む。しかし放射性廃棄物の処分先が決まらないなど廃炉への道のりは険しく、国内で「廃止措置」の1番手として先行する東海原発の作業は、今後も難航が予想される。

▽先送り 

原電が公開した東海原発の熱交換器の解体現場。鉄製の交換器をコンテナに収まる大きさに切断する作業を全面マスク姿の作業員が進めていた。高さ25メートル、直径6メートルの巨大な円柱形の熱交換器は、遠隔操作で輪切りに。周囲は放射線への警戒を促すピンク色のシートで区切られ、立ち入りが制限された。

東海原発は2001年に廃止措置を開始。熱交換器など原子炉周辺以外の設備撤去を先行させた上で、原子炉本体の撤去作業を11年度に始め、17年度までに全作業を終える計画だった。しかし原電は準備の遅れを理由に、原子炉の撤去作業の開始を14年4月に先送りした。

「可能性はゼロではない」。原電幹部はここへ来て、さらに原子炉解体や撤去が遅れるシナリオを否定できない。放射性廃棄物の処分先が決まらないためだ。燃料のウランは全て事前に取り出されており、解体で出る放射性廃棄物は、炉心周辺の1600トンなど計約2万7千トンが見込まれる。

ただ、このうち敷地内での埋め立てを検討中で、ごく低レベルとされる約1万2千トンでさえ、地元の了解は得られていない。残りは電気事業連合会が処分先を確保する方向だが、立地場所も詳しい処分方法も見通せない状況だ。原電幹部は「壊すのは比較的簡単。問題は処分先だ」と漏らす。

▽「別世界」

原子力規制委員会は原発の運転期間を原則40年に制限するほか、新規制基準の施行後は、原発事故を教訓に厳しい姿勢で安全性のチェックを進める方針だ。

福井県にある関西電力美浜1、2号機や原電の敦賀1号機がすでに運転40年を超え、中国電力島根1号機や九州電力玄海1号機(佐賀県)なども40年が間近だ。廃炉を迫られると、東海原発と同様に廃棄物問題などの課題が突き付けられる。

燃料を取り出して進める東海の廃炉でさえ計画が揺れる中、事故を起こした原発はどうか。

燃料が格納容器内に溶け落ち、複数の炉内で詳しい状況がつかめない福島第1に関し、原電の担当者は「廃炉へのスタートラインが違う。全く別の世界だ」と話す。

一方、原電は3次元の立体画像を確認しながら遠隔操作で構造物を切断できるシステムを取り入れるなど、新たな手法の開発にも取り組む。

規制委の調査団が敦賀2号機直下に活断層があるとの報告書をまとめ、原電の経営には逆風が吹くが、東海事務所の柳原寛司副所長は「廃炉を効率化する技術や工法の開発を進め、福島や他地域の廃炉にもフィードバックさせるのが、われわれの使命だ」と強調した。


参考:


記事毎日:7割近い支持率の安倍政権 しかし主要政策にほころびも

横田さんは昨年、会社の拠点をいわき市内に移した。工場では、原発内の工事で使う機材の加工作業が進む=福島県いわき市で、木葉健二撮影
横田さんは昨年、会社の拠点をいわき市内に移した。工場では、原発内の工事で使う機材の加工作業が進む=福島県いわき市

「廃炉に向けた挑戦が成功して初めて福島の復興、日本の復興につながる。政府も全面的にバックアップしていきたい」=昨年12月29日、東京電力福島第1原発を視察した安倍晋三首相が、現地であいさつした時の言葉

◇廃炉の人材、除染へ 高い線量「国策しかない」

福島第1原発内で電気工事に携わってきた1次下請け会社「昭栄(しょうえい)」(本社・福島県双葉町)は、原発事故当時30人ほどいた原発作業員のうち、既に12人が辞めた。今月10日、同県楢葉町にある工事事務所を訪れると、10畳ほどの部屋にいたのは「所長」と呼ばれる男性(50)と女性事務員だけ。作業服姿の「所長」が教えてくれた。「以前は大勢が出入りしていたんですけどね……」

前身の会社は福島第1の建設当初から原発に携わり、1984年の分社化で今の会社ができてからも原発内の仕事を受注してきた。リクルートしてきたのは双葉郡内の高校を出た地元の若者。「地元への愛着と仕事の誇りを持っていた」。川内村出身の社長、横田善秀さん(58)は社員の気持ちを代弁する。

福島第1の事故後も、同社は原子炉建屋内で仮設電源の設置やケーブルの敷設などを請け負った。高い線量を浴びるのは避けられない。結婚や子育てを控えた若い作業員たちが辞めていった。横田さんも引き留められなかった。

昨年11月、横田さんは地元・相双地区のハローワークに求人を出した。求人票には正直に「原子力発電所での工事に従事」と書いたが、応募があったのは同時に募集したいわき市内の工場勤務の仕事ばかり。原発作業は今も応募がない。

廃炉作業の人材が、除染作業に流れている−−。

福島の原発関係者の間に、そんな見方が広がっている。

除染は国の直轄事業のため、日当に加えて1日1万円の手当が付く。地元のハローワークに出された求人票などによると、ボーナスこそないが、手当を合わせた月給は40万円を超える求人も少なくない。一方、東京電力が進める福島第1の廃炉作業は、東電のコスト削減に伴い競争入札取引が拡大。1年ほど前から受注競争が激化し、工事の単価は震災前と同程度まで下落した。作業員の賃金にも影響し、単純に月給だけで比較すると除染の方が高いケースもある。

事故直後から福島第1で作業に従事した「所長」は2〜3カ月で被ばく線量が上限に達し、今後数年間は作業に出られない。「防護服を着て、マスクを付けてあの線量。危険な思いをして高い線量を浴びる原発作業と、高い手当が付く除染作業をてんびんにかければ、誰だって除染作業を選ぶ」

福島第1の廃炉は約40年かかるとみられている。資源エネルギー庁によると、1日に必要な原発作業員は約3000人。現在は月平均約8000人の登録があり、同庁は「当面は作業員の不足はない」とみる。だが、横田さんは「登録はあくまで登録。拘束力はなく、必要だからといって呼べるわけではない」と反論する。

昭栄では今春から、廃炉作業に当たる社員に1日3000円の危険手当を出すようにした。こうした対応が現場任せになっている現状を横田さんは危ぶむ。

「誰だって危険な場所に行きたくない。本当に廃炉を考えているなら、政治家は勇気を持って言ってほしい。作業員を使い捨てにしない、廃炉は国策でやるんだと」

    

 


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