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京都新聞社説 姑息な安倍に告ぐ 性急な改憲許されない 

2017-05-04 | Weblog

憲法施行70年  性急な改憲許されない

日本国憲法はきょう、施行70年を迎えた。戦後の日本は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の三大原則の下で、復興と経済成長を成し遂げ、新しい国をつくってきた。

「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍晋三首相は在任中の憲法改正を目指しており、憲法施行70周年の記念式典でも「新しい時代の理想の姿を描くことが求められている」と強い意欲を示した。

国会では、改憲に賛同する勢力が衆参両院ともに3分の2を超えて、改憲が現実味を帯びる。昨秋の臨時国会からは、憲法審査会も再開した。これまでに「参政権の保障」「国と地方の在り方」をテーマに議論や参考人質疑を行い、次は「新しい人権」の予定だ。

審査会は、党派を超えて憲法に向き合う「熟議」の理想を掲げて出発したはずだが、自民党には、大規模災害時に国会議員の任期延長を認める緊急事態条項の新設や教育の無償化規定など、改憲項目を絞り込んで発議を狙う「前のめり」の姿勢が明らかだ。

しかし、施行70年を経ても、国民のため直ちに改憲が迫られる政治状況にあるとはいえまい。自民は「復古的」と批判のある党改憲草案を事実上棚上げし、連合国による「押しつけ憲法論」の主張も抑制して改憲の実現を最優先にしているが、それではますます必要性があるかどうかという出発点があいまいになってしまう。

世論との乖離(かいり)もみられる。

共同通信の世論調査で、改憲を「必要」「どちらかといえば必要」とする人は60%、「どちらか」を含めて「必要ない」は37%で、容認派が増えているが、具体的な改憲項目で緊急事態条項や教育無償化をあげる人は少ない。

国民の関心が高いのは「9条と自衛隊」だ。改正の賛否は拮抗(きっこう)しているが、自衛隊の存在を認め、国際活動へは歯止めをかけることを重視する意見が多い。さらに、日本が戦後武力行使しなかったのは「9条があったから」とする回答は75%に上り、平和主義が国民に広く浸透し、高く評価されている。こうした国民の意識に、正面から向き合う必要があろう。

ただし、安倍政権での改憲については反対が51%で、賛成の45%を上回っている。安倍政権は、違憲の疑いがある安全保障関連法を成立させるなど強引な手法が目立つ。国民の懸念を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。憲法論議は国民が広く関心を持って深める必要がある。性急さは許されない。


デーリー東北社説 姑息な安倍よ、解釈改憲を繰り返すな 国民と正面から向き合え

2017-05-04 | Weblog

憲法施行70年 解釈改憲を繰り返すな

日本国憲法は3日、施行70年を迎えた。北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、就任100日を迎えた米大統領との間で一触即発の緊張感が高まり、内向きのナショナリズムが各国で台頭する―。国際情勢が不安定さを増し、平和について考えさせられる中での節目である。

北奥羽地方も時代の荒波にさらされている。安倍晋三首相が一昨年、憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法を成立させた。これを受け、陸上自衛隊第9師団(青森市)を中心に組織された国連平和維持活動(PKO)11次隊が、南スーダンに派遣された。先月から順次、撤収作業が始まっている。

青森県内には陸海空の自衛隊に加え、米軍三沢基地もある。9条を中心とした憲法の在り方は、北奥羽地方でもより身近で切実な問題となっている。

そんな中、昨年の参院選で、憲法改正に前向きな勢力が衆参両院で国会発議に必要な3分の2以上を占めた。いよいよ改憲が現実味を帯びている。

ただ、この70年で、憲法が育んだ戦後民主主義は国民各層に定着した。いま政治に求められるのは、憲法の歴史的役割を正当に評価した上で、現実との「ずれ」があるかどうか、冷静に論じ合う姿勢ではないか。

国民の抵抗が少ない課題を選び、取りあえず改憲の実績を作ろうとする「お試し改憲」が好ましくないのは当然だ。

注目したいのは、共同通信が実施した世論調査の結果だ。安倍政権下での改憲は51%が「反対」と答えており、「賛成」は45%だった。9条の改正についても賛否は拮抗(きっこう)している。

これらは、国際情勢への懸念があっても、安易な9条改正へと世論が雪崩を打つわけではないこと。何より「安倍1強」の中での性急な改憲論議には、危うさを覚える人が多いことを示してはいないか。安保関連法を成立させた際、「立憲主義を無視した解釈改憲だ」との批判があったように。こんな解釈改憲を繰り返してはならない。

安倍首相は1日、早期の改憲発議へ環境整備を図る強い意欲を示した。本丸は9条だとの見方が根強い。だが、衆院憲法審査会の論議では、改憲の対象項目として、緊急事態における国会議員の任期延長などが浮上しているという。そこに緊急の必要性があるのか。お試し改憲そのものではないか。

安倍首相が9条改正を目指すのなら、国民と正面から向き合い、言葉を尽くして、支持を広げる努力をするべきだ。


琉球新報社説 安倍に告ぐ ヤクザ政権の言論封殺には屈しない

2017-05-04 | Weblog

朝日新聞襲撃30年 言論封殺には屈しない

1987年の憲法記念日の夜、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に散弾銃を持った男が押し入り、小尻知博記者が銃撃され死亡、犬飼兵衛記者が重傷を負った。あの事件から30年たった。

言論機関がテロ攻撃を受け、憲法が保障する言論の自由が侵害された。意見や立場の違いがあろうとも、それを受け入れる多様な社会でなければならない。私たちは暴力による言論封殺に決して屈しない。

阪神支局襲撃後に「赤報隊」名の犯行声明文が届き「反日分子は極刑」などと書かれていた。警察は右翼団体関係者らを捜査したが2002年、事件は時効となった。「反日」という言葉は今、異論を排除する時に使われている。気に入らない意見に「反日」とレッテルを貼って切り捨てる不寛容な空気が広がっていないか。

阪神支局襲撃事件以降も言論に対する暴力は依然後を絶たない。

1990年1月「天皇に戦争責任」と発言した本島等長崎市長が銃撃された。2006年8月には小泉純一郎首相の靖国参拝を批判した加藤紘一衆院議員の実家と事務所が放火で全焼。07年には被爆地・長崎の代表として国内外で平和を訴えてきた伊藤一長市長が暴力団組員に銃で撃たれ死亡した。

県内では昨年、米軍北部訓練場でヘリパッド建設の取材に当たる琉球新報、沖縄タイムス両紙記者を警察が現場から排除した。安倍政権は記者拘束について事実関係を検証せず、根拠も明らかにしないまま「報道の自由は十分に尊重されている」とする答弁書を閣議決定した。警察の恣意(しい)的な権限行使を擁護することは、国家が言論規制に手を貸しているに等しい。

国境なき記者団(RSF)はこの答弁書に触れ「安倍晋三首相率いる政府は機動隊のこのような活動を容認し、ジャーナリストにとって危険な前例を作った」と問題視している。

RSFが発表する各国の報道自由度ランキングで、日本は10年の11位から16年には72位に大きく下がった。安倍政権が成立させた特定秘密保護法などの影響で「自己検閲の状況に陥っている」との指摘を、重く受け止めなければならない。

報道機関が自己規制すれば、戦前に逆戻りである。メディアが国家に統制された歴史を繰り返してはいけない。権力監視こそ使命であることを肝に銘じたい


東奥日報社説 安倍よ、改憲をほざく前に お前の崩れた脳ミソをまず整理し国の方向性を示せ 

2017-05-04 | Weblog

安倍は憲法記念日の3日、東京五輪・パラリンピックが開催される20年を引き合いにだし、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とほざいた。

理念充実へ建設的論議を

日本国憲法は1947年の施行から70年を迎えた。安倍晋三首相は在任中の憲法改正に強い意欲を示し、改憲に前向きな勢力が衆参両院で改憲発議に必要な議席を占める国会では、憲法審査会で議論が行われている。

現憲法は70年間、一言一句変わっていない。その間、社会の在り方や国際情勢が大きく変わったのは事実だ。しかし憲法が掲げる基本的な理念は古びているだろうか。

時代の変化に合わせて見直すとしても問われるのはその方向性だ。求められるのは憲法の基本理念を充実させ、より良きものへ磨き上げていく建設的な論議である。

憲法審査会での各党の議論で一致するのは国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原理は国民に定着しており、今後も堅持するという点だ。しかし、これらの理念は本当に守られていると言えるだろうか。

まず国民主権。2014年の前回衆院選の投票率は52%と戦後最低を記録した。今の国会は主権者の代表であると胸を張れるのか。安倍政権は15年末、憲法の規定に基づいて総議員の4分の1以上が要求した臨時国会の召集を拒否した。主権者の意思の無視ではないか。

基本的人権はどうか。3月に東京都内で81歳の妻を殺害して逮捕された84歳の夫は「認知症の介護に疲れた」と供述した。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は保障されているのか。そして今「内心の自由」を侵す恐れが指摘される「共謀罪」法案が国会で審議されている。

平和主義の揺らぎは言うまでもないだろう。「積極的平和主義」の名の下、安全保障関連法の制定で自衛隊の海外での武力行使に道が開かれた。

70年はただ憲法の文言を固守してきた歴史ではない。権利を訴える声や裁判闘争を積み重ね、憲法の内実は具体化していった。その一方でいまだ理念に達していない現実もあるということだ。

安倍首相は改憲派の集会で「理想の憲法の具体的な姿を国民に示す時だ」と強調した。もちろん70年前の憲法は完全無欠ではないだろう。しかし今、自民党など改憲勢力が検討課題に挙げる緊急事態条項の新設などに緊急性はあるのか。憲法審査会の議論は深まっておらず、国民の抵抗が少なそうなテーマを探す「改憲を目的とした改憲」の議論に陥っているのではないか。