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室井さん、そうなんです。 子どものいない安倍にはどうでもいいんです(子の将来など)

2013-09-13 | Weblog

室井佑月 東京五輪決定も「世の中の雰囲気についていけない」

dot. 9・11

 56年ぶりに東京でオリンピックが開催されることとなった。その直前の最終プレゼンで、安倍晋三首相は安全性を強調したが、作家の室井佑月氏は疑問を呈する。

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 法案成立後からずっと放置されていた「子ども・被災者支援法」は、放射線量基準値を決めないまま、福島県内33市町村を「支援対象地域」に指定するようだ。復興庁がそんな基本方針案を出してきた。

 線量を基準にしたら、もっと広い範囲に対象が広がりそうだからじゃないのか。ホットスポットが見つかった場所の放射線測定費として、国はこれまで6億4千万円の予算をつけたが、結局、原子力規制庁はなんにもしなかった。

 ほんとうにそれで大丈夫なの?

 この夏、増え続ける汚染水の問題が出てきた。しかし、それはオリンピック招致のニュースで消されてしまった感じ。収束の目処がつかない原発のニュースは暗いから、オリンピックの明るい話題にしましょうってことじゃないよね。

 こういった世の中の雰囲気についていけない。そして最近ではそういった自分に、罪悪感を抱くようになってきた。まるで、世の中を暗くしている元凶が自分なのではと思えてきたりして。そういう気持ちにさせられてしまう雰囲気が怖い。

 かろうじて雰囲気に流されていないのは、子供の親だからだと思う。

 じつはこの夏、息子の甲状腺のエコー検査と尿検査をしにいった。一度、心配してしまえば、不安な気持ちが大きくなるばかりだったから。

 結果、息子の喉には5個の嚢胞(のうほう)が見つかった。

 医者がいうには、そのこと自体はそんなに大変なことじゃないし、大事を取って二十歳くらいまで1年に1回、エコー検査と尿検査を受ければ問題ないのだとか。

 とりあえず検査して安心した? いや、あたしはその後、もっと暗い気持ちになった。

 福島やホットスポットに住んでいる子供のいる親たちは、どういう気持ちで今を過ごしているのだろうと想像するからだ。叫び出したいくらい不安なんじゃないか。子供を守るのは親の役目だから、あたしは間違ったことはしていないはずだ。うちは気にしているとあたしが正直に書くことにも意味があると思っている。

 でも、東京にいる者がなにやってんだと、後ろめたい気持ちにもなる。させられるのだ、今の世の中の雰囲気に。

 あたしは不思議でならない。「子ども・被災者支援法」に携わっている復興庁の人々や、ホットスポットの放射線測定費の負担事業を任された原子力規制庁の人々に、子供はいないのか。いたとしたら、自分の子供の心配はまったくしないのか。

 自分の子供が線量が高いといわれる場所にいたらどういう気持ちになるか、人として最低限の想像力をなぜ持っていない?

 国の方針に間違いはなく、絶対に信じられるものだという情報をなにか握っているなら、あたしたちにもわかりやすく教えて欲しい。時間が経てば経つほど、不安は増幅していく。


「そんな金があるならなぁ」室井佑月が東京五輪招致に思うこと

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 2020年の夏季オリンピック開催予定地の決定が目前に迫り、国が東京招致に力を入れる中、作家の室井佑月氏は「政府はもっとやることが他にあるのではないか」と苦言を呈している。

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 有名歌手のお母さんの自殺と、福島第一原発の汚染水の問題、おなじ調子でニュースで取り上げるのってどうなのか?

 まだ若い歌手は、お母さんの死をこんなふうに取り上げられ、切ないだろう。可哀想に。まるで汚染水問題の目くらましに、このニュースが使われたような気がしたのはあたしだけだろうか。

 福島第一原発では、毎日700トンの汚染水が発生し、300トンは海に流れ、400トンはタンクなどに貯蔵している。最近では、貯蔵しているタンクからも汚染水が約300トン漏れていた。

 でもって、漏れが見つかった貯蔵タンクの耐用年数は5年ともいわれている。

 はぁ~、事故の収束に何十年、何百年かかるかわからないのに、なぜ耐用年数5年のタンクを使う? 福島第一原発の写真を見ればわかるが、とてつもない数のタンクが並んでいる。あれを入れ替えるのか?

 このままだと、使えなくなった放射性廃棄物の古いタンクの置き場にも困るんじゃないか。素人のあたしでもそのくらいは考える。もちろん、この国の首相である安倍さんはとっくに答えを出しているよね。ゴルフ三昧の、余裕の長い夏休みを取ったぐらいなんだから。

 んでもって、安倍さんは夏休みが終わったあとの8月23日に都庁で行われた「2020年東京オリンピック・パラリンピック招致出陣式」に出席。「私もブエノスアイレス(IOC総会が行われる場所)に行きます!」と発言した。汚染水ダダ漏れの原発をそのままにして行くんかい? なんでも、東京招致の強みは、45億ドル(約4400億円)の潤沢な開催準備金らしい。

 そんな金があるならなぁ、と思うのはあたしだけ?

 文部科学省の発表では、オリンピックなど国際スポーツ大会の日本での開催について、「好ましい」という人が92%なんだとか。そういう人たちは、夢の東京オリンピックにいくら金がかかって、その裏で金をケチってないがしろにされている物事について知らないのだろうか。

 8月23日付の東京新聞によれば、「東京電力福島第一原発事故を受けた『原発事故子ども・被災者支援法』の成立から一年以上たつのに、国が基本方針を策定しないのは違法だとして、福島県などの住民や自主避難者計19人が22日、国を相手取り、基本方針の早期策定などを求めて東京地裁に提訴した」。

 原告一人につき1円の損害賠償請求。彼らは、国が放射線の安全基準値をはっきり示せ、とそれだけをいっている。子どもの安全と健康をもっと真面目に考えろと。

 けど、国ははっきりさせたくないのよね。支援にどれだけお金がかかるかわからないからだろう。国の金は無尽蔵にあるわけじゃない。文科省はオリンピック招致と一緒に、この問題についてどう思うか、ぜひ国民に聞いてみてよ。