晴、11度、84%
数日前、「エンジンアラーム」が灯りました。ちょうどディーラーがお休みの日でした。3年前、香港からの帰国時にたくさんの書類を作って持ち帰った車です。最後の引越しと思っていたものの、家財道具、車、モモさんと私の引越しは大掛かりでした。私より随分早く香港を出た車がこの家に着いたのは私たちよりも数週間後のことでした。車到着前には、日本での書類の手続きがたくさんありました。車を見たときは嬉しかった。
アラームが灯った車を前に半日、「車の買い替え」を考えました。古い車です。香港の街を走った思い出深い車です。大きな車ではありませんが、日本の道事情にはそぐわない車です。燃費の悪い車です。しかも2人しか乗れません。日本に来てからは気候変化もあり、故障もずいぶん出ました。モモさんの最後ひと月の毎日の通院には活躍してくれました。義母が入院を繰り返す中、交通連絡の悪い主人の実家への往復はこの車なしでは考えられませんでした。
ディーラーに持って行くと、エンジントラブルはマイナーなものだと言うことでした。ただ、バッテリーがすでに7年を過ぎていると言われ、そう言えば前回替えたのはずいぶん前だったなあと思い出します。昨日、小さな部品交換とバッテリーを替えるために、半日ディラーに入院させました。
私はこの9ヶ月、公共交通機関に乗ったことがありません。車を預けて歩いて家に帰ります。お迎えに行くときも歩いて行きました。歩きながら「車の買い替え」が頭の中をよぎります。
整備の整った車を暗くなり始めたディーラーの車庫に見つけました。「やっぱりまだしばらくはこの車に乗ろう。」助手席に座るモモさんはいつも、
こうして私の横顔しか見ていませんでした。この瞳が忘れられません。
「車さん、もう少し頑張ってね。」モモさんも後押ししてくれているかのように、ヘッドライトが灯る道を快調に家に向かいました。