チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

富山の和菓子 「とこなつ」

2020年10月04日 04時00分12秒 | おやつ

曇、22度、94%

 日本全国、まだ知らない美味しい和菓子があります。富山の和菓子を頂戴しました。 高岡市の大野屋と言うお店のお菓子です。代表的なお菓子が「とこなつ」と題された小さな餅菓子だそうです。 2センチほどの白い餅が整然と入っています。この「とこなつ」はその昔、大伴家持が「立山」を詠った歌から名付けられたそうです。「立山」と聞くと私はある方のことを思い出します。

 我が家のお重箱はこの「立山」を望む「鯖江」にお住まいだった「山本英明」さんという人が作られたものでした。とても堅牢な作り、決して派手ではないけれどいい艶を持つ漆です。この山本さんの作った蓋つきのお椀が欲しいと思ったのはもう20年以上前のことでした。そこで、鯖江の山本さんにお電話しました。一面識もありません。お重箱は都内のお店で求めたものです。お電話口に出られたのはなんと山本さんご自身でした。簡単に蓋付のお椀が欲しい旨話しますと、「手元に一組あるから送ってあげる、嫌だったら送り返しなさい。」とおっしゃいました。と言っても当時私は香港に住んでいました。にも関わらず、3日後には蓋付のお椀が香港に送られて来ました。

  これがそのお椀です。名前は「立山椀」、立山に見立てたお椀です。もちろん使わせていただくことにしました。お代金も「次の帰国時に振り込めばいいよ。」となんともおおらかな言葉をいただきました。一度この時のお礼も兼ねて、まだ行ったことのない鯖江に山本さんを訪ねたいと思いました。

 10年ほど前に山本さんは急逝なさいました。まだ70歳というご年齢でした。その後、山本さんの人となりを書かれたものを読む機会がありました。勲章やら人間国宝などは全部お断りになり、お電話でお話ししたそのままのざっくばらんな方だったそうです。

 今、私は63歳、「立山」の一言から急にいろいろなことを思い出しました。そんな思いと一緒に大野屋の「とこなつ」をおやつにいただきました。 使った皿は「立山椀」の蓋です。そしてお盆は山本さんのご長男が作られたものです。

 「立山」に被る白雪を詠った家持の歌のように、「とこなつ」は和三盆の白雪がたくさんまぶされています。餅の中も白餡です。しっかりとした甘さは寒い地方の和菓子だと感じます。小さいので一つまた一つと手が出ます。

 長い付き合いの友人が「秋になったから和菓子でも」と言って送ってくれた富山の和菓子です。いろいろなことに思いを馳せ、一度は富山に行き「立山」を見上げたいと今も思います。

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