晴、23度、93%
細い細いお月様が西に浮かんでいた数日前、早朝のランニングに玄関を出るとひんやりした空気に甘い香りがします。大好きな香りです。なのに「何の香りかしら?」と一瞬考えます。走り始めると行く先々でこの香りに出くわします。「あっ、そうだ金木犀。」毎年、急に訪れる「金木犀」の香りです。小さな花がどうしてここまでいい香りを出すことが出来るのでしょう。
香港は香りの薄い「銀木犀」が主流です。木の大きさも小株なものが多く、その香りに気付く人すら少ないと思います。しかも亜熱帯の気候です。一年中、どこかしこで花を付けていました。中国人はこの「金木犀」の花を乾燥させてその花にお湯を注いでお茶にします。ほんのりと円やかな甘さがある「金木犀」のお茶です。この乾燥した花をお酒につけて匂いを移します。甘いリキュールになります。「桂花陳酒」です。「桂花」は木犀のことです。一時期は小さな花をゼリーに閉じ込めたデザートも流行りました。日本人ばかりではありません。季節の花を楽しむ気持ちは同じです。
昨日は30度を越す暑さでした。「金木犀」がみっしりと花開きました。夕方には雷を伴った大雨で花も葉も潤いを取り戻しました。今日はこのひと枝を遠くに送ろうと考えています。遠くの街まで庭の「金木犀」の香りが送り届けられるといいのですが。今朝も玄関を開けると大きな木から降り注ぐような香りのシャワーに出会うはずです。