チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

真鍮の湯たんぽ

2016年02月04日 | 日々のこと

曇り、13度、83%

 私が実家の整理をした時、残した物は家具と大きな焼き物、日常の生活用品は殆ど捨てました。母の洋服も着物も食器も本も。ところが残した物の中からひょいと面白いものが顔を出します。この真鍮の湯たんぽもその一つ。私が残した物の基準、そのものの値段ではありません。自分が使おうと思う物のみ残しました。自分が使おうと思うもの、つまり自分が好きな物だけです。

 この湯たんぽが原因で母は足を痛めました。母が逝く10年前のことです。年末でした。寒くなり始めたので湯たんぽを入れて休んでいたようです。朝起きて、階下におりて来る時、湯たんぽを抱えて下りて来ます。古い家ですので階段は急です。ほんの数段のところで滑ったのだそうです。その時、湯たんぽを落とすまいとしたために、変な転び方をしたと言っていました。母が転びそうになった時、母の頭をよぎったのは、お値段のお高い真鍮の湯たんぽだったそうです。後になって、笑い話で話していました。

 さあ、お高い湯たんぽといっても一体いくらなのか私は知りません。私が魅かれたのは素材の真鍮とこのまん丸なディスク型。最近は、プラスチックの湯たんぽなど可愛いものが出ています。手軽で使い易い湯たんぽ。私が小さい頃使っていたのは、確か楕円形のブリキの湯たんぽだったと記憶しています。湯たんぽの温もりはお布団に入った時、ほんわりと迎えてくれます。お布団の自分の匂いが湯たんぽで温められて、「ようこそ。」と言っているようです。

 寒い福岡に着いたのは5日前、お風呂も済ませて熱湯を湯たんぽに注ぎました。6年ぶりにお湯が入った湯たんぽです。付いていた袋は捨てましたので、バスタオルで包みます。足元に入れて、お布団に滑り込みます。思わず、ふふっと笑いが込み上げました。朝目が覚めると、足元に湯たんぽがありません。見るとベットの下に落ちています。寝ていると足がポカポカになります。どうも蹴飛ばしたようです。そこで二晩目、脇腹の横に置いて休みました。蹴飛ばさずに朝までお布団の中に湯たんぽあがありました。

 ヨーロッパでも水枕のような形の湯たんぽを使うのだそうです。エコな暖の取り方です。朝顔を洗うときは、小さい頃のように湯たんぽの残り湯を使います。小ぶりなこの真鍮の湯たんぽ、お湯を洗面器に明けるのも楽です。思っていたより熱いお湯でした。

 母は、この湯たんぽを守ろうとして股関節の骨にひびが入りました。その後、股関節の骨を人工骨に入れ替える手術をしました。振り返るとそれ以来、母の調子が悪くなったように思います。母が抱きしめて転んだ真鍮の湯たんぽ、転ばないように今度は私が抱きしめます。

 

コメント
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