チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「EXPATRIATES」JANICE Y,K,LEE

2016年02月22日 05時10分42秒 | 

雨、14度、92%

 週に一度配信されるニューヨークタイムズのブックレビューを携帯のPodcastに落として聞いています。 その週の本のベストセラーや新刊の書評、作者とのインタビューなどが流れて来ます。1月の最後の週でした。新刊の作者とのインタビューを聞いていると作者は香港生まれ、香港育ちと言っています。彼女の2冊目の本が刊行されたばかり、しかも舞台は香港だといいます。早速、Amazonに頼みました。

 「EXPATRIATES」(駐在者)が題名です。香港には、いろいろな職種の駐在者が世界中から集まって来ています。この本の主人公は3人のアメリカ人女性、ご主人の駐在に付いて来た2人の中年女性と20代で駐在として香港に来た韓国アメリカ人の女性です。

 アメリカ人の駐在というと、銀行、商社、弁護士などのハイソサエティな方達を想像しがちですが、実際は職種も多岐に渡ります。この話は、香港島の南側に住まいを持つハイソな方達の話です。子供がいないHilary、子供を行方不明にしてしまうMargaret,ドロップアウトしてしまったMercy。この3人が、複雑に絡んで行く話です。

 地名やお店の名前が分かりますから、読むのに苦労はいりません。アメリカ人の駐在社会も日本人の駐在社会も変わらないものだと思い読み進めました。香港が狭いのもありますが、駐在のその中だけで生活している人にとっては、ほんとに狭い社会です。

 作者JANICEは、韓国から香港に移民した韓国香港人、アメリカの大学で学びニューヨークで仕事をして暮らしています。香港の諸事情、香港の韓国人世界もこの本では垣間見ることが出来ます。

 読んでいる間、外に買い物に行けば、HilaryやMargaret、Mercyに出会えそうな気がしました。Hilaryは養子縁組で子供の母親になります。香港では地元の子供を養子にする白人を良く目にします。子供を行方不明でなくしたMargaret は中国の精神科医のおかげで自分を取り戻して行きます。ドロップアウトしている韓国アメリカ人のMercyはHilaryのご主人の子供を身ごもります。

 泥沼の話にならずに、最後は、赤ん坊を産んだMercyの病室で3人が赤ん坊の将来を話すところで終わります。非常にスッキリとした筋立てです。ハーバードで文学を学んだという作者JANICEの米語の使い方はとても為になりました。この作者の第一作目の「THE PIANO TEACHER 」も香港が舞台だと知りました。もちろん、もう読み始めています。

 本を読み終えると余韻が残ります。そんな余韻の中、ふと携帯を見ると、昔の私の教え子が無事に出産したと知らせてくれています。心にぽっと灯が灯ります。

 

コメント
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