チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ジョアンハリス 「The GOSPEL of LOKI」

2015年07月27日 | 

降ったり止んだり,28度、85%

 フランス系イギリス人作家ジョアンハリスは日本では「ショコラ」の作家として知られています。しかも,ジュリエットビノッシュ、ジョニーデップ主演の映画の「ショコラ」の方がずっと有名です。私も,あの映画を見て以来,ジョアンハリスの本を読み始めました。イギリスでは高い評判を得ているハリスですが,日本語に翻訳されている本の数は5作。そろそろ20作に近い作品のほんの一部です。

 彼女の作品は,ファンタジー、ややオカルトめいたところもあったり,幻想的です。扱う話の幅も「ショコラ」のようにややロマンチックな物もありますが,サスペンスもあり、また北欧神話にまで及びます。生まれはイギリス、でもフランス語を話す環境で育ち,愛読書は「グリム童話」だったというのですから,なんとも東洋人の私はその発想の奇抜さにいつも驚かされます。

 「The GOSPEL of LOKI」,「ロキの福音」とでも訳しましょうか,北欧神話のロキが語る神の国アスガルズの興亡のお話です。ロキはコミックやスーパーヒーローにも時折モデルとなっているいたずら好きな神です。長い角の付いた兜を被った,人間の姿をしている時はとてもハンサムな神です。北欧神話では、人の姿ばかりでなく時には鳥や蛇などに姿を変えます。お話は北欧神話に基づいていますが,このロキが一人称で語るこのアスガルズの神たちの様子は,やや滑稽です。そして,最後は川の流れのようにロキも死んでしまいます。

 ジョアンヌハリスの作品の多くは,映画「ショコラ」の冒頭のように強い風と霧のかかったような幻想的な作風です。「ショコラ」の女主人公ヴィアンヌは、「ショコラ」以外に2作登場しています。このヴィアンヌこそは,作家ジョアンヌ自身の分身に違いないと私は思います。ヴィアンヌが登場する作品は,私たちには読み易いのですが,古い修道院が舞台の話や北欧神話に基づく話は読み辛い。でも、私よりやや若いこの作家にとても魅かれます。彼女の中に流れている様々な国の血,そして女性である事,ジョアンヌは作品の中で,人種差別や女性を軽んじる風潮をやんわりと非難しているかのようです。

 この本の前には,カズオイシグロの「THE BURIED GIANT」を読みました。イギリスのアーサー王時代の話で,話の主題ではありませんが魔物が出てきました。そして,この本はいろいろに姿を変える神様の登場です。挙げ句に,一昨日は,映画の「ジェラシックワールド」を3Dで観ました。きっと、ここ数日私の夢はこの手の物が次々に出て来る恐ろしげな物になりそうです。

コメント (2)
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