チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

裁縫箱

2015年07月20日 | 日々のこと

曇り、28度、82%

 もしも、知人が何か一つプライベートな物を見せてあげると言ってくれたら、料理好きな方なら鍋釜を、手仕事の好きな方なら裁縫箱を見せて下さいとお願いしたいと思います。鍋釜の並んだ棚にも裁縫箱の中にも、なんだかその方の分身がが隠れていそうです。

 昔,友人が不器用な私にパッチワークを教えてくれました。初心者は私だけ。皆さんチクチクと針を持つ、好きな形に布を裁つ,手際よくなさっています。まずは、型作りから習います。皆さん自分の裁縫箱を持参です。色とりどりの糸に針、変わったものは入っていませんが,それぞれの裁縫箱でした。 私のように空き缶を使ってる人,素敵な籠を裁縫箱に仕立てた人,立派な市販の裁縫箱。主婦の裁縫箱は家庭の小さな繕いの要です。海外生活、任期が短い方などは裁縫セットを持ってみえますが、子供がいる家庭では裁縫セットではやはり間に合いません。

 香港で売っている針や糸もイギリス、ドイツ、マレーシア、中国、日本とありますが、一番お値段の高い日本製が品質もやはり一番いいと思います。私の裁縫箱の中は,糸も針もあちこちの寄せ集め。日本に帰ったら糸も針も余分に買い置くようにしていますが,急に変わった色の糸が必要になると仕方なく地元で調達です。それでも,着物の半襟を付ける糸だけは日本の糸を使いたいと妙に拘ります。

 実家の荷物の整理をしている時に出て来た母の裁縫箱、立派な3段の木製です。埃まみれの中を開ければ、針は錆びて,糸はグシャグシャの絡まって見るも無惨でした。最後の数年は針も糸も本人ではなく,ヘルパーさんが使った後でしょうが、母自身、外見ばかりの裁縫箱で整理の出来ない人でした。中の分類整理もせずに,捨てました。

 4年前の震災後,縫い仕事を生業になさっていた方が、一番苦労なさったのが糸を揃えられなかったことだと聞きました。ミシンの前の壁に色が微妙に違う糸がずらりと掛けられていた震災前の写真は、私にはまるで大きな裁縫箱に見えました。

 縫い物はほんとに苦手です。主人のソックスの繕い,ボタン付け,針を持つのは大好きです。針を持つと,すっと心が静まります。悲しいことがあっても,辛いことがあっても,主婦は針を持たなくてはならないことがあります。裁縫箱の蓋を開けると,そんな自分の感情がフワッと出てきそうです。

コメント (2)
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