曇り、9度、78%
香港の中國と陸続きの九龍サイド、市街地を北東に向かうと右手に静かな湖のような湾が拡がっています。ぐっと入り込んだ入江です。その湾を取り巻くように、昔から漁民が住んでいたそうです。その古い街が大埔です。中國との国境には、まだ距離があります。昔から人の住んでいた辺は、未だに低層の薄暗い建物が建っていますが、やはり香港、その周りには新しく建てられた高層の住宅が並びます。そして、湾沿いの埋め立て地は工業地帯として発展しています。この工業地帯には、出前一丁を作る日清や山崎のパン工場が、私が来る以前からありました。
観光客などとは無縁の大埔、端午節の時のドラゴンボートが見物なぐらいでしょうか、もっと北の中國に境を接する元朗や上水の方が、田舎びてゆったりとした空気が流れていました。中國ではない、香港の田舎です。そんなわけで、ふらっと田舎に行きたくなると元朗や上水によく足を運びます。香港島の我が家の付近は、いくら住宅街とはいえ、都会の真ん中です。時間の流れが違う田舎が恋しくなります。ところがここ2、3年、元朗も上水も行く度に、かえって、疲れて家に戻ります。そうそう、あの中国人の人の多さです。国境を渡りさえすればやって来れる元朗や上水は、今やシンセンからの日常品を買う人で溢れています。彼らの荷物は半端なく大きく、道を歩くのにも邪魔なくらいです。昼間は年寄りと子供しかいなかった元朗や上水の街は、妙な発展をしています。
久しぶりに重い腰を上げ訪ねた大埔、国境から離れているというだけで、昔からの香港の田舎の人の流れです。小さな買い物が目当てでやって来た大埔です。旧正月が暦の上では明けたばかりのこの街に、懐かしい香港を見ました。
市場の中には、香港島にもある道教の文武廟の小さいお社があります。我が家のすぐ下の文武廟の4分の一ぐらいいの大きさです。 旧正月の明けなので、お参りの人も多いのですが、普段は、人影すら見られません。
蚊取り線香を大きくしたようなお線香が、ぶら下がっていますから、上から落ちて来る灰には要注意。
商店街を歩けば、 こんな洋服やがまだあります。スエットのズボンが、$25、300円ぐらいでしょうか。
こんな何でも屋、お菓子からお酒に調味料まで売ってる店も残っています。町中では、スーパーにおされて消えてしまったお店の形態です。手前のおばあさんが持っているオレンジ色のものは、干し芋です。
最近は、懐かしく思う場所に足を運んでも、跡形もなく香港らしいものが壊されています。いつもは歩くのが速い私ですが、街の人と同じ歩調で歩きます。 公園内の中華的な建物は、公共トイレです。
いつもいつもやって来ることは出来ません。時折、我が家から北の方を眺めて、まだ、静かな香港が流れている街を思います。