ヘブライ聖書(旧約聖書)の中の有名な物語に「七匹の太った牛と七匹のやせた牛」というのがあります。
その物語をここにご紹介します。
古代エジプトのプトレマイオス王朝は、当時の世界で最も豊かな王朝だった。それを築くことができたのは、統治者が知恵者の言葉を尊重したからだった。その知恵者は、そのときエジプトにいたユダや人なのだ。
ヘブライ聖書には、エジプトが豊かになったいきさつが書かれている。
エジプトのファラオがある日、夢を見た。ナイル川の川岸の緑の牧草地で、丸々と太った七匹の牛たちがナイル川の水を飲む。そして次にどういうわけか、やせ細ってあばら骨の浮き出た七匹の牛が現れ、バタバタと死んでいく。こんな夢を見てエジプトのファラオは、「この夢はどういう意味なのだろう」と臣下に聞くのだが、誰も夢の意味を解き明かす者がいなかった。
たまたま牢獄には、ヨゼフというユダヤ人がつながれていた。このヨゼフには夢を解き明かす術を持っているといううわさがあり、ファラオの前に連れてこられた。ヨゼフはファラオに「言ってもいいのか?」と前置きした後、「今、エジプトは大変豊かな国であるが、七年間の豊作が続いた後に、七年間にわたる大飢饉が来るだろう」と予言した。
まわりの者は「バカなことを言うな。このナイル川の水が絶えることはない」と嘲笑したが、ファラオはヨゼフの言葉を取り入れ、「今後、豊作が続く七年間は徹底的に倹約しよう」と倹約令を出し、余った穀物は全て穀物倉に入れて蓄えた。
果たして、予言通り七年後に大凶作がやってきた。しかも一年で終わるかと思いきや、二年、三年……七年も続いた。牛も馬も食べ物がなくなって、餓えて死んでいく。農民たちの食べ物も底を尽きかけた。しかしファラオが七年間で蓄えさせた穀物は、全土のエジプト人のみならず、周辺諸国のシリアやイラクから、メソポタミア一帯までも支えることができるほどの量だった。
ファラオは、蓄えた穀物を無償でエジプトの民に供出した。その見返りとして、農地を提供せよと言った。餓死寸前の農民たちに選択の余地はない。備蓄穀物は農民の手に渡り、飢饉が終わった七年後には、全エジプトの領地という領地は全てファラオのものになっていたという。
以上は、石角莞爾著『世界中のユダヤ人がひそかに読んでいる衝撃の預言書 ファイナル・クラッシュ』(朝日新聞社刊)という本の中から引用させてもらいました。
この本の由来を石角氏は次のように書いています。
――リーマン・ショックの勃発以来、世界中のユダヤ人や金融関係者――ただし日本人は除く――の間で、評判を巻き起こした本がある。
本の名は゛THE FINAL CRASH゛。著者はHugo Bouleauというフランス風の名前で、ヒューゴ・ブーローとでも発音するのだろう。ただしこれはペンネームである。本名はトビー・バーチである。
ここに本人の許可を得て初めて本名を明らかにするほどの話題の書である。
もともと部数の少ない自費出版で、ごく一部の金融関係者に配られたにすぎない。大評判となった後も増刷はせず、数少ない中古本が高い値段で取引されている。2007年春に出版されたこの本が、数年後に大反響を呼んだ理由は、それがアメリカにおけるバブル崩壊や、それに伴う商品相場の高騰などを的確に予言していたためだった。
それだけではない。この本はリーマン・ショックも予言していた。そして、驚くべきことに2011年8月に発生したアメリカ国債のデフォルト(債務不履行)危機、ユーロのクライシスも予言していた。ここまでは100%的中。そして、1930年代の世界大恐慌をはるかにしのぐ、「産業革命以来、人類初めての経験」という経済大破局の到来まで予言しているのだ。これが的中したら大変なことになる。(以下省略)――
著者の石角氏は、ある会員制のクラブの主催者から「これはすごい本だから、ぜひ読んだほうがいい」と勧められた。一読して、その内容に驚愕したという。
そのこともあって、世界の金融情報から遮断され、自国の立場を何も知らないでいる日本人にも、このような予言が存在することを急いで伝えねばならないと思ったという。
ちなみに、石角氏はスウェーデンに在住する国際弁護士で、アメリカ、ヨーロッパを中心にM&Aのサポートなどで数多くの実績がある。
゛THE FINAL CRASH゛の著者ヒューゴによれば、「リーマン・ショックは前ぶれにすぎない」といい、本当の破局それは負債とそれにより促進させられる消費を根本に置いた、現代の経済構造そのもののクラッシュだ。その本番がやってくるのは、まだまだこれからだと言うのです。
冒頭の物語に戻りますが、これに関して石角氏は、次のように言っています。
――このように故事に学ぶユダヤ人の知恵を見るにつけ、日本の指導者たちの愚かさに暗然としてしまう。かつてのバブルのとき、日本政府はお金の使い方がわからずに、「ふるさと創生事業」という名目で地方自治体に交付金をばらまいた。自治体一つに一億円である。
さらにその使い方がわからなかった自治体の長は、ゴールドの風呂を鋳造して、村民に入ってもらったりしたという。そんなことをして金を使い尽くしたところで、失われた20年に突入し巨額の借金を抱え、そこに東日本大震災が起きた。日本は豊作のバブルのときに倹約をせず、国家予算を何倍にも膨れ上がらせてしまって、いっさい蓄えをしなかったのである。
(中略)
日本の指導者たちがやったことは、4000年前にエジプトのファラオがやったこととは正反対である。しかし著者(注 ヒューゴ・ブーロー)によれば、アメリカの指導者たちがやったこともじつは日本と大差ないという。
アメリカは基本的にキリスト教徒、中でもプロテスタント国であり、彼らの言う旧約聖書にも当然、七匹の太った牛の物語はある。ところが彼らもまたバブル期の日本の指導者同様、好景気の後に備えることをしなかった。著者は皮肉な筆致で、「アメリカはこの太った牛を全部処理し、バーべキューにしてしまった」と指摘している。――
以上
その物語をここにご紹介します。
古代エジプトのプトレマイオス王朝は、当時の世界で最も豊かな王朝だった。それを築くことができたのは、統治者が知恵者の言葉を尊重したからだった。その知恵者は、そのときエジプトにいたユダや人なのだ。
ヘブライ聖書には、エジプトが豊かになったいきさつが書かれている。
エジプトのファラオがある日、夢を見た。ナイル川の川岸の緑の牧草地で、丸々と太った七匹の牛たちがナイル川の水を飲む。そして次にどういうわけか、やせ細ってあばら骨の浮き出た七匹の牛が現れ、バタバタと死んでいく。こんな夢を見てエジプトのファラオは、「この夢はどういう意味なのだろう」と臣下に聞くのだが、誰も夢の意味を解き明かす者がいなかった。
たまたま牢獄には、ヨゼフというユダヤ人がつながれていた。このヨゼフには夢を解き明かす術を持っているといううわさがあり、ファラオの前に連れてこられた。ヨゼフはファラオに「言ってもいいのか?」と前置きした後、「今、エジプトは大変豊かな国であるが、七年間の豊作が続いた後に、七年間にわたる大飢饉が来るだろう」と予言した。
まわりの者は「バカなことを言うな。このナイル川の水が絶えることはない」と嘲笑したが、ファラオはヨゼフの言葉を取り入れ、「今後、豊作が続く七年間は徹底的に倹約しよう」と倹約令を出し、余った穀物は全て穀物倉に入れて蓄えた。
果たして、予言通り七年後に大凶作がやってきた。しかも一年で終わるかと思いきや、二年、三年……七年も続いた。牛も馬も食べ物がなくなって、餓えて死んでいく。農民たちの食べ物も底を尽きかけた。しかしファラオが七年間で蓄えさせた穀物は、全土のエジプト人のみならず、周辺諸国のシリアやイラクから、メソポタミア一帯までも支えることができるほどの量だった。
ファラオは、蓄えた穀物を無償でエジプトの民に供出した。その見返りとして、農地を提供せよと言った。餓死寸前の農民たちに選択の余地はない。備蓄穀物は農民の手に渡り、飢饉が終わった七年後には、全エジプトの領地という領地は全てファラオのものになっていたという。
以上は、石角莞爾著『世界中のユダヤ人がひそかに読んでいる衝撃の預言書 ファイナル・クラッシュ』(朝日新聞社刊)という本の中から引用させてもらいました。
この本の由来を石角氏は次のように書いています。
――リーマン・ショックの勃発以来、世界中のユダヤ人や金融関係者――ただし日本人は除く――の間で、評判を巻き起こした本がある。
本の名は゛THE FINAL CRASH゛。著者はHugo Bouleauというフランス風の名前で、ヒューゴ・ブーローとでも発音するのだろう。ただしこれはペンネームである。本名はトビー・バーチである。
ここに本人の許可を得て初めて本名を明らかにするほどの話題の書である。
もともと部数の少ない自費出版で、ごく一部の金融関係者に配られたにすぎない。大評判となった後も増刷はせず、数少ない中古本が高い値段で取引されている。2007年春に出版されたこの本が、数年後に大反響を呼んだ理由は、それがアメリカにおけるバブル崩壊や、それに伴う商品相場の高騰などを的確に予言していたためだった。
それだけではない。この本はリーマン・ショックも予言していた。そして、驚くべきことに2011年8月に発生したアメリカ国債のデフォルト(債務不履行)危機、ユーロのクライシスも予言していた。ここまでは100%的中。そして、1930年代の世界大恐慌をはるかにしのぐ、「産業革命以来、人類初めての経験」という経済大破局の到来まで予言しているのだ。これが的中したら大変なことになる。(以下省略)――
著者の石角氏は、ある会員制のクラブの主催者から「これはすごい本だから、ぜひ読んだほうがいい」と勧められた。一読して、その内容に驚愕したという。
そのこともあって、世界の金融情報から遮断され、自国の立場を何も知らないでいる日本人にも、このような予言が存在することを急いで伝えねばならないと思ったという。
ちなみに、石角氏はスウェーデンに在住する国際弁護士で、アメリカ、ヨーロッパを中心にM&Aのサポートなどで数多くの実績がある。
゛THE FINAL CRASH゛の著者ヒューゴによれば、「リーマン・ショックは前ぶれにすぎない」といい、本当の破局それは負債とそれにより促進させられる消費を根本に置いた、現代の経済構造そのもののクラッシュだ。その本番がやってくるのは、まだまだこれからだと言うのです。
冒頭の物語に戻りますが、これに関して石角氏は、次のように言っています。
――このように故事に学ぶユダヤ人の知恵を見るにつけ、日本の指導者たちの愚かさに暗然としてしまう。かつてのバブルのとき、日本政府はお金の使い方がわからずに、「ふるさと創生事業」という名目で地方自治体に交付金をばらまいた。自治体一つに一億円である。
さらにその使い方がわからなかった自治体の長は、ゴールドの風呂を鋳造して、村民に入ってもらったりしたという。そんなことをして金を使い尽くしたところで、失われた20年に突入し巨額の借金を抱え、そこに東日本大震災が起きた。日本は豊作のバブルのときに倹約をせず、国家予算を何倍にも膨れ上がらせてしまって、いっさい蓄えをしなかったのである。
(中略)
日本の指導者たちがやったことは、4000年前にエジプトのファラオがやったこととは正反対である。しかし著者(注 ヒューゴ・ブーロー)によれば、アメリカの指導者たちがやったこともじつは日本と大差ないという。
アメリカは基本的にキリスト教徒、中でもプロテスタント国であり、彼らの言う旧約聖書にも当然、七匹の太った牛の物語はある。ところが彼らもまたバブル期の日本の指導者同様、好景気の後に備えることをしなかった。著者は皮肉な筆致で、「アメリカはこの太った牛を全部処理し、バーべキューにしてしまった」と指摘している。――
以上
ファイナル・クラッシュ 世界経済は大破局に向かっている! | |
石角完爾 | |
朝日新聞出版 |