宇宙人の独り言

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歴史を変えた源平争乱

2013年03月11日 | 日記
『井沢元彦の激闘の日本史 歴史を変えた源平争乱』 角川学芸出版 井沢元彦 著


井沢元彦氏の日本史は面白い。
例えば、こうです。

日本は「和」の文化の国だと言われている。
今から1400年前の七世紀冒頭に、聖徳太子は十七条憲法の第一条で「和を以って貴しと為す」と述べた。これは日本人であれば、常識の部類の話しだと思うのです。

ところが、井沢さんは、この言葉の裏におそろしく深い意味があることを日本人はまったく気がついていないと言います。どういうことでしょうか?

まず、日本には「貴族」と「武士」という二種類の民族が存在するという。人種的には同じですが、両者の文化がまったく違う。貴族には怨霊を徹底的に恐れるという怨霊信仰がある。天皇や貴族は、誰かを無残に殺すだけでなく、死に至らしめるだけでも相手は怨霊と化し祟ると信じていた。これに対して、武士はたとえ残虐な方法で殺されたり子孫を絶滅させられたとしても、敵に対して化けて出るようなことはない。つまり怨霊にはならない。そして古代から一貫して怨霊を信じる貴族たちの政治が続いていたが、平将門あたりからその優位が崩れ、平清盛、源頼朝あたりで完全に逆転する。それが日本の歴史の流れだと、井沢さんは言う。

もうお分かりと思いますが、なぜ「和」を重んじるかといえば、怨霊が怖いからなのですね。怨霊を出さないためには、争いごとは一切やめることで、それを聖徳太子は「和を貴べ」と表現しているし、さらに「物事は話し合つて決めなさい」と念を押しています。

さらに、井沢さんはこうも述べています。


(略)貴族文化に属する人間は、絶対に人に恨まれたくないという心情を持っている。言うまでもなく、自分を恨んだ人間が死ねば怨霊になるからだ。しかし政治の世界ではどうしても相手を倒す必要が出てくる。
 ではどうするか?
 一番いいのは怨霊を恐れない人間を「道具」として「汚れ仕事」をさせ、自分は手を汚さないというやり方である。
 貴族は一切手を汚さず、そうした「汚れ仕事」は武士にさせる。
 それがこの時代の姿、いや日本史全体につながる一つのパターンでもある。
 現代の企業が地上げを暴力団にやらせたり、株主総会対策を総会屋にやらせたりするのと似ていると思った方は鋭い。
 その通りだ。それはパターンということである。あらゆる時代に共通する一つの型ということだからだ。では日本史上最大の、このパターンをおわかりだろうか?
 朝廷と幕府の並立あるいは共存と言ってもいい。いわゆる朝幕並立体制である。

(中略)

 確かに平安時代の朝廷と武士団の関係を、現代の企業と暴力団あるいは総会屋との関係として見るのは、正確さにおいてやや問題がある。
 しかしどんなことでもそうだが、一番重要なことはまず「大づかみに内容を把握する」ことであり、それができてこそ細かい点で違いを指摘できる。
 日本の教育というのはどうもこのあたりを勘違いしていて、専門家でその分野に詳しい人々が教科書を書くと、正確さを重視するあまり細かいことにこだわり、初心者にとって極めてわかりにくくなるという問題が生じているのだ。
 私はその逆を行こうと思っている。(以下、略)


ここには、井沢さんの歴史書の面白さの秘密が語られているように思われます。

以上


井沢元彦の激闘の日本史 歴史を変えた源平争乱
井沢 元彦
角川学芸出版
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