モルツーの日々@競馬と本と日本史他

本が好きな書店員(出版社営業部から書店員に出戻りました)。史跡巡りの写真を素敵に撮りたい。馬も好き。

『ゲド戦記』

2006年09月10日 | 日々のできごと
映画『ゲド戦記』を観てきました。
なんかあんまし宣伝をしてなくて、どうなんでしょうか、ちゃんと面白いんでしょうか、と不安に思って今までなんとなく行けずにいたのですが、観てきた数人の意見を聞くと、意外と悪くない反応。「私は、アリだと思う」と言い切った従姉妹の言葉に背中を押され、やっと観てきました。

で、感想。
面白いと思うのですけど。
少なくとも、つまらなくはないです。

実は私、予告編を観てちょっとイマイチな印象を受けていたのです。
「いのちを大切にしないやつなんで大っ嫌いだ」というあのセリフとか、この世はおかしくなってる、とかいうセリフなど、「いかにも」なカンジが鼻につく雰囲気で、生きることの意味を問うとかおかしくなってるこの世の中を救うとか、そーゆー作品だったらちょっとな、という思いがありました。
キャストにわざわざ「新人」などと付けてるのも、「そんなアピールをしなくたって」と思ってイヤでしたし。

そんなマイナスイメージを持って見始めたワケです。
序盤はちょっと淡々としていて、ちょいとまだるっこしいカンジがしなくはないですが、音楽が。ジブリアニメに久石譲氏以外の音楽が乗っかっているのが、なんだか新鮮なカンジがして、耳を楽しませてもらいました。キレイな風景描写も多く、自然を味わいにどこかに出かけたくなりました。
主人公は、父親を刺してしまった少年。自分でも、どうしてそんなことをしたのか分からない様子。「どうせ誰もいつか死ぬのに、なぜ生きていなくちゃいけないんだろう」と悩む、思春期まっただ中なイマドキの「キレる子供」。
ヒロインは、親の身勝手で顔にキズを負って捨てられた少女。打ち解けた相手以外には気を許さない女の子。主人公に対する「ツンデレ」ぶりがサイコー。

この二人が「均衡を失いつつある世界」を救う旅をするのだと、なんとなく思い込んでいましたが、終わってみると、そーゆー話では無かったようです。
そんな壮大なストーリーではありませんでした。
ただし、「どうして生きていくんだろう」という、現代日本人が悩みがちなこの命題に対する答えを、非常に明確に示してくれてました。
べつに今の私は生きてく理由に不自由しちゃいませんが、それでも「あ、ナルホドその通りだわぁ」と思わされた、非常に説得力のある答え・考え方が提示されてました。
かと言って、この作品の魅力はそれだけじゃあございません。
クライマックスで明らかになる、びっくりな秘密が気持ちイイですよ。
私は原作の内容を知らないので、100%びっくりして、爽快な気持ちになりました。
もー。こーゆー話、大好きです。
後半の主人公もかっこよくて良いですし。
岡田准一クン、いい声してるわぁ。
と、「アシタカ」「ハク」に続いて、まんまとジブリヒーローに引き込まれてしまったのでした。