カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

バケト3世(Baqet III)の第15墳墓の壁画について

2022-01-29 11:17:00 | 日記

 カップ&ボールの演技では、「今から行うマジックは最も古くから演じられているもので」みたいな話をしながら始める方も多いのではないかと思います。さらに「古代エジプトでも行われてたようでピラミッドの壁画にもその様子が描かれていますよ」という話もする方がいらっしゃるのではないかと思います(居なかったらすいません)。

 このカップ&ボールをしている古代エジプトの壁画としてよく出てくるのが、エジプト中部ベニ・ハッサン(Beni Hasan)村にあるバケト3(Baqet III)の第15墳墓の壁画の絵の線画であるこの絵です。


 DPグループさんのPM カップ&ボールにはこの絵が刻まれています。PM カップ用 ポーチにも使われています。商品説明では「人類最古に演じられたカップとボールのマジックと言われている、エジプトの壁画デザインが彫り込まれています。」とさもカップ&ボールをしている絵という説明でも、カップを取り出したときの雰囲気づくりや興味を持ってもらえる演出にはとてもよい気もします。

PM カップ&ボール(銅)

M8711 PM カップ&ボール(銅) マジックエクスプレス オンライン

PM カップ用 ポーチ

L8710 PM カップ用 ポーチ マジックエクスプレス オンライン

 確かに、私の家にあるいくつかの本でもこの絵が使われています。思いつく本を開いて写真を撮ってみました。1冊は絵はないですが、記述がありました。





 まず、この中で最も古いのは世界の魔術(M.クリストファー著・梅田晴夫訳)(1975年昭和50年)です。

 「北米大陸に最初の魔術師が出現するより5000年以上も以前に、エジプトで既に奇術師が不思議なわざを披露していたのである。下に掲げた挿絵は、エジプト学者の説によればごく古い時代の『カップ・アンド・ボール』(お椀と玉)の図だが、これは紀元前2500年ごろ、ベニ・ハッサンの墳墓の壁画に描かれたものである」

と書かれています。このころはカップ&ボールの絵だとされてたんですね。オリジナルは「Panorama of Magic by Milbourne Christopher1962年)」でさらに10年ほど古く昭和30年代です。確認していませんが、訳本なのでこの本にそのように書かれていたと考えられます。ちなみにこの世界の魔術という本はとても資料が豊富で見ているだけで楽しい本です。当時2万円で500部限定というとても価値のある本として出たと思いますし、個人的にはとても価値があると思っていましたが、今アマゾンで見ると7000円とかで販売されてます他のインターネット上の古本屋さんでもいくつか出ています。こんなに売られてたっけ?と少し驚きました。インターネットの発達でで古本を入手し易くなったのですね。あと、手放す人が多くなったということでしょうか(もともと親が所有していて子供がそれを売るとか)なんかちょっと残念な気がしましたが、デジタル化したらさらに1000円とかで販売されるんでしょうねまあたくさんの人が触れることが出来るのは良い事だと思います。

 次は昭和63年発行の「大魔術の歴史(高木重朗著)」です。挿絵には「世界最古の奇術の絵―ベニ・ハッサンの洞窟に描かれたこの壁画は「カップと玉」とおぼしい」と書かれています。ちょっと長いですが、文書を引用します。

「『カップと玉』は記述の発祥とともに行われたと思われる。中部エジプトにベニ・ハッサンという村がある。これはナイル川東岸の古都として有名なヘルモポリスの近くにある村であり、ここにエジプト12王朝以来の墳墓がある。これは石の洞窟になっている。この洞窟に壁画が描かれている。これはその当時の生活を描いたもので、その中の一つに、「カップと玉」の奇術を行っているのだと思われる壁画がある。これは紀元前2500年ごろのものと推定されており、二人の男がカップを伏せているところを描いている。これが世界最古の奇術の絵である。この絵にたいし、「カップと玉」ではないという学者もあるが、大部分の学者は奇術かゲームのようなものと推定している。」

 ここでも、カップ&ボールである可能性が高いと書かれています。ただ、ゲームのようなものという表現もあります。

 次はクロースアップ・マジック(松田道弘著)です。私が持っているのは2005年に復刊ドットコムから復刊された本ですが原本は1974年に金沢文庫より刊行された本(その後、筑摩書房から『即席(クロースアップ)マジック入門』として発売)です。1974年なので昭和49年発刊ですね。ここでは以下のように書かれています。

「カップ・アンド・ボールが,世界で一番古い奇術のひとつであることは,まず間違いありません。古代エジプトの壁画に,2人の人物が,おわんのような容器を手にして向かいあっている図があります。この絵はカップと玉の奇術をやっているところだ,という人もありますが,これはちょっとあてになりません」

 この記述では,そういう絵はあるけど『これはちょっとあてになりません』と書いてありますので、カップ&ボールの絵であるという事にやや否定的な意見ですね。ただ、何故あてにならないのか?までは書かれていません。

 次は同じく松田道弘氏著のトリックスター列伝です。2008年の発刊です。ただし、これは1989年から20年続いた、季刊マジック雑誌「ザ・マジック(東京堂出版)」に「マジックの歴史」のタイトル連載していた記事をまとめたものに一部内容を追加して刊行された本です。今から紹介する文書は本の最初のプロローグにあるのですが、おそらくザ・マジックに連載された内容では無いと思います。私の手元にあるザ・マジックの20号まではざっと見たのですがありませんでした(見逃しているかもしれませんが)。もし、この本の発刊に合わせて書かれた文であれば上記のクロースアップ・マジックの刊行から約30年後に書かれた文章となります。

「紀元前2500年頃と推定される絵自部とのベニハッサンの洞窟に、ふたりの男が向かいあって、お椀のような容器を手にしているところが描かれています(図)。これが「カップと玉」の奇術を演じているところだという研究家もいましたが、いまではパンのようなものを焼いているところだろうといわれています。」

 『パンのようなものを焼いているところ』という表現が出てきました。誰の説か不明ですが、これまで全く書かれていなかった説です(もちろん、どこかで書かれていたから松田氏も書かれたのだと思いますが)。前回の本から約30年経って同じ絵に新しい説が出てくるのが面白いですね。

 最後は先日も少し紹介させて頂いたDeAGOSTINI (デアゴスティーニ)の隔週刊 ザ・マジックの創刊号です。2019年発行です。この雑誌にはときどき(頻度は低いのですが)マジックの歴史に関する記事が掲載されます。カラーでとてもきれいですし、個人的には楽しみにしているのですが、ちょっと後半は頻度が少なくなってきたような気がします残念創刊号ではマジックの始まりとして、やはりこの絵が掲載されています。この最新のマジック雑誌にはこの絵は以下のように書かれています。

「上の図を見て頂きたい。長い間、古典的なマジック「カップ・アンド・ボール(カップと玉)」を演じている様子であると、まことしなやかに説明されてきた壁画である。エジプトのベニ・ハッサン村、バケト3世の第15墳墓に描かれたこの壁画は、現在では何らかのゲームをしているところ、あるいはパンを焼いているところという説が有力視されている」

 というわけで、『まことしやか』(まことではないのにいかにもまことに見えるさま)と書かれてますように、カップ&ボール説は完全に否定した記述となっています。上述の松田氏の本と同様パンを焼いているところという説が引き継がれてますね。ゲームというのは高木氏の初めの本から書かれている説です。

 今回、ブログで何故この絵の話を書こうと思ったかというと、数日前、偶然にも5年以上前(2015年)に書かれたこの絵に関するブログを見つけたからです。それが下記です。非常に説得力のある書き方で(しかも他の記事をみるとかなり専門的な方だとわかる)、今のところ私の中では信頼できる情報と考えています。

 このブログでは、絵に書かれたヒエログリフの内容と前後の絵から若者が行う、何かカップのようなものを積み上げるゲームでは無いかという事です。パンを焼いているというのは、ほぼ無いだろうとのことでした。

 そうか!何故今までこの文字を読んで、こう書いてあるからこれは〇〇をしているところだという説明が無かったんだろうと思いました。かなり進んだ気がしますただ、カップを積み上げるゲームって楽しい??というのがあるので、完全解答には至ってないかもしれませんちなみに、カップ&ボールのマジックでもカップを積み上げてその中をボールが貫通させる手順がありますが、昔の絵を見ているとあんまり積み上げている絵が無いですし、カップも積み上げにくそうなカップも多いです。見ている人からすると最後の大きなものが出てくるシーンが印象的なのでそこが絵に描かれていると思うのですが、いわゆる悟空の玉のような手順は昔から行われていたのでしょうかと思ったりします。あと、このブログでは資料がいろいろ引用されていてネットのおかげで専門家でもない我々がその資料にアクセスできるということが時代が進んだなぁと感じました。実際このエジプトの壁画ももう少ししたら、立体画像とかで提供され、家にあるVRゴールグルなどを装着するとさもその壁画の前に立っていて本物を見ているような経験ができるのではないかと考えます。是非見てみたい...

 カップ&ボールの「ウリ」の一つは世界最古のマジック(の1つ)である事だと思います。ですので、個人的には、観客のワクワク感をアップさせるためにこの絵を使って歴史的な話をするのはありだと思っています。

 最後に今回の記事には「オチ」があって、この文書を書いた後、再度少しインターネットを見ていたら、なんと石田氏によるこの壁画の歴史的説明ページがありました!!確か前に見たことがあるような気もします…私の上で書いたものは意味なかったのでは...という事なのですが上記ブログを紹介したくて書き始めたのでまあいいかと慰める事にしました。石田氏の解説は私のとはレベルの違う内容解説ですので是非興味がある方はみてください。

奇術史研究コミュニティ:エジプトの壁画とカップ・アンド・ボール


カップ&ボール by DeAGOSTINI

2022-01-22 21:19:00 | カップアンドボール
 今回は、20192月からスタートした、DeAGOSTINIの隔週刊 ザ・マジック

のカップ&ボールの紹介です。カップ&ボールのマジックアイテムやその解説を一気にするのではなく、他のマジックと混ぜながら複数号でマジックアイテムの発送や解説を行っています。

 具体的にはカップ&ボール関係は50号、59号、61号、63号です。全体が100号でそのちょうど半分にカップ&ボールを持ってきたのは意味があるのでしょうか(多分ないですね(笑))。ちなみに、チョップカップはまた別であります。では順に紹介していきます。

 50号では、「テーブルマジックの王道カップ&ボールの基本編」ということで、メインのマジックとして扱っており、マジックアイテムとしてカップ1つとボール2つが付属します。カップはプラスチック製にメッキをしている(?)タイプです。非常に軽いです。大きさとしては、やや小さめで、以前紹介したBacon MagicProfessional Cups and Balls Set

と近い大きさです。「軽量で扱いやすいマジック専用シルバーカップ」と冊子にあるように、扱いやすいサイズだと思いますしきれいです、がちょっと軽いですね。。。トップの面積は小さく、ボールは一つだけ置ける感じです。深さはありますので乗せれば勝手に落ちることはないと思います。ボールは約18mmくらいの手芸屋さんでポンポンボールとして売られているようなボールです。個人的にはこのボールはもう少しいい素材が無かったのだろうかと思います。コストの問題とは思いますがちょっと軽すぎますし、柔すぎます。手にくっついてくる感じがするので、扱いづらいです。手順については、本号では「カップ1個とボール1個の手順」ということで、カップのトップに置いたボールをカップを倒しながら左手で受け取り、右手に渡すが、ウォンドでおまじないをしたいので、左手にボールを渡し、右手でウォンドをとっておまじないをかけると消える。そしてカップをもちあげるとカップの下からボールが出る。出たボールをもう一度、同じように左手に握ってウォンドでおまじないをかけると消える。そして、やっぱりカップの下から出てくるというマジックです。ウォンドは2号に付属した非常に短いものを使っていますが、後に単体のマジックアイテムとして59号に付属します。

 59号では、「ボールが消えて現れて最後に大きくなる」ということで、メインのマジックとして扱っており、マジックアイテムとしてウォンドと赤色ボールが2つ付属します。ボールは50号と同じもので計4つとなります。ウォンドは約30㎝のプラスチックウォンドで、直径は約1㎝、細目でサイズ的には個人的には良いと思います。ただやはり軽い。手順は「カップ1個とボール3個の手順」ということで、手に握ったボールがウォンドでおまじないをかけると消えてカップの下に移動します(3つ目はポケットに入れるがカップの下に移動)。三つのボールがカップの下に移動した後、3つのボールをポケットに持っていき、カップを持ち上げると白い大きなボールが出現します。続けておまじないをかけてカップを持ち上げると赤色の大きなボールが出現します。この紅白のボールは36号と38号でボールマジック用にマジックアイテムとして提供されているものです。本格的なマジックだと思います。ちょっとボールが軽すぎるため、扱いにくそうに見えます

 61号では、「テクニックを駆使したテーブルマジックの王道」ということで、メインのマジックとして扱っており、マジックアイテムとし50号と同じシルバーカップが2つ付属します。これで、これまでのセットと合わせて3つのカップと3つのボールを使った手順の解説となります。ただタイトルが「カップ&ボール フル手順(前半)」となっていますように、この号ではフル手順の前半のみの解説となります。前半と言っても実質はファイナルロードに関する手順までの約3分の2はここで解説されます。基本バーノンの手順に近いです。1段目:3つのカップのトップに置いたボールを握って消すと、3つともカップの下にもどる(スピンバニッシュなどはなし)。2段:3つのカップにボールを入れ、観客に選んでもらった方に移動させる。3段目:もう一度それぞれのカップの下に入れるが、真ん中に集まる。4段目:1つのカップのトップにボールを置き、残り2つのカップを重ね、ウォンドでカップでカップをなぞると、ボールが一番底に貫通している。これを3回繰り返す。カップの一番下に移動させる貫通現象で、チャーリー・ミラームーブは使わない。これ以降は63号で解説。

 63号ではメインのマジックは踊るハンカチーフであり、その後にコーヒーを使ったマジックがあり、そして3つ目のマジックとして、「カップ&ボールフル手順(後半)」が解説されています。基本的にはバーノンの最後のシーケンスと同じです。大きなボールは59号で使ったものと同じ赤3つと白1つの計4つのでしれを最後に出現します。カップが小さめで、ボールも小さいですが、フラッシュしないよう解説しています。

 というわけでDeAGOSTINIの隔週刊 ザ・マジックのカップ&ボールを紹介しました。アイテム付きの隔週刊の雑誌ということで、少しずつアイテムや手順が増え、次の号が楽しみになるように作られていますね。DeAGOSTINI11800円であり、4冊で7200円となりますので、カップ&ボールだけが目的で買うにはちょっともったいない(この値段でもう少し良いカップとDVDが買える)気がしますがまあ、そんな人はいないですね59号のワンカップルーティンは十分インパクトのあるマジックですし、61号と63号のフル手順はかなり本格的なので、このDeAGOSTINIでカップ&ボールを初めて知り、興味を持った方は是非、もう少し重いカップやウォンドやボールを購入されると良いかと思います。

 メイガス氏の解説の中で特に良かったと思うのがウォンドの扱いです。基本と言えば基本かもしれませんが、何故ウォンドを使うのか、わきに挟むのか、そこの意識の重要性を解説されてます。これはデビッド・ウィリアムソン氏がRIDICULOUSのカップ&ボールの解説の時に話をされていたのと同じ内容です。とはいえ、実は私の中でまだ今一納得できていないのが、左手でとったボールを一度右手に渡す理由です右手のボールを左手に渡すのはウォンドと絡めて理由を持たせられますが

 あと、脇に挟んだウォンドを取るときのボールのフラッシュについてもコメントされてます。それを踏まえた扱い方を解説されてますが、そこを解説してくれている解説DVDとかあったかな?と新鮮でした。私はフラッシュしないように脇に挟むときに角度を結構付けて挟みます。ちょっと不自然ですが、フラッシュを防ぐためにそうしています。このメイガスさんの解説を観て、なるほどねぇと思いました。ただ、抜くときだけの方法だったので挟むときに同じようにするとちょっと不自然というかワン動作入るなぁと思って自分として使うかは検討中です。ちなみにトミー・ワンダー氏の手順はウォンドを使いません。違う方法で意識を外してますよね。私は古風なウォンドが好きですが、トミー・ワンダー氏の手順はポケットにボールを入れておく必要もなく、ウォンドも使わないという、従来当たり前と思われていたことを大きく変えた気がします。その分難しくなっているのですが









Color Changing Knives by Joe Mogar

2022-01-17 22:14:00 | カップ&ボール以外
 前回TCCのカラーチェンジナイフの紹介をしましたが、今回は私が使っている(と言ってもここ最近全然演じていません)ナイフの紹介をしたいと思います。Joe Mogar氏のナイフです。氏のナイフを使っている理由を書きます。まず、ナイフが平べったい形では無く、やや細いのでパドルムーブがし易いことや、(BLACKSTAG KNIVES(鹿の角?)は触感でわかりますので、ナイフは握ったときに覗き見なくても面がわかりますし、ポケットから自然に取り出すことが出来ます。さらに、最大の利点としては、ナイフのバラエティーが多いということです。氏はいろんなナイフを作って販売しています。色はもちろん大きさもいろいろありますので、自分が実現したい手順に必要な組み合わせのナイフを入手することができます。


 クラシックマジック事典IIで三輪氏が紹介されているナイフもモガー製ですし、クラシック・マジック入門事典で麦谷氏が紹介されているナイフもモガー製です。このお二方が使ってらっしゃる(解説に利用されている)ナイフなので間違いは無いかと思います。

 手順に関して少し書きます。私はそんなにカラーチェンジングナイフに詳しいわけでもありませんが、はじめの頃は、L&Lから出ていたジョニー・トンプソン氏のカラーチェンジングナイフの手順をしていました。氏のDVDにも入っていますし、L&Lのカラーチェンジングナイフの手順ばかりを集めたDVDにも収録されています。

トンプソン氏の手順は2色の色が変わるナイフの手順を行いながら最後には白でも黒でもない色が出てくるという手順です。当時パドルムーブは割りばしのマジックのように手前を持って行うものと思っていたのですが、このビデオで上側を持ってさりげなく裏面を見せる見せ方を見て、自然だなぁ~と思いました(単にあまりカラーチェンジングナイフの手順を見たことが無かっただけですが)。そこから実はもう片方の手にナイフを持っていて入れ替えているんです、というやや定番のストーリーの手順を行うようになり、ゆうきとも師がmMLで解説されている手順をベースにした手順を実演するようになりました。


さすがゆうきとも師です。楽しく無理の無い手順です!mMLではフラッシュしないようにする注意点やその他、単なる技法だけではなく、いろいろ学べます。ただ、私は最後の色変わりで三輪氏がクラシックマジック事典IIで解説されているギャグをどうしても使いたく(個人的には大好きなギャグです)、レインボーを使っています。即ち白/黒の手順をしながら最後にみんなに好きな色を行ってもらい、(ギャグを挟みつつ)レインボーを出すという手順です。

 この手順のさらに前後にマジック的な要素を入れたく、導入部分では、写真右側にあるような小さな黒のパースを使ったナイフの取り出しをしています。まず、今日はちょっと小物を持ってきましたといいつつ、中からもうワンサイズ小さな白いパースを出します。とても小さなものですがと言ってこの小さなパースからナイフを取り出します。このパースはモガー氏の商品です。エンディングではレインボーになるので十分なのですが、そのレインボーを叩くと様々な色のミニチュアのナイフになるという手順が好きです。使っていた2本のナイフのうち、レインボーに変化させない方のナイフを写真左にあるようなナイフ入れに入れつつ、ミニナイフをロードします。このナイフケースは袋構造があり、下の部分を押す(握る)とパースのように口が開いて、入れておいたミニナイフをロードすることが出来ます。但し、このエンディングはちょっと練習不足で「もたつく」ので、数回しかしたことがありません。レインボーにして終わりが多いです。このナイフケースはいつ、どこで購入したか忘れました



 モガー氏のナイフは基本的にはマジックショップでの扱いは無く(時々セットで売ってることもありますが)個人での販売となっています(Magic Stars Studio)。モガー氏は私がナイフを購入した10年以上前でも、もう結構お年かもと思っていたのですが、現在もナイフを作っておられるようです。メールをしたところ(20221月)、忙しいので1カ月くらいかかるけど、売ってるよというメールが返ってきました。個人のお店ですが、PayPalで支払えますので安心です。ホームページを下記に示します。(但し、何かトラブルがあっても責任は負えませんので、十分ご検討の上、お取引ください)

JOE MOGAR / Magic Stars Studio

 また、そこでも販売していますが、氏はカラーチェンジングナイフのビデオも出しています。実は日本のお店でも扱っていて、例えば東京マジックさんで購入できます。ここまで詳しいナイフのビデオは他に無いと思います。

カメレオン・ナイフ DVD [RTL-1022] : マジックショップ 東京マジック , 手品グッズ・マジック用品の通販サイト

 というわけで、今回Joe Mogar氏のナイフの紹介でした。次回はカップ関係に戻ろうかと思いますが、他にもあと少しですが、ナイフはあるので、また機会があれば紹介させて頂きたいと思います。


ARTISAN COLOR-CHANGING KNIVES BY TCC

2022-01-14 14:58:00 | カップ&ボール以外

「カップ&ボールを中心に」ということで、ほとんどカップ&ボールの紹介でしたが、少し違うテーマについても持っているもの(持っていたもの)を紹介させて頂きたいと思います。実は以前から別のものも紹介したいなと思っていたので、国語屋稼業さんの記事は行動を起こすきっかけとなりました、ありがとうございます。

 私が自分の演技で使っているモガー製のナイフは次回紹介するとしまして、今回はリクエストのあったTCCのナイフについて紹介します。まずはTCCの動画です。

 使っているのは基本的な技法ですが、鮮やかだと思います。

日本でもいくつかのお店でも扱っておりますが、個人的にTCCの扱いが多いと感じているセオマジックさんのページを示します。

ARTISAN COLOR-CHANGING KNIVES by TCC |全商品一覧や手品グッズ揃うマジックショップ|セオマジック

 私は昨年のブラックフライデーでTCCから直接ちょっとお安く購入しました。実は気にはなっていたものの、自分のルティーンではもう少し色が必要なのでちょっと要らないから~と思っていたのですが、ブラックフライデーで安くなっているのを見て気が付いたらポチっとしていました(;^ω^)

 まず、デザインがこれまでのナイフと少し違う気がします。カタログの言葉を借りると、「美しい貝殻のような白と墨のような黒の翡翠(ヒスイ)」の持ち手とダマスカス模様の刃が特徴的です。高級感があります!

 ただ、私のナイフは写真のように黒の色が濃くありません。白も、真っ白ではなくグレーっぽい色の面積も割と多いです。ですので、光の関係などでは白との色の差が明確でない感じです。もっと濃い黒の方が個人的には良いと思いました。また、商品ページでは凹凸がありそうにも見えますが、白と黒は共に凹凸の無い似た感じの素材です。ですので、ポケットの中で触ってどちらの面かを判断するのは難しいです。ナイフが出る方向で判断はできなくはないと思いますが。複数ナイフが入っていたりとっさにというと、やはり表面の触った感覚が違う方がいい気がしますが、ここをどれだけ重視するかは手順などに依存するのであくまで私の意見です。

 次に厚さや丸みなどが関係する、パドルムーブのし易さについてです。これは個人的にはとても良かったです!自分が普段使っているナイフに比べパドルムーブがし易いと感じました。理由としては、ナイフが柄の中にかなり入り込んでいること、また2つのナイフが出せる形状になっているため、真ん中に窪みができます。このため、真ん中を持ってのパドルムーブの時に刃が邪魔になりません。端が少し細くなっているのも使いやすいと思います。パドルムーブに関係ないですが両端が同じ色の金具で作られているのも少しだけ出したときに面に関わらず差が無いので良いと思います。

 完全な個人的意見としてまとめますと、気になるのは、色のコントラストと触感での面の判別、それから手順としてもう少し色が欲しいことであり、良いと思う点は高級なデザイン(フォーマルな立食パーティーなどで使えそう(;^ω^))とパドルムーブのし易さ、両端のデザインです。あと、専用ケースもいいですね。

 大きさや重さはちょうどよい感じです(個人的にですが











左がモガー製のナイフです




Master Works of Conjuring Vol.4 by Marc DeSouza

2022-01-09 17:02:00 | 本、DVD等

Marc DeSouza氏のビデオMaster Works of Conjuring Vol.4の紹介です。Marc DeSouza氏のマジックをDVD4枚にわたり収録しているものです。このビデオシリーズはL&Lで作られましたが、今はMurphy's Magicが権利を持っているのでしょうかあまり日本で扱っているお店は無いようで、マジックオフレコさんのみ見つけることが出来ました。私は特にVol.4が好きで、今回はこのDVDと関連商品の紹介です。

マジックオフレコさん

https://www.magic-offreco.com/?pid=72919181

ペンギンマジックさん

このVol.4DeSouza氏ののオリジナルマジックというのではなく、マジックの歴史の講義を実演も入れながら行うというものです。実際に大学やマジックカンファレンスで行っている講義のようです。テレビで芸能人が驚いたり、マジシャンに無茶振りしたりするコンテンツも良いですが、このような落ち着いてクラシックマジックを歴史と共に見れるこのようなコンテンツも素晴らしいと思います。ただ、私の英語を聞き取る能力では部分的しか聞き取れないので、是非スクリプトマヌーヴァさんには字幕付きのコンテンツをこの巻だけでも作って欲しいですm(_ _)m

 ビデオのスタートはやはり「カップ&ボール」です!マジックの歴史と少し絡めながらカップ&ボールの演技を行います。手順自体はバーノンの手順のパーツが多いですが、順番や演出の仕方が異なります。この手順は「World's Greatest Magic」のVol.2に収録されていて、その紹介ビデオで見ることが出来ます。下の映像の後半(3分半くらいからフル手順を見ることが出来ます)

このコンテンツは例えば野島さんのお店でダウンロード販売されています。

https://majion.shop-pro.jp/?pid=155465076

種明かしのフェーズを種明かしをせず淡々と行っていますが、それでもしっかり成立していて面白いです。歴史と絡めていてギャンブラー的な扱いなどもあり、流石です。

使っているカップはシャーウッドカップ(Brett Sherwood Classic Cup)のシルバーですね。マジックウォンドは私はどこのものは分かりませんが、おそらくいいものだと思います。このウォンドを見て、それまでクラシックな黒と白のウォンドが好きだったのですが、全体的に黒に近いウォンドもいいなぁと思いました。カップと競わず、しかし存在感があります。

 さて、このDVDでは、カップ&ボールのほかに、ロープの復活やエッグバッグ、チャイナリング、チャイナステッキなど、古典的名作が演じられています。その中で私は「The Die Box」にとても惹かれました。「Die Box」も古典名作でいろんなタイプが発売されています。日本で有名なものとしてはダイスではありませんが、やはり、みかめくらふと(ミカメクラフト)製の「サッカーブロックボックス」でしょう。サカー・トリックの代表作で、観客を楽しませた後、最後に完全に消えてしまうというものです。

マジェイアさんのページ

http://plaza.harmonix.ne.jp/~k-miwa/magic/soldtrick/suckerblock.html

ミカメクラフトのページ

このどっちだ?系のマジックは子供に受けるので私も子供がいるパーラーではピザのバージョンを行っています。I-MAGICさんで購入しましたがページが見つけられなかったので他のお店のHPを紹介します。からくりどーるさんの実演映像もあります。

https://meiden.shop-pro.jp/?pid=111947020

 話しがそれましたが、Marc DeSouza氏のビデオで実演されていたダイスボックスは、単なるどっちだ?系ではなく、どっちだ系のつもりが、マジシャンの想定外にダイスが現れて最後は6個のダイスが出てきてしまうという強烈なエンディングのマジックです。残念ながら動画を見つけることはできませんでした。これはドイツのHakan氏の作品なので解説はありませんでした。ビデオでMarc DeSouza氏がHakan氏のウェブサイトのURLを話しているにも関わらず、私は当時L&Lにメールで「あのダイスボックスはどこで入手できるのですか?」とメールしました。すると、なんとMarc DeSouza氏から直接メールが来ました!以前日本にレクチャーで行ったときにとても楽しかったという内容と共に、Hakan氏のURLを教えてくれました。とてもいい人ですありがたい(T_T)…

というわけで、ドイツから購入したこのダイスボックスの写真をアップします。実演回数はそれほど多くないのですが、私の宝物の一つです。少し古くなって動きが硬いところもあるのですが、また機会があれば実演してみたいと思います。

以前、数年使っておらず久しぶりに動かしてみようと触ったとき、ギミックダイスがボックスの中に入っているにもかかわらず、ダイスが無い!!と大騒ぎで探したことがありました(;^ω^)。ドイツにボックスを送って、「ギミックがないんです!」とメールしたら「入ってますよ!」と返ってきて自分自身の間抜けさに恥ずかしく、呆れたことがありました(;^ω^)。単に私が間抜けなのですがそれだけ作りが良いということで...