カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

John Ramsay

2023-02-26 12:34:00 | マジシャン別

前回はRings-N-Things Magicから出ているPete Biro's Ramsay Cups and Ballsを紹介しましたが、今回はJohn Ramsayのカップ&ボールについてもう少し広い範囲で書きたいと思います。

 John Ramsay1877-1962)はイギリス(スコットランド)のアマチュア・マジシャンでクロースアップの伝説的な名人です。1955FISMクロースアップ(the micromagic category)で第1位を受賞していますが、なんとこの時70歳を超えてます恐らく最高齢でしょう。ミスディレクションの神様で"Master of Misdirection"という称号がついていたようです。"magician's magician, who loved to trick fellow conjurers"と言われるようにマジシャンをも騙す。それを楽しむ人だったようです。

 マジェイアさんのページです。

箴言集:ジョン・ラムゼイ

3つほど有名な言葉が紹介されています

「もし、観客にある部分を見てもらいたいのなら、まずあなたがそこを見なさい。」

「もし、観客にあなたを見てもらいたいのなら、あなたが観客を見なさい。」

「私は一人で仕事をしています。しかし、私には見えないアシスタントがいるのです。彼女の名前はミス・ディレクションです」

 また、「奇術の詩の子供たち」のページでも紹介されています(素晴らしいコンテンツのページでしたが2015年以降止まってしまっており、残念です

ミスディレクション:観客の注意を逸らすマジックの基本テクニック | 種明かしだけじゃないマジックの紹介解説◆奇術の詩の子供たち◆

 ジョン・ラムゼイと言えば「シリンダー・アンド・コイン」が有名で、未だに関連商品が毎年のように出ている気がします(笑)。最近ではジョシュア・ジェイ氏の商品が記憶に新しいです。私はコインマジックをほとんどしない(できない?)ので、殆ど知識が無いのですが、下記の麦谷さんの記事は興味深く拝見しました。

トランプマンのマジックワールド | マジック・ラビリンス

 というわけで、ジョン・ラムゼイ氏の代表作と言えば「シリンダー・アンド・コイン」なのですが、カップ&ボールも代表作としてあります。ツーカップのルティーンとワンカップのルティーンがあります。ツーカップルーティーンを行ったマジシャンとしてはかなり初期(はじめて??)かもしれません。

 私は正直ジョン・ラムゼイ氏に関してあまり知りませんでした。私がジョン・ラムゼイ氏のカップ&ボールを知ったのはVictor Farelli氏が書いた「JHON RAMSEY'S ROUTINE WITH CUPS AND BALLS」という本を手に入れてからです。たまたまebayで入手したのですが、1948年のFIRST DE LUXE EDITIONで、ラムゼイ氏のサインもありますし、ちょっと貴重かもしれないと思ってます(笑)。






 本の初めには上記でかきました名言が印刷されています

I work alone, apparently, but I have an invisible assistant - Miss Direction. 




 この本には6つのフェーズからなるラムゼイ氏のカップ&ボールの手順が写真と共に約40ページに渡りかなり詳細に書かれています。それも凄いのですが、驚いたのはイントロダクションで書かれているカップ&ボールの歴史です。20ページに渡り、「各時代にどのような文献でどのようなことが書かれていたか」が書かれており、これほど詳しく書かれている文献は初めて見ました。






 ちなみにこの本は、Lybrary.com15ドルで電子ブックを得ることが出来ますのでご興味ある方は購入されるのも良いかと思います。

John Ramsay's Routine with Cups and Balls by Victor Farelli

John Ramsay's Routine with Cups and Balls by Victor Farelli

John Ramsay was called "The Magician's Magician" because even for those in the know he could create miracles. He consistently fooled his peers wit...

Lybrary.com

 


 本を見てラムゼイ氏のおおよそ手順は理解したものの、やはり実際の演技が見たくなりますよねそこでRamsayの弟子であるAndrew GallowayRamsayの有名なマジックを実演、解説しているDVDMagic of John Ramsay」を購入しました。以前、野島さんのお店でセールしていましたが、既に売り切れでしたので、

【セット】The Magic of John Ramsay vol.1~2 by Andrew Galloway - マジックショップ MAJION

1万円以上のご注文で送料無料!初心者から玄人までお楽しみいただけるマジックショップMAJION。 世界中のマジックグッズの中から専門家がセレクトしたアイテムの販売から、...

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ペンギンマジックで購入しました。

Magic of John Ramsay DVD #1 by Andrew Galloway

Andrew was the only student of the legendary Scottish magician (1877-1962) and he has done for misdirection, through the work of Ramsay, what Dai Vernon achieved...

Penguin Magic

 


Magic of John Ramsay DVD #2 by Andrew Galloway

For the first time, Andrew Galloway performs AND EXPLAINS the magic of John Ramsay.Andrew was the only student of the legendary Scottish magician (1877-1962) a...

Penguin Magic

 


 2カップルーティンはVol.1で、1カップルーティンはVol.2で実演解説されています。

DVD2カップルーティンは基本的に本と同じですが、最後の紙テープの出現フェーズの実演・解説はありませんでした。確かに本でもこのフェーズは後で追加されたと書かれていましたが、本が出た1948年には解説されていますので、是非ビデオでもやって欲しかったです(T_T)

 カップも本にある方なアイスクリームのカップにアルミの塗装がしてある感じのものです。本によるとサイズは高さが5.7cm、口径6.0cm、トップの径.5.4cmで、窪みが0.95cmほどです。多分ビデオもそのくらいの小さめのものだと思います。ボールは完全なボールではなくコルクを切った多面体でおおよその直径は16㎜と小さいです。

 手順を詳しく書いてしまうと、初めて見たときの驚きを小さくしてしまう可能性があるので、書けませんが、やはりバーノンの手順に慣れている自分としては、全然違うので新鮮でした。かといってこの手順が当時の標準的な手順かというとそうでもなく、やはりラムゼイ氏特有の良さが入っているようです。本でVictor Farelliは下記のように書いています。

Within the course of the last thirty odd years, I have witnessed many expert performances of the Cups and Balls, but John Ramsay's style of presentation, as well as his actual methods, is different.

The average conjurer keeps manipulating the cups with hardly any pause, or break, between the various stages of the routine: his hands never leave them for more than a few seconds at a time, and, even when he is explaining what is taking place, his eyes are seldom raised from the table.

 たしかに、ラムゼイ氏特有の、そこがあやしい!と思わせて違うというシーケンスや大ボールのロード方法とタイミングなどは面白かったです。また、ウォンドってやはり、自然に見せるいいツールだなぁと改めて感じました。

 ただ少しネガティブなことを言うと、Andrew Gallowayの演技の撮影の仕方(観客がいない、固定カメラからの撮影、そもそも演技もやや淡々とした感じ)などからビデオでは臨場感があまりありません。実際に見たほうがインパクトあるだろうなと思いました。大ボールがちょっと小さいので、マニピュレーションやロードはやり易いと思うのですが、え!そんなものが入っていた??というサイズ感はないかなと思いました。

 DVDVol.2ではワンカップルティーンが収録されています。ビデオの中ではヒンズーカップを使っています。恐らく、ラムゼイ氏のオリジナルもそうなのでしょう。この手順については「奇術の詩の子供たち」のサイトに動画がありましたので、引用させて頂きます。


 2カップに比べるとシンプルですね。お?と思うところがあるかもしれません。今見ると割と普通に見えるかもしれませんが、当時にしてはワンカップというのは珍しかったのかもしれません(勉強不足ですいません)

 今回、このルティーンを学び、時代を少し感じました。この本が出版されたのが1948年と第2次世界大戦終了直後です。それまでのカップ&ボールとこのラムゼイ氏のカップ&ボールは大きく異なったのかもしれませんね。さらにこれからポールフォックスカップが登場し、バーノンをはじめとする多くのマジシャンが様々な手順を発表して、20世紀が終わりました。他のマジックもそうですが、最も歴史があるマジックと言われるカップ&ボールも19世紀と20世紀後半では全然違う感じになったのではないでしょうか。次のターニングポイントはいつなんでしょうね

 最後に松田道弘氏の「クロースアップ・マジック」という本からの部分的抜粋です。

20世紀になると、クロースアップ・マジックの研究がさかんになって、このセルバントも取っ払ってしまおう、というこころみがはじめられました。セルバントの廃止と共に、カップアンドボールは、あらゆる奇術家によって研究され、発展してきました。中でもレオ・ホロウィッツ、トム・オズボーン、ジョン・ラムゼイ、ジェイコブ・ディリイ、エディ・ジョゼフ、ダイ・バーノン、チャーリー・ミラーらが独自の手順を発表しています。」

「カップ・アンド・ボールも、いろんな変種が研究されるようになりました。たとえば3個のカップのかわりに、2個のカップしか使わない手順とか、さらに1個減らしてワン・カップ・ルーティンなどというのさえあらわれました。2個のカップを使った手順では、ジョン・ラムゼイのこりにこった演出が有名です。」

 このラムゼイの手順は歴史的作品の1つという感じですね。







Pete Biro's Ramsay Cups and Balls | Aluminum | Satin Finish by Rings-N-Things Magic

2023-02-24 08:52:00 | カップアンドボール

 John Ramsay氏のTwo Cup ルーチンに関しては次回のブログで少し詳しく述べるとして今回はこのカップの紹介とします。これまで、このブログでも何回も登場しているPete Biro氏がJohn Ramsay氏のルティーンに適したカップとしてデザインしたカップです。Rings-N-Thingsが権利を得て作っています。このカップセットを購入するとピート氏が書いた、34 ページの取扱説明書が含まれています。但しこれは、ジョン・ラムゼイ氏のカップ&ボールの本の内容とほぼ同じです。


 商品ページです。

Pete Biro's Ramsay Cups and Balls | Aluminum | Satin Finish

Rings-N-Things Magic

 

 カップはアルミ製で、サドルに大きな窪みがあるのが特徴です。HPに書かれている仕様を下記に示します。

・高さ: 3インチ(7.62cm)

・サドル径: 2インチ(5.08cm)

・くぼみの深さ: 3/8インチ(0.95cm)

1個あたりの重量: 2.2 オンス (62g)


私は何故ピート氏がRamsay Cupとしてこの形を作ったのか理解できていません。John Ramsay氏がカップ&ボールで使っていたのは、本の写真を示しますが、アイスクリームのカップ(容器)だったんですね。なので底にしっかりとしたサドルがあるわけです。そして非常に軽いラムゼイ氏の手順ではこの部分をつまんで持ち上げるという動作が何回か入ります。




 しかし、このPete Biro氏のカップはアルミ製で軽量とはいえ、サドルの淵が厚く、淵をつかんでカップを持ち上げるのはちょっと厳しいです。しかもカップがかなり大きいJohn Ramsay氏のルティーンでは大きなボールは持ったまま、ウォンドや小さなボールを持ちます。またボールのマジックようにスライハンド(sleight of hand)的なバニッシュなんかを行うので、このカップの最大ロードサイズである60㎜は大きすぎます大きなファイナルロードとしてミニトマトが出てきたりするのですが、その程度の大きさ設定です

 ただ、Ramsay氏のルティーンは70年~80年前のルティーンなので、それを現代風に演じるとこのカップ形状になるのかもしれません。これでRamsay Cupsルティーンを演じているピート氏を見て見たかったです1インチのボールを入れたままスタックもできますので、全く別のルティーンもできますよね。

 ちなみに付属するボールは5/8インチ(16mm)とかなり小さいです。しかも4つ使います(笑)また、手順書の表紙の写真ですが、一瞬カップ&ボールの写真に見えませんよね。Ramsay Cupsルティーンではエンディングとしてコイルを使ってカップから紙テープがたくさん出てきます!ウォンドで巻き巻きするやつですね。なので出てきた大量の紙テープが写っているというわけなんです。派手なエンディングです(笑)。全体を通してちょっと今では見ることのないルティーンな気がします。"Master of Misdirection"の称号が与えられていたラムゼイ氏のカップ&ボール、気になる方はDVDで見ることもできます(フルルーティンではありませんが)。そのあたりは次回紹介したいと思います。
















ミニ・コンボカップ+銀次郎のツーカップDVD by GIN

2023-02-16 21:27:00 | ミニカップ(Mini Cups)

 何年か前にGINさんで購入したアルミ製のミニ・コンボカップと銀次郎さんがこのコンボカップのうち2つのカップを使った作った手順の解説DVDです。残念ながら現在は販売しておりません。生産自体が終了した可能性が高いです。銀次郎さん的にも気に入っていたようで、当時のHPでは「おすすめ」マークがついており、「珍しいだけではなく、出来がメチャクチャよいです」と書かれていました。ここで「出来がいい」という意味はコンボカップのチョップカップとレギュラーカップの差があまり無いよという意味が大きいと思います(当時のページでは中を見せた写真が掲載されていました)。

 高さは約5cm、口径は約4.5cmであり、形としては細身のデザインです。ですので、高さに対してファイナルロードボールはやや小さめとなります。私が持っているサイズのボールではなかなかぴったりのサイズはありませんでした(15/8が近いですが入りません)、、、GINさんではいい大きさのスーパーボールを付けてくれてましたが、それは紛失してしまってました。素材はアルミなので軽いです。一応Top3つボールを乗せてカップを重ねることはできました。カップ自体の精度はメチャクチャいいかというと微妙で実演での影響は無いですが、写真でお分かりのように3つのカップのサイズがわずかですが異なります(;^ω^)。また重さもチョップカップがわずかに重いですが、これは演者は持った時にわかるという利点となるかもしれませ(;^ω^)

 銀次郎さんのDVDではここから2つのカップを使ったTwoカップルティーンが解説されていました。片方がチョップなのでレギュラー2つで行うより不思議な演技が可能となります。この片方チョップカップの2カップルティーンはメジャーではないかもしれませんがギャリー・ウォレットが行っているように、古くから一部のマジシャンで使われています。私も自分のツーカップルティーンでは使っており、個人的には好きな組み合わせです。

 このサイズの3カップで、しかもコンボカップは確かにあまりないと思います(私が知らないだけかもしれませんが)。これまで紹介させて頂いた

Miniature Fox Cups

BUMA'S Triple

が近い大きさかなと思い、大きさ比較のためにポールフォックス(TypeI)と並べて撮影してみました。BUMA'S Cupと近いですね。重さは圧倒的にBUMA'S Cupが重いですが


 このサイズに近いサイズとしては、これまで何度か紹介させて頂いているRings-N-Things Magicさんの分類でいうとミニサイズよりもう1つ小さいマイクロサイズとして扱ってるサイズと近いと思います。具体的には

Jester Mini Cups

が最も近いと思いますが、残念ながらマイクロサイズのコンボカップは無く、コンボカップでなるべく小さめとなると、ミニサイズのMonti Mini Cupsとなります。

 GINさんのページにこのカップが既になかったので全体で探していたところせぶんさん(セブンさん?)のHPが見つかりました。

黒魔道会非公式応援ブログ(仮) レビュー:Cups & Balls Mini Beaded (Combo)

 セブンさんの情報によるともとはIckle Pickle社のCups & Balls Mini Beaded (Combo)ということで、商品ページのURLが書かれていましたが残念ながら、ページ自体が無くなっておりました。

 同ペースでこのカップを使ったセブンさんのツーカップルティーンの動画がありましたので、紹介させて頂きます。

 素敵な手順だと思います。Tommy Wonder氏の手順に影響を受けつつも独自の手順となっています。はじめと終わりもつながってますし(袋はお手製?)、現象もバラエティに富んでます。このカップを最大限に利用されてます(コンボであること、軽いこと、やや小さめであること、ボールもやや小さめであることなど)。一般的な大きなボールが出てくるというエンディングを使っていないところも個人的には新鮮でした。ボールが連続で出てくるシーケンスも「本当にそんなことできるんだろうか?」と思わずこうやっているのかな?と思う方法を試してみました。とてもいい刺激になりました。

 何度かブログに書いてますが、最近ちょっと小さめのカップもいいなぁと思い始めています。もちろん、どこで誰に見せるどんな手順を行うかで最適なカップがあるかと思いますが、最も自分にフィットするカップを探し続けているのは確かです。カップを自分に合わせるのではなく自分の腕をあげろよってところはありますが












Riser Mini Cups and Balls by James P. Riser

2023-02-16 15:26:00 | ミニカップ(Mini Cups)

 James P. Riser (Jim Riser)氏が作成したミニカップです。いつ頃購入して、いくらだったかすっかり忘れてしまっていましたが、下記ページを見つけました。どうも2005年あたりで、価格は250ドルだったようです。

Riser Mini Cups and Balls by Jim Riser

 当時、私は今ほどではありませんが、カップに興味があり、いいカップを探していた時、たまたまこのカップが目に入りました。理由はよくわからないのですが、とてもそのデザインに惹かれました。当時はJames Riser氏が誰かもわからないまま、発注をしたという感じですね(;^ω^)

 James Riser氏はすばらしいカップ職人の1人です。カップに限らず「モノ作り」をされてます。氏のページは下記にあります。残念ながらカップの生産は今後もなさそうです。

The Magic of James P. Riser

以前作ったカップの一部が紹介されています。

Discontinued items

ここにもありますが、氏が作った「Innocent Cups」というのはショルダービーズが無い珍しいカップです。以前紹介したトムフランク氏のDVDの中でも紹介されています。

 私の持ってるミニカップに戻ります。サイズは私が測ったものですので正確ではありませんが高さが約53mm、口径が約52mm,重さ57gです。前回紹介したPaul Fox Mini Cupsと比較する写真も載せましたが、比較すると背は低く、重さは少し軽いです(とはいえしっかりしています)。Paul Fox Mini Cupsはポールフォックスカップをそのまま小さくしているのに対し、Riser Mini Cupsはミニカップとして演技し易いように考えられていると思います。Paul Fox Mini Cupsもコンボカップにするにあたり、少し背を高くし、屋根裏部屋の空間を広くすることで、22(7/8インチ)のボールが3つ置けるように改良したと書いていますが、私のカップでは3つのボールを含んだままカップのスタックはできませんでした(詳細については、また、前回の記事に追加します)。しかし、Riser Mini Cupsは背が元のPaul Fox Miniより低いのに、サドルの面積が広いので22mmのボールが3つ屋根裏部屋に入りますし、入れた状態でスタックして取り除くと、ちゃんとサドルに3つ乗ります。Miguel Pizarro氏のミニチョップカップのボールも3ついけます.私が通常サイズカップ&ボールで利用しているMike Roger氏のボールは7/8インチサイズなのですが22mmより微妙に大きく、3つを入れることはできませんでしたが、2つまでは入りました。

 このサイズのボールだと、ミニカップといってもほとんと通常カップのサイズと同じなので、手順において十分な迫力を保てると思います。さらに、3つ同時にサドルに乗せることが無い手順だとすると、単体では1インチ(約25.4㎜)を乗せてスタックできます。TCCのレザーボールは約1インチと言いつつ27mm28mmあるので、微妙です(ほんのわずかに浮く感じ)。Paul Fox Mini Combo Cupsではこれを入れることはできませんでした。これはRiser Mini Cupのショルダーがほんの少しですが高めにあるためです。

 ファイナル用ボールとしては、Paul Fox Mini Combo Cupsと同じ47㎜がジャストサイズです。つまりTCCのファイナルロード用レザーボールも入るのです!まあポールフォックスの方がサドルの面積が狭くサイドの形が大きく変化しているので、ファイナルロード用のボールをTOPに置いたときの視覚的インパクトは大きいかもしれませんがでも、これだけ大きなボールを扱えて、ミニサイズなのでコンパクトで持ち運びやすいカップ&ボールは持ち運びがと思っている人には非常に良いカップだと思います。

 Bill Palmer氏は2005年のマジックカフェの投稿で下記のように書いています。

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Mike, Jim and Brett (Sherwood) have the highest consistent standards of quality of anyone currently manufacturing cups today.Their work is at least as good as anything that P&L or any of the other legendary makers of the past put out.

I should also add Joe Porper's name to that list. Joe makes consistently high quality products.

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James Riser氏は多くのマジシャンやコレクターが認めるカップ職人なのですが(そういう意味でもうカップは作らないという氏の宣言は少し悲しい)、そのこだわりの一つをこのカップに見ることができます。購入してからしばらく気が付かなかったのですが、氏の名前がカップの底に彫ってあるのです。まあ他のカップもその手の物はありますが、それがめちゃめちゃ小さいんですよ(笑)。はじめて見つけたときは、「なんやある!」(君の名は風)、でも、老眼の入った私の眼ではとても見れない(笑)そこで携帯のカメラのズームを使ってみると、なんと!名前が彫ってあるではありませんか!驚きました(笑)

 毎年新しいカップがリリースされて販売されますが、職人が作ったカップ!というのは、あまり見ない気がします(私が知らないだけかもしれませんが)。これは、Donnie氏が高品質で多種類のカップをRings-N-Thingsで作って販売していること(これはカップ職人が作ったカップとなりますが)、また、削り出しのカップは3Dキャドデータさえ作れば機械が精密に作ってくれること、単品カップではもうけが得られないことなどが理由かと思います。

 カップ職人が作ったカップをみんなで「いい仕事してますねぇ~」と語り合ってる2000年代前半のマジックカフェなどをみているとなんかいい時代だったような気がします。

 

ちょっと、追加です。

 Riser氏はこの Mini Cupsを作った数年後、「Riser Midi Traditional cups」というミニカップをリリースしています。

Cups & Balls magic: James Riser Midi Traditional cups in copper | #1777786396

A rare opportunity to acquire a set of James Riser's Midi-Traditional cups: Three beautiful polished copper cups in midi size hand-spun by master craftsman J...

Worthpoint

 

このカップについて以前紹介した「Watson Cups」を作った、Brian Watson氏がレビューしていますので、そのリンクも示します。Riser Mini Cupsより少し背が高くなり、スリムに見えます。素材や槌目仕上げなどのいくつかのバージョンがあります。

Cups and balls | Cups and balls magic - James P Riser Copper Mini's

ただ、このBrian Watson氏のカップは「Riser Midi Traditional cups」と書いていますが、ずんぐりむっくりな形からRiser Mini Cupsじゃないかなぁと個人的は思ってます...


















Paul Fox Cups (8):Paul Fox Mini Combo Cups | Copper | Polished Finish by Rings-N-Things Magic

2023-02-06 07:37:00 | ミニカップ(Mini Cups)

新しいPaul Fox Cupsを購入しましたので、Paul Fox Cups(8)として紹介します。今回紹介するのはRings-N-Things MagicPaul Fox Mini Combo Cups | Copper | Polished Finishです。

 以前、Paul Fox Cups (5)Miniature Fox Cups by RNT IIを紹介しました。

Paul Fox Cups (5):Miniature Fox Cups by RNT II - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

ポールフォックスカップの4つ目は2005年ごろRNTIIが限定で作成した銅製MiniatureFoxCupsです。Proclamationの紙が入っており、DistributedbyStevensMagicEmporiumと書かれて...

goo blog

 

サイズ的には同じくらいかと思いますが、今回、ミニカップのコンボセットが欲しかったので、この商品を購入しました。

Paul Fox Mini Combo Cups | Copper | Polished Finish

Rings-N-Things Magic

 

 なぜ、コンボが欲しかったかと言いますと、以前紹介したチョップカップとソリッドカップの2カップルティーンを行うのにミニカップでやってみたらどうかと思ったからです。

2020 favorites 2: For Two Cups Routine - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

今回は今までと異なり、特定のカップのセットではなく、今年私が2カップの手順をいろいろ考えて楽しんだ2つのカップの組み合わせについて書かせて頂きます。以前、私のイン...

goo blog

 

ですので、コンボカップと一緒にPaul Fox Mini Solid Cup | Copper | Polished Finishも購入しました。

Paul Fox Mini Solid Cup | Copper | Polished Finish

Rings-N-Things Magic

 

ところがですね購入して気が付いたのですが、というかしっかり商品説明に書いてあったのですが、このコンボセット、通常のポールフォックスミニカップとサイズが微妙に違うんです!!ソリッドカップは通常のミニカップと同じサイズに作っているので微妙にミニチョップカップとサイズが異なることになります(;^ω^)

---ミニコンボカップの仕様--

Height per ea: 2 1/8 inch

Height per set: 4 1/4 inch

Inside Diameter: 2 inch

Inside Depth: 2 inch

Saddle Diameter: 1 3/8 inch

Dimple Depth: 1/8 inch

Weight per ea: 3.2 oz (91g)

Weight per set: 9.8 oz (272g)

3 Balls Nested: 7/8 inch (22mm)

Load Ball: 1 7/8 inch (47mm)

---オリジナルミニカップの仕様--

Height per ea: 2 inch

Height per set: 4 inch

Inside Diameter: 2 inch

Inside Depth: 1 7/8 inch

Saddle Diameter: 1 3/8 inch

Dimple Depth: 1/8 inch

Weight per ea: 2.2 oz (62g)

Weight per set: 6.5 oz (184g)

3 Balls Nested: 3/4 inch (19mm)

Load Ball: 1 7/8 inch (47mm)

 コンボカップの方がほんの少し背が高くなっています。両カップとも1つのボールで利用するサイズは22mmなのですが、オリジナル(?)のミニサイズの方は3つ同時に入らないので、3つ使う場合は19mmを使う事推奨でした。一方、コンボカップは22mm3つ入るようにattic space(屋根裏部屋)を広くした設計としたようです。

 ですので、チョップカップとソリッドカップの2カップでは微妙に高さが違うことになります。写真を撮りましたが確かに違います(^_^;)おそらく気が付く人はいないですが幸いにも内径やサドルの径が等しいのでスタックは問題なくできます。私の2カップ手順ではボールも3つ使いませんしなんとか行けそうです。一瞬ドキッとしました手順に関しては、納得できるレベルまで言っていないのですが、とりあえず、実演していくことで問題点を明らかにして改良できれば良いと思っています。

 ファイナルロードのサイズは約47mmでジャストサイズです!通常のカップで使っているレモンやジャガイモは使えませんゴルフボールは入りますが、ちょっと小さいかな?とおもいます。ビリヤードボールもミニサイズは38mmくらいなのでいいサイズはありませんニットボール以外としては、TCCのベースボールの大サイズがちょうどこのサイズで使えることがわかりました。また、Miguel Pizarro氏のミニチョップカップ用ファイナルロードボールもほんの少しだけ小さいですが使えそうです。Miguel Pizarro氏のミニチョップカップ用ボールも3つ同時に入れてスタックしないのであれば、小さいボールとして使えます。

 ポールフォックス通常サイズと比較するため並べたカップも撮影しました。いくつかのサイズがあるのでマトリョーシカのように、最後にカップがたくさん出てくるのも面白いかもしれませんね(えっ、面白くないですか?(笑))