何年前にリリースされたか忘れてしまいましたが(2020年か2021年くらいでしょうか?)、TCCからリリースされたはじめてのシェルです。真鍮製のアンティーク感あるシェルで、金ぴかの「The Golden Shells」に比べると少し落ち着いた感じがありいい感じです。商品にはグラスとピー(ボール)、巾着袋も付いてきますので、お値打ちな感じもあります。
一方、The Golden Shellsの方が個人的に良いと思う点は、TCCのシェルはおしりのところに空きが無い点と完全フラットの底面をしている点です。これらが無いためスチール・ロードするときの振動がゴールデンシェルと比較すると大きいと思います。ただしこれは、上記ビデオを見てる限り気にならないので、やってる自分がビビっているだけかもしれません(;^ω^)。付いているグラスは写真のように、少しだけ余裕があり、The Golden Shellsの時ほどぴったりしたものではありません。
TCC Presents - The 3 Shells The 3 Shell Game, much like the renowned Cups and Balls, carries a rich history that dates back to the 1670s. This age-old gambling s...
これらBlack Fox Magicのシェルはちょっと、変わったデザインだったので当時話題となった記憶があります。購入していませんので質感などはわかりませんが、プラスチック製とのことですので、やや軽めのシェルだったと思われます。
TCCからリリースされたシェルは真鍮製でしっかり重みがあります。職人による手作業でアンティーク調の風合いを出すために表面を電気メッキし、磨き上げているそうです。中も外もきれいな感じです。甲羅の形にすることで、首の部分の形が自然とでき、スチール(ロード)しやすい形になっているのが良いですね。また甲羅の溝が持った時に滑り止めの効果があるのではないでしょうか。シェル自体の大きさは上記シェルや The Golden Shellsに比べて結構大きいです。ですので、これらで使っているグラスが使えません。もし、このシェルでグラスを使った手順を行いたい場合はもう少し大きなグラスを探す必要があります。私のところにはたまたま、また紹介させて頂く別のシェル用のやや大き目のグラスがあり、それとぴったりな大きさでした。
本は2冊セットである「The Books of Wonder by Tommy Wonder」に氏のマジックのほとんどが書かれていると思います。氏の集大成といえる本です。一時廃盤になっていましたが、権利が移動し再販されました。カップ&ボールの手順はVol.2に書かれています。日本のお店でも購入できるところがありますが、PVがついている海外のお店の商品ページを紹介します。いつか日本語訳本が出てくれるといいですね(誰かその偉業に立ち向かってください(笑))
The Books of Wonder by Tommy Wonder (2 Volume Set)
"By far, two of the most valuable books in my library. His magic is truly exceptional, original, awe inspiring." -Johnny Thompson"Tommy Wonder w...
John Ramsay氏はミスディレクションの名手であり、Tommy Wonder氏も恐らくその影響を受けているでしょうから、本人はそのような事は言ってませんが何らかの影響はあったかもしれません。本によると、Tommy wonder氏は2カップについて、3つのカップは観客にとって現象を追うのが難しい、また、2カップで3カップの技法のほとんどはできると考え、2カップにしたと述べています。また、ポンポンを使う発想に至ったのは氏がプロとして活躍し始めた70年代は体にぴったりした服装が流行っており、大きなボールをポケットなどに入れておくことが難しいという環境のためだとのことです。そこから袋からのロードを思いつき、ポンポンそして袋自体へと考えを進めたと考えられます。
Tommy Wonder氏の手順を通常のカップ&ボールとの最大の特徴がはやはり目の前にあったポンポンや袋がカップの下に移動することだと思いますが、プロの演者として価値がある点として後に紹介する「TOMMY WONDER ENTERTAINS」では以下を挙げています。①立ったまま行えるので演技の環境はそれほど重要ではない。②「ポケットワーク」が無い。マジシャンがポケットに手を入れて取り出したり、しまったりすることがない。ボールがカップからポケット(とその逆)の移動もない。③大きくて目立つボールを使っていて(1.5インチ)、観客にとてみやすい④クライマックスの為に大きなボールを3個から4個身に着ける必要がない。膨らんだポケットでマジックを演じる必要がない。⑤終わったらリセットされているので、準備の必要なく、余分な道具も必要ないので、特にテーブルホッパーには便利である。
1977にトミー・ワンダー氏自身が出したレクチャーノートです。10以上のマジックが解説されており、カップ&ボールが最後に記載されています。タイトルはシンプルに「CUPS AND BALLS」です。このレクチャーノートには有名な氏のDiminishing Cards(Squeezeではないです)や、前田知洋さんもテレビでよくされてたCARD-PUZZLEなどが解説されてます。16ページの冊子に10以上のマジックですので、一つ一つはコンパクトに説明されています。挿絵はトミー・ワンダー氏自身が描いています。カップ&ボールはp13-p16にわたり、14の図を使って説明されており、この冊子の中では多くのエリアを使い詳細に説明されているマジックなのですが、正直この文章だけでどんなマジックが行われているかを理解(再現)するのは厳しいと思います(;^ω^)。
この初期手順では、後の最終手順といくつか違う点があります。導入部分ではカップ・スルー・カップは行わず、ボールがカップを貫通する現象を行っており、さらにチャーリーミラームーブなども行っています。最も驚いたのは、ポンポンがネジではなくクリップで留められていたことです。あの不思議そうな顔をしながらゆっくりネジを絞める演出は笑いを得る非常に良いパフォーマンスですが、初期ではなかったんですね。ちなみに、この冊子はインターネット上で「Original Magic from Holland Lecture」と書かれていることも多いのですが、そんなタイトルどこにもないじゃないかと思っていたら鍵穴に連続して書かれてました...(;^ω^)
2.Tommy Wonder Entertains
1983年に、Jeff Busby Magicから出版された冊子で著者はDr. Gene Akira Matsuuraと書かれていますので日系のお医者さんか博士号を持たれている方でしょうか...。サブタイトルに「Three Novel Routines Based on the Cups and Balls by JOS BEMA」と書かれていること、目次の2つのセクションが「1.Novelty Routines (pp1-12)」「2.The Jos Bema Cups and Balls(pp15-40)」となっていること、表紙にポンポンが描かれていることなどから、この冊子は明らかに氏のカップ&ボールがメインであることがわかります。1つめとしてレクチャーノートと大きく異なり、約20ページをかけて、道具に関して(ポンポンの作り方も含め)と手順を非常に丁寧に解説しています。図も40あり、動きや状態がわかり易く描かれています(挿絵はJohn Elferink)。手順の解説の後は、Tommy Wonder氏によるファイナルロードのコメントや、練習の時に役に立つようにアウトライン、その他バリエーションが書かれています。この手順を学ぼうとする人を考えた、かなり力の入ったカップ&ボールの解説書です!
また、この冊子には、このTwoカップの手順のほかに「CANNED CRAZIESS」と「COUGH COUGH」というマジックが解説されています。「COUGH COUGH」おそらくVisions of Wonder - Vol.2の「Cough Drop」と同じだと思います。
Tommy WonderとStephen Minchが著者でイラストはKelly Lylesです。カップ&ボールに関しては2巻の「Acetabula Et Calculi」という章にあります。このブログにして今更ですが、この言葉はラテン語でカップ&ボールの現象を意味します。「カップ(容器)を使うもの」という意味の言葉「acetabularii」と「小石を使うもの」という意味の言葉calculariusからなり、共にマジシャンを表す言葉として使われていた言葉のようです(カップ&ボール=マジシャン(o^―^o))。
最後にカップについてですが、本では、クラシックな形でも、丸みを帯びたポールフォックスタイプでもどちらでもいいと書かれています。トミーワンダー氏は後者が好みだそうです。この手順では多くのカップ&ボールの手順と異なり、カップのトップに複数のボールを置くことがありません。ですので、トップの領域は広い必要はありません。また、前半のカップの上からボールを引き出すような動きや、後半の観客の手からカップを持ち上げる動きなどを考えると、トップが狭くスリムなAuke Van Dokkum氏やRaphael氏がデザインしたカップの計上は合理的な気がします。ボールとカップの大きさに関しては必要な関係がありますので、大小のポンポンは使うカップに合わせた大きさにする必要はあります。
Raphael and Bluether MagicのTommy Wonder Cup 3種の比較 - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介