カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

スーパーシェーカー by テンヨー

2022-09-19 20:37:00 | チョップカップ(chop cup)

う 1999年、テンヨーからリリースされたカクテルシェーカーの形をしたチョップカップ「スーパーシェーカー」の紹介です。

 実演動画やテンヨーの正式な商品紹介のサイトなどが動画など見つけられないので、現象を文章で書きます。

【現象】(解説書より)

 マジシャンはカクテルシェーカーを持って登場。まず相手にシェーカーのカップ部を渡しよく調べさせます。次に小さなボールを渡してこれもよく調べさせます。ボールをカップに入れてよく振り、<ボールをp手に持ってポケットにしまった>か、<伏せたカップの中に入れた>かを相手に当てるようにいいます。簡単に当たるように見えるのですが毎回予想と違う場所からボールは現れます。そして最後には突然カップの中から本物のライムが現れます。このライムをシェーカーに入れてよく振るとカクテルになり、グラスにそそいで見せます!

 考案はテンヨーのマジックディーラーの中村公彦氏で、解説が下村知行氏です。テンヨーイズムでは、「ある夜、下村は神奈川のマジックバーにそのバーでマジシャンとしても働いている(テンヨー ディーラーの)中村を訪れた。そこで下村はバーマジシャンによる最もすぐれたバージョンのチョップカップを見た」と書かれています(訳間違っていたらごめんなさい)。おそらく、そんな感じで、「すばらしい!是非商品化しよう!」という形になってディーラーズアイテムとして商品化されたのだと予想されます。2000年のディーラーズアイテム紹介用のカタログに出ています。



ディーラーズアイテム用に作成されたので、それほど数を作っておらず、これまたテンヨーイムズの文を引用させて頂くと「It's a winning combination if you're lucky enough to find one because only a few hundred were made.」という感じで、貴重だとのことです。個人的にはヤフオクやメルカリでちょこちょこ見かける気がします。意外とコンスタントに販売されていたテンヨー製のカップ&ボールのカップの方が入手難しかったりするのでは?とか思ったりしますが、オークションなどは波があるので、たまたま、最近目に留まるだけかもしれません。

 私は当時、下記のマジェイアさんの記事でこのカップのことを知りました。

http://plaza.harmonix.ne.jp/~k-miwa/magic/soldtrick/supershaker.html

 マジェイアさんがどのくらい多くの方に演じられたのかは不明ですが、この記事の中での最後の液体を出すエンディングはあまり驚かれないというコメント1と、本物とスイッチした方がいいというマニア用アドバイスは、実演していない私ですが、妙に納得してしまいます(笑)。残念ながら液体を出した後にシェーカーを観客に渡すことはできませんしねただ、考案者の中村氏は恐らくバーにおいて多くの機会でこれを演じられて観客からの良い反応を得てるでしょうし、下村氏も実演を見て商品化しよう!と思ったのでしょうから、実際のところはどうかわかりません自分自身で確かめるのが良さそうですが、私はネタバレするのが怖いので、マジェイアさんのオススメの方法をしてしまいそうな気もします(笑)

 さらに、このシェーカーを使う場所が問題ですね他のカップもそうだと言われればそうですが、いきなりシェーカーをだして、今からこれを使ってマジックをしますと始めたら怪しいですよねもちろん、以前実はバーテンダーとして働いていたことがあって、そこではよくこんなマジックをしていましたと始めれば大丈夫なのかもしれませんが

 最も良さげなシーンは、お酒なども出る立食のパーティーなどで、しかもバーテンダーがいるような会でしょうか。ちょっとお借りしていいですか?と借りたふりをして本商品を使えると説得力で出ますし、事前に美味しい本物のカクテルを作って頂くこともできますしね。

 カップ(シェーカー)はクロムメッキできれいにできており、本物のシェーカーをあまり見た記憶がないのでどのくらい違和感あるか分かりませんが、個人的には違和感なく見えます。重さもしっかりあり、しっかりとした作りです。ただ、メルカリやヤフオクで多くの方が書かれているのがMの強さです。強すぎるとのことですが、これは確かに強いですね。叩きつけないとダメな感じです。Mも強いですが、個人的にはボールが軽すぎる気もします。これは、カップ本体に細工をするか、自分で良さそうなボールを探すか、、、個人的には時々紹介させて頂いているRINGS-N-THINGS MAGICの調整可能なチョップボールを使うのが最も良いと思います。

 チョップカップの中でも少し変わったストーリー性のある演技ができるカップだと思います。興味のある方はヤフオクかメルカリでキーワード登録しておくと引っかかることもあると思いますのでご登録されると良いかと思います。
















Chop Cup Tea cup by Norm Nielsen

2022-09-11 11:05:00 | チョップカップ(chop cup)

 本物の瓶のように見えるラバー製品などで有名なニールセンが発売しているチョップカップです。最近ではHenry Harrius氏のREFILLED」のボトルギミックはノーム・ニールセンマジックの許可を得て開発したそうですよね。(「許可を得て」というのは何か製造方法などで特許を持っているのでしょうか)。そのニールセンマジックが出しているチョップカップはなぜか日本スタイルのティーカップ(Japanese style ceramic tea cupと言われると少し違和感があり、日本人的には湯呑というキーワードがピッタリくるでしょうか。この形の湯呑でお茶を飲む機会が減って気がします。形としてはご飯をいれお茶碗の形、、、ん?そもそもご飯を入れるのになぜ「茶」碗??

ごはんを盛るのに、なぜ「茶」碗? | 深むし茶 静岡 深むし茶のギフトなら小野園

 話がそれました、というわけで、陶器(セラミック)のチョップカップです。仕掛けがある用には見えません「昔は身の回りのものを使ってマジックをしていました代表的なのがこのような茶碗を使ったマジックでした」とかいう感じで始めると導入として道具を出すのが不自然でない気もします。海外の人が演じるには「日本では古来からこんなマジックがあるそうです」とか言っても出すとちょっと雰囲気ありそうですよね(笑)

 セオマジックさんの商品HPからの動画です。


 展示ブールでのデモンストレーションを行っている際の動画でしょうか。解説書通りの演技をしています。

 こちらの動画は、もう少し凝った感じの演出をしていますね。東洋色を出している感じ(笑)


これらの演技からわかるように、通常のチョップカップと使い方が違います。ボールをリリースするための理由として「音」を使うんですね。なかなか面白い発想です!手に握ったボールが消えた「しっ!耳を澄まして」と言って振ると音が聞こえます。そう消えたボールがお椀に入っているのです!この音を出すために、ボールが通常のニットとかではなく、木で作ったボールのようです。木のボールに赤色でペイントし、金粉のようなデザインとなっています。コーティング&着色をしているので木そのものって感じはしませんが硬めのボールです。飴玉に見えなくもないので、道具を出すときに昔の飴玉を想定したボールです。と言ってもいいかもしれませんね。

Nielsen Magicの商品ページです。

Magic Items, Magic Tricks, Magic Products, Magic Effects, Nielsen Magic

 

 日本国内でもいくつかのショップで扱われていますが、今回はセオマジックさんのページを示します。

湯のみチョップカップ ※-セオマジックネットショップ

ノーム・ニールセンの湯のみで演じるチョップカップ!!湯のみで演じるチョップカップです。陶器製で、湯のみのデザインになっています。付属しているボール...

セオマジックネットショップ

 

 ちょっとお椀が小さいというか底が浅いのでボールのような形だとお椀の径に対して小さなものしか出せません。商品解説では小さなレモンならOKと書かれていますが普通のレモンは厳しい気がします。直径約4.8cmTCCの革のファイナルロード用ボールは入りませんでした(浮いてしまいました)。ビデオのようにスポンジのボールか卵のように高さの無いモノを出すのがよいかもですね。そいう言う意味では小さなレモンもいけるのか私はスポンジお寿司を合わせてみました。スポンジではなく本物のお寿司を出してその場で食べると、ちょっと出てくるものは小さいかもしれませんが日本風ですし、インパクトはあるかもしれませんね(笑)














Guy Hollingworth(ガイ・ホリングワース)

2022-09-01 13:56:00 | マジシャン別

 英国紳士、ガイ・ホリングワース氏(本業は弁護士)のカップ&ボールです。先日20年以上前の本である「Drawing Room Deceptions」の日本語訳本が出て、その凄さを改めて感じるガイ・ホリングワース氏ですが、これまでの本やビデオからはカードマジックが多い印象で、カップ&ボールをしているのを見たことも聞いたこともありませんでした。

 しかし、2018年箱根クロースアップ祭のゲストとして来日した際、氏はカップ&ボールのレクチャーをされて、その日本語冊子がマジックランドさんから発売されました。商品説明に「レクチャーされた彼のカップ&ボール・ルーティンを日本語訳として世界に先駆け発表したレクチャー・ノートです。」とありますので、やはり昔からあった手順ではなく、2018年ごろ完成した手順なのかもしれません。

 う~ん、氏はカードのイメージだしなぁ~どうなんだろうやっぱ難しい技法とか使うのかなぁ~と思いつつも冊子を購入しました。冊子のタイトルは「A Cups and Balls Routine(カップ&ボール・ルーティン) by Guy Hollingworth in 新・箱根クロースアップ祭」です。

 当初多くのお店で取り扱われていましたが、現在は売り切れが多いです。でもマジックランドさんにはちゃんとあります。

I-Magicさん

A Cups and Balls Routine(カップ&ボール・ルーティン) by Guy Hollingworth in 新・箱根クロースアップ祭-マジックショップ I-MAGIC

ガイホリングワースのカップアンドボール手順世界に先駆けて、日本語版が登場です!2018年箱根クロースアップ祭のゲストとして来日したイギリスの紳士、ガイホ...

マジックショップ I-MAGIC

 

マジックランドさん

BOOK :: クロースアップ :: A Cups and Balls Routine(カップ&ボール・ルーティン) by Guy Hollingworth in 新・箱根クロースアップ祭

 購入したとき、パラパラっと中身を見たものの、その後深く読まず本棚で眠っておりました。ガイ氏のマジックは自分には難しすぎると思い込んでるのもあったかもしれません(;^ω^)(実際そうですが(笑))。

 そして、先日、Vanishing Inc.である商品を購入するのに1品だけでは送料がもったいないなぁと思い、何かいいものないかなぁと思いいろいろ見ているときに見つけたのがVanishing Inc. MasterclassGuy Hollingworth氏のレクチャーでした。なんと、そこにカップ&ボールとあるではないですか!インターネットで検索しても出てこない彼のカップ&ボールの動画を是非見て見たいと思い購入しました(でもダウンロードだったので結局送料とは関係なかったのですが、、、)。

Guy Hollingworth Masterclass

Guy Hollingworth Masterclass

We

 

そして、氏のカップ&ボールの演技と解説を見て、面白いと思い、冊子を再度読み直しました。

 日本語冊子の手順では、3つのカップからはじめ、2つ、1つへと減らしていき、最後に再度3つにしてフィナーレといく感じなのですが、Vanishing Inc. Masterclassのレクチャーでは、2カップの演技でした。2カップですが、歴史の話から入って、しっかり時間をとった手順で、解説を含めると30分以上ありました。氏曰く、自分はゆっくりしたカップ&ボールの手順をしたかった、そして、ボールを手から消したとき、本当に消えているところをしっかり見せたかったかなり前からこれらの壁があり、カップ&ボールを好んで演じることが無かったようです。デビッド・ウィリアムソン氏のカップ&ボールは素晴らしいが私のスタイルに合いませんでしたとも言っていましたが、確かにパフォーマンス特徴としては真逆にいる気もします(笑)。しかし、新たな技法を開発することで、完全に両手からボールが消えていることを示せるようになり、そこからカップ&ボールを演じるのが好きになったとのことです。

 確かに氏の手順を見たとき、あれ?完全に消えてる!と驚きました。この技法を使っているのでウォンドも必要ありません素晴らしい技法で今度自分の手順の中でも入れれないか検討してみたいとは思いますしかし、カップ&ボール1000年以上の歴史の中で、ウォンドを使う方法が使われ続けてきたことを考えると、カップ&ボールのバニッシュがウォンドを使わずこの技法に置き換わることは難しいかなぁと思います。でも、どこかでこの技法を1回入れるだけで、完全な空の手を見せることができ、ウォンドが必要だと思っていた人たちを驚かせることはできると思います(私がそうですし(笑)、箱根でも歓声が上がったようですし

 手順は、単にボールが消えた、移動した、大きいものが出たというものではなく、歴史の話やカップの話、ボールの話などいろいろ話しながら、最後に出現するものは、唐突なものではなく、はじめに見せていたものという流れになっています。氏の雰囲気に合った手順だと思います。話が多いので英語の苦手な私にはその良さを真に体験できていませんが

 最後に少しカップについて書きます。冊子で氏が使っているカップを見たとき、「変わったカップだな」と思いました。違和感がありました。氏も演技の中で話していますが、以前このブログでも紹介したエジプトの壁画(バケト3世の古墳)に描かれているカップのような形です。なぜ違和感があったかというと、通常マジックのカップ&ボールで利用するカップはスタックしたときに間にボールが入る空洞が確保できるよう、また安定してスタックできるようなデザインになっています。しかしガイ氏が使ってるカップは完全な曲線でそれが無いのです。

 日本語レクチャーノートにはさらっと「私はジェファーソンカップを使っています」と書かれていて、はじめ見たときは「変わったカップだな?「ジェファーソンカップ??そんなメーカーやマジシャンって聞いたことないなぁ」と調べることなく流していたのですが、実演映像でどんなカップか、その歴史的なことも含めて話しており、マジック用のカップでないことを理解しました。このブログを読んで頂いている方の中には「え?知らないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、お恥ずかしながら知りませんでした(;^ω^)

 ジェファーソンカップというのはアメリカ3代大統領のトーマス・ジェファーソンが1810年に自らデザインして銀で作った(作らせた)とされるカップです。現在では、ピューター製が多く、アメリカではデザインが好まれて昔から人気があるようです(と言ってもどのくらい人気があるのか正確に知りません)。贈り物などにも使われているようです。アマゾンでも扱ってますし、メルカリやヤフオクなどでも出品されています。

 というわけで、2個セットを購入してみました。同じジェファーソンカップでどのくらいの大きさがあるのか(どれくらいのメーカーが忠実にジェファーソン大統領がデザインしたカップと同じサイズのカップを作っているのか)不明ですが私が購入したものは高さ6.5cm 、直径 7.5cmのカップです。底には文字が彫られてます(多くのジェファーソンカップでそのようです)。また底が少し窪んでいるので、ボールを乗せたとき安定するとガイ氏も話していました。ただ、ガイ氏はスタックしたときにマジック専用のカップ同様ボールを保持するスペースができるところもいいと話していますが、私が購入したジェファーソンカップではスタック時にカップ間にスペースはあるものの、1インチのボールでは入らず、5/8インチなら行けるかなぁという感じです。ただ、導入時に中に入れて取り出すだけであれば、完全に中に入れ込む必要は無いので7/8インチ3/4インチでもいけるかもしれません(未確認です)。

 まあ、さすが英国紳士ガイ・ホリングワース氏が選んだカップという感じです。お洒落ですね


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