カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

TOT Cups and Balls Combo Set by The Orange Tree Magic

2023-12-23 22:37:00 | カップアンドボール

 The Orange Tree Magicというメーカー(マジックショップ?)をご存知でしょうか?私はあまり、意識してなかったのですが、有名なようで…言われてみれば、私が持っている商品では、「ニルヴァーナ」というカードマジック(ギミック)がありました。

 いきなり脱線ですが、Orenge Treeといえば、「近代奇術の父」と呼ばれるフランスのマジシャン、ロベール・ウーダンの演目ですよね。やはり、そこからとっているのでしょうか…。せっかく話が出てきたので、Paul Daniel氏がウーダンとなり(?)このマジックを演じている映像をご紹介します。(動画埋め込めませんでした(T . T))

https://youtu.be/-Ht_afydffk?si=yjyktxF4NDAVI6PE

ここで使われているオレンジの木はJohn Gaughanという方が様々な資料を元に再現されたようでMAGUSさんも所有されているとのことです。MAGUSさんは現代風にアレンジした「オレンジの木」を演じられているそうです(見てみたい...)

マジシャン メイガス 最先端イリュージョン・マジックショーを全国へ【特別なマジック】

NHK紅白歌合戦2年連続出演、世界タイトル「マーリンアワード」受賞、国内「マジシャンオブザイヤー」2回受賞、第51回「ベストドレッサー賞」受賞。メイガスは、情報番組や...

マジシャン メイガス 最先端イリュージョン・マジックショーを全国へ

 

 話を戻して今回紹介するのは、ちょっと、こだわりがありそうなこのThe Orange Tree Magic(頭文字をとってTOT)がリリースした限定のコンボカップセット「TOT Cups and Balls Combo Set」です。限定300とありますが、まだ現時点では売り切れにはなっていません。前回紹介したTCCのMaster Cupが750セット限定だったので、それに比べると半分以下ですが、値段や知名度のこともあるので、どのくらいでなくなってしまうかは全く予測できませんね(;^ω^)

TOT Cups and Balls Combo Set | Orange Tree Magic

Presented by The Orange Tree Studio, is now available for purchase. Base on the traditional Paul Fox design, the cups are made of rare Japanese steel, handcrafte...

Orange Tree Magic

 

「セット」というだけあって、カップだけでなく、ウォンドやボール、エッセイが書かれた小さな冊子も含まれています。HP上の情報とほとんど同じですが、それぞれ紹介していきます。

<ケース>

 まず、ケースが凝ってます。紙製ですが、上下にデザインがあり、開けると中にヒエロニムス・ボス(ボッシュ)(Hieronymus Bosch)の「手品師(いかさま師)(英語:The Conjurer)」がプリントされています。このBoschの作品はカップ&ボールが描かれている最も有名な作品ですよね。しかし、Wikipediaには「しかし近年の研究により、ボスの他の作品との間に多くの相違点が指摘され、現在では工房の作品あるいはボス以降の追随者による作品とする見解が強くなっている」と書かれています。また、同Wikipediaには「オリジナルの作品は失われており、本作品を含む5点のバージョンと1点のエングレーヴィングが知られているが、ほとんどの研究者はサン・ジェルマン・アン・レー市立美術館のバージョンを最も信頼できる複製であると考えている」とも書かれています。いろんなバージョン(カエルが口から出ているやつとか…見たことあると思います)。この絵だけでもいろいろありますが、本題では無いので、このへんで(;^ω^)。

 ケースの中には緩衝材をカットしてカップとウォンド、ボールが収納できるようになっています。小ボール、カップ、ウォンドは専用のカットされたところに配置しますが、大ボールはカップの中に入れてカップと一緒に型に入れます。




<カップ>

 カップはシルバー色のカップでHPによるとレアな日本製のSteel(鋼鉄)で手で紡がれており、きれいに磨かれています。英語力の問題で自信ないのですが、材料だけ日本ということでしょうか…。CNCではありません。形は「Base on the traditional Paul Fox design」と書かれているようにポールフォックスタイプです。かなりポールフォックス(Type1)に近い形ですが、わずかにスリムな気がします。参考としてみかめくらふと(ミカメクラフト)製のカップとテンヨー製のカップの間に置いてみました。

テンヨーのアルミ製カップ - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

みかめくらふとのカップよりわずかにスリムでショルダービードも少しだけ高いです。ただ、かなり近い形ですし、重さも近いですので、もし、みかめ製のカップを使いたくて、でも入手できないという方にはオススメです。最近のCNCタイプのカップに比べるとかなり軽く感じますが、個人的にはこちらの方が扱い易いです。商品ページにはカップ同士をぶつけた時にきれいな音が出ると書かれています。確かにきれいですが、音に関してはやはりCNCの方がきれいな(単一周波数っぽい)音が出ますね。

 コンボカップなので1つはチョップカップですがよくできていて底を見ても差はわかりません。磁力は強すぎず、良いと思います(個人的にはさらに弱いのが好きですが(笑))。最後に大きさ、重さについてです。HPの値を引用します。

カップの口径:64mm

カップの高さ:64mm

カップの重さ:約91g


<ボール>

 ボールは手縫いのニットボールでワインレッド(赤紫?)色です。落ち着きのある色で個人的には好みの色です。派手過ぎないのでフラッシュする確率を減らしますし、かといってシルバーのカップの上に乗せれば、しっかり目立ちます。この色は後で紹介するJared Kopf氏の中でも書かれているのですが、Charlie Miller氏の助言に基づいてBob White氏が使っている色です。

 小ボールの直径は23㎜と1インチよりわずかに小さいサイズで、軽すぎる事のない重さのボールです。毛糸はちょっと太目ですかね。4つ小ボールが付属しますが1つはチョップボールです。チョップボールだけ重いということもなく、しっかり作られています。先に述べましたようにチョップボールの磁力もしっかりカップと調節されています。大ボールは同色のボールで3つで、ジャストサイズに作られており、サイズは60mmです。割と重さもあってよい感じです。3つしか大ボールは入っていませんので、もし4つ使う方は60mmのボールを他のお店で購入されると良いと思います。このサイズは特殊ではなく例えばRINGS-N-THINGS MAGICさんで購入できます。


<ウォンド>

 ウォンドは約32cmの長さで、細めです。そして、写真にありますように非対称なウォンドです。対照的なウォンドが多い中、非対称なウォンドにしたのは何故でしょうか...まあ、ハリーポッターなどの魔法使いはこのウォンドのようにやや先のとがったウォンドを使うので、そのあたりのデザインを意識したのかもしれません。わりと軽いウォンドです。


<冊子(エッセイ)>

 このセットには、Jared Kopf(ジャレッド・コッフ)氏の2000語程度のエッセイが書かれた冊子が付いています。Jared Kopf氏といえば、2015年の箱根クロースアップ祭で日本に来て、皆を驚かせたそうですね。レクチャーノートが出ています。

【新世代の名手!】ジャレッド・コッフ・レクチャーノート(NOTHING BUT THE FAMILY DECK)〜箱根発の2015最新情報!〜 [monthly Magic Lesson Shoppers]

また、Penguin LIVEにも出てます。

Jared Kopf LIVE (Instant Download)

“As a rationalist and a mechanist, I view all phenomena as ultimately explainable. ‘There’s no such thing as magic,’ is one of my common refrains. But some obser...

Penguin Magic

 

これらのレクチャーの内容を見ると、カードマジックばかりで、カップ&ボールをする感じではありません...では、なぜ??と思っていたら、氏はBob Whilte氏を師としているんですね。Bob Whilte氏といえば、カップ&ボールに通じており、評価の高いカップ&ボール解説ビデオを出しています。そしてよく見るとこのビデオの中でJared Kopf氏の名前も入っていますね…。このDVDについてはまたブログで紹介させて頂きたいと思いますが、このカップのセットのボールとBob Whilte氏がDVDで使っているボールが同じ色なのは偶然ではないと思われます。

Cups And Balls by Bob White (DVD)

There are countless wonderful routines with cups and balls. Max Malini, Al Baker, Sam Horowitz, Charlie Miller, Paul Rosini, Dai Vernon and many other capable pe...

Penguin Magic

 

冊子は、歴史的な話から始まり(このパートは古い英語の引用など英語が難しくて完全に理解できていません(笑))、トピック的にファイナルロード、ウォンド、ボール、カップの話などが書かれています。




 総評として、最近のCNCのカップが個人的には少し重いと感じることもあり、昔からの職人さんの手で紡がれた(日本のSteelを使った)このカップは、大きさ、重さ、形、全てにおいて、いいカップだと思いました。ファイナルロード用のボールもカップ専用のぴったりサイズであることもGoodです!

 というわけで非常におすすめですが、気になる点としては、お値段が高い、大きさがやや小ぶり、CNCではないという点でしょうか。セット&限定商品としての価格のためやはり高いと感じます。カップのみで200ドルくらいで販売してくれればありがたい…。テニスボールが入らないので、大きなボールを出したい人にはお勧めできません。また重いカップがいい、という方にもこのカップは軽くはないのですが、重いのが好みならCNCをお勧めします。購入をご検討の方はこの辺りも考慮されればと思います。

 2023年最後のカップ紹介の予定です。今年もいろいろなカップが紹介できてよかったです。次回は、何か一般的な商品を挟む可能性はありますが、今年の振り返りを書きたいと思います。是非見て頂けると幸いです。




Master Cups and Balls by TCC

2023-12-22 03:12:00 | カップアンドボール

 TCCは毎年アニバーサリー商品をいくつかリリースしていますが、今年(2023年)の13周年アニバーサリー商品の1つに「Master Cups and Balls」カップがリリースされました。リリースされたばかりの期間は、お値打ち価格で買うことができて、このカップも通常価格が150ドルのところ、99ドルで販売されました。しかもさらにブラックフライデー用の20%引きクーポンが適用できかなりお得でした。

 2023年12月21日現在は、シルバーだけ、期間限定のお値打ち価格、129ドル(定価150ドル)で販売されています。商品ページを下記に示します。

TCC 13th Release | Master Cups and Balls

Special Sale until December 31st: Mirrored Silver set for $129 with Free Shipping Worldwide! --- TCC 13th Anniversary Works:  Master Cups and Balls Blending the ...

TCC Magic

 

 これまで、紹介してきましたようにTCCはカップ何度かカップをリリースしています。初めてリリースしたのは2018年(2017年かも)で「Artistic Cups and Balls」という商品名で発売されました。

Artistic Cups and Balls by TCC - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

高品質(のわりに低価格)をウリにしているTCCのカップです。2018年発売で現在は品切れのお店が多いです(簡単に検索しましたが見つけられませんでした)。カップは真鍮製で...

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 その1年後後、「ARTISTIC CUPS AND BALLS 2.0」としてバージョン2が発売されました。しかし、実はバージョン2にはさらに初期バージョンがあり、ショルダービードの形が異なることに後で気付いて驚いたこともありました(笑)

ARTISTIC CUPS AND BALLS 2.0 BY TCC - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

以前、ARTISTIC(ARTISAN)CUPSANDBALLSを紹介させて頂き、その時に「バージョンが上がってる…」と書かせて頂きました。とはいえ、大きな変更は無いし、そんなカップばっかり...

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 そして、今年、2023年、「Artistic Combo Cups and Balls Set」というコンボセットとそのカップに対応したソリッドカップ「Solid Cup」が、まず、KICKSTARTERで目標達成した後、正式な商品として販売されます。

Artistic Combo Cups and Balls Set + Solid Cup by TCC - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

TCCのコンボカップのセットとソリッドカップです。まだ正式に販売されているわけではなくKICKSTARTER(1620%達成)です。KICKSTARTERのページを示します。まずは、コンボカ...

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 とまあ、こんなに出しているTCCがまたなぜ1年も経たない間にカップをしかもアニバーサリー商品として、しかも限定で出すことにしたのでしょう??上記商品ページでは、

Limited to 1000 sets.

Public Sales for 600 Sets (International). Never manufactured once sold out.

と書かれており、1000セット作るが公的には600セットしか販売しない(残りはどうするのでしょうか??)ようですが、送られてきた商品に付いてきたカードには「Limit to 750 Sets only」とあり、いい加減だなぁという感じです(笑)。カップ&ボール用のカップで750セットといえば、個人的には、売り切れるのは結構かかりそうなイメージですが、そこは、TCCなので、売り切れてしまうのか…。今後注目したいです。

 今回のカップでは「Radiant Gold」と「 Mirrored Silver」の2色のカップがリリースされました。TCCでシルバーは初めてでした、個人的にゴールドよりシルバーの方が好きなので、シルバーを購入しました。シルバーといっても、もちろん銀ではなくCNCで作った真鍮のコアカップにクロムメッキを施し、鏡面仕上げにしているカップです。かなりきれいな鏡面です。ただし、きれいな鏡面は例えば、ボールをパームしながらカップを握ったときにそれが映ってしまったり、上向きのカップにボールをこっそり入れたとき、そのボールが映ってしまったりというリスクもあります(;^ω^)




 カップのサイズは内径約70mm、外径約80mm、高さ約73mm、テニスボールが入るギリギリのサイズです。重さ約260gとやはり重いです(;^ω^)。CNCなので音も良いと思います。付属するボールは赤いニットボールで1インチよりも少し大きな27mmです。

 デザインは、どう変わったのでしょう?せっかくなので、これまでのカップと共に並べて写真を撮ってみました。

左から古い順です。微妙にカップ高さやショルダービードの位置や形・間隔などが違うことがわかります。微妙ですが...(笑)。今回のMaster
Cupは背は低い部類で、ver2.0の後半モデルとほぼ同じ形であることがわかります。少し違う点としては、サイドの面とトップの面の境界線がver2.0はシャープであるのに対して、Master Cupは少し緩やかなエッジです。



 このMaster Cupは少し背が低くラインもきれいですので、個人的にはシルバー色のカップが好みで、「重いカップが好きな方」には、形、作り、値段、すべての面からおすすめのカップです。正直、チョップやソリッドカップを使わず、通常のカップ&ボールの手順しかされないのであれば、250ドルするTCCのコンボカップより、150ドルしない、このマスターカップの方がおすすめです(あくまで個人的な意見です)。これを99ドル(の80%)で買えたのはラッキーだったと思います。といいつつ、私にとっては重いんですけどね(;^ω^)

 最後に、この商品HPの下にあるレビューで「Tom F.」という人が5つ星の評価をしているのですが、これ、葉巻からいっても、トム・フランク氏ですよね(あ、Tom Frankって書いてある)(笑)トム・フランク氏が5つ星つけているのでやはり良いカップなのではないでしょうか(笑)


指輪の消失用ギミックたち(紐と指輪のマジックも少し含めて)

2023-12-10 19:16:00 | カップ&ボール以外

 前回、Joe Givan氏のGumball Machineを紹介記事を書いた時に、引き続いて、このマジックで使えそうな指輪消失の方法(ギミック)について、少し書いていたのですが、文字数制限のため付け加えることができませんでした。メインにするほどのネタでも無いかとも思ったのですが、もったいないので、今回は私が持っている範囲ですので、全然網羅できていませんが指輪消失ギミック(+α)を紹介させて頂きます。

 ガムボールマシンのマジックでは、観客に指輪を借りてそれを消す必要があります。Joe Givan氏は前回の実演映像のように、特に道具は使っておらずスライトで行っていますが、なかなかスムーズに行うことは難しいと思います。さらに、消しただけではだめで、それをカプセルに入れる必要もあるので、手に持てる状態にしなければなりません。やはり、私のようなスライトに自信の無い人間としては補助道具が欲しくなります。

 というわけで、いくつか商品を紹介したいと思います。

1.ハンカチ: 最も定番な気がします。リングを消すため(というと少し表現がおかしい?)のハンカチです。観客にハンカチの上からリングを持っていてもらいますが、手を話すとリングが消えてしまうというものです。作り方などが入門書などで書かれていたりして、自分で作成することもできますが、商品を1つ紹介します。「AnyRing」というハンカチで、異なる太さの指輪に対応しているところが特長です。


Any Ring ハンカチ-マジックショップGIN

このギミックは、観客から指輪を借りて消す際に使用するもので、古くからあるハンカチの中に指輪を入れ、ハンカチ越しに観客に摘んでおいてもらった指輪が一瞬で消えるとい...

マジックショップGIN

 
2.ラトルボックスこれも定番のような気がしますが、ちょっと古いかもしれません。振ったら「カラカラ」と音が鳴るため、まだ箱に入っていると錯覚(?)を与えることができます。私が持っているのはもう20年以上前に購入したViking製のものでHeanchen's Rattle Boxという商品です。木製のラトルボックスで飾りなどの派手さはありませんが。きれいな箱で、スティールもしやすいつくりですし、演者が音を出したり消したりするタイミングをコントロールできる点も特長です。

3.Ring Grinder by Dave Powellこれは、商品そのものです。Rattle Boxにもなっていて、振るとカラカラ鳴ります。上記普通の(?)ラトルボックスと大きく異なるところは、商品名に「グラインダー」と書かれているように、ボックスにクランク(crank)がついていて、回すことができるのですが、回すとバキバキと金属が砕かれるような音がします。演出的には、「指輪の洗浄ボックス」だと言って、指輪を借りて、はこの中に入れ、振って「カラカラ」という音を確認したのち、クランクを観客に回してもらうと、とんでもない音がします。前を開けると、粉々になった金属や曲がった指輪が出てきます。マジシャンはそれを消し、不可能と思われる場所から観客の指輪を出します。

Ring Grinder by Dave Powell

 前回のガムボールマシンのブログ記事をアップしたところ、国語屋稼業さんに「マジックバー・インティキちゃんねる」でガムボールマシンの実演があると教えて頂きました。

ガチャガチャマジック。指輪がサインカードがガチャガチャから出てくる! 【マジック・手品】


 ここで、指輪を消すのにインティキマジシャンてるした氏が使っているのがこのRing Grinderです。この手のマジックは観客とマジシャンのキャラクターを選ぶので、私にはちょっと厳しいのですが、こういう商品で、ウケをとりながらマジックができるといいなぁと思います(;^ω^)。私はGINさんでだいぶ昔に買いました。もちろん既に販売しておらず、ページもありません。私のボックスは、なんと表現すれば良いのかわからないのですが、上の板が少し奇形(?)でGINさんで少し貴重だと通常とは別で販売されていたバージョンです。上記のHPにあるように当時Dave Powell氏は魅力的な木製のマジック商品をいくつか出していました。

4.指輪ケーズ(Ring Box): Ring Boxタイプも指輪を消す道具として定番な気がします。リングボックスに指輪を入れますが、スチールできる機構になっているというものです。私が所有しているのは2つで、1つはTom Yurasits氏の商品です。20年以上前に販売されたと思いますが、まだ扱っているお店や動画があったので、URLを示します。

https://daytonamagic.com/shop/close-up-magic/ring-box/


 もう1つは逆に非常に凝った作りのもので、SansMindsの「Vanishing Ring Box」です。賛否両論ありますが、究極の形の一つだと思います。

Vanishing Ring Box (DVD & Gimmick) -日本語補足付--【マジックショップ】 FUN MAGIC - 手品奇術現象 -

サンズマインズの人気現象「バニシング・リング」が長い品切れを経て戻ってきました !セルフワーキングな機構を秘めたリングボックス現象「バニシング・リング」が数量限...

【マジックショップ】 FUN MAGIC - 手品奇術現象 -

 

また「Boxing Ring Undefeated」という商品があります。これは、消す道具というより、一連のマジックになっていて、リングボックスに入れてさらに袋に入れた指輪が紐に現れ、紐を使ったマジックが行われた後、袋から指輪ケースを出し開くとやはり、そこには指輪があるというマジックですが、ここでは上記同様(少し違いますが)のギミック指輪ボックスが付属しています。

Boxing Ring Undefeated-マジックショップGIN


ちなみに指輪をリボンに通し、(仕掛けのない)リングボックスにリボンがかかったままで差し込み、スチールする方法も有名だと思いいます。フレッド・カップス氏がRing on Glassを演じている映像で使われているのもそうだと思います。というか、これからやり方を探したような...どこかで解説を見た(読んだ)のですが、覚えていません(;^ω^)

 ちょっと話がそれるかもしれませんが、ガムボールマシンに使うコインの出し方として、指輪ケースに入っているという演出も良いと思います。指輪が消えるというマジックを行い、初めから机の上に置いてあった指輪ケースを指さし、観客は「まさかそこから?」と思うが実は、コインが入っていて、ガムボールマシン登場という流れです。これでも十分ですが、「空」のリングボックスケースを観客に渡して、蓋を締めてもらいます。その状態で上記のように、リングボックスを開けてもらうとコインが入っているというとさらに不思議度合いがあがるという気もします。そんな演出を実現するリングケースとして、先日KickstarterでTCCがローンチした商品があります。このボックスを使えば上記現象が実現できるのでは無いかと思います。

https://www.kickstarter.com/projects/magicianpresents/the-magic-ring-box-by-tcc-magic

5.フラッシュペーパー: 前田知洋さんが昔テレビでガムボールマシンを使った演技をされてた時は、借りた指輪を紙にくるんで燃やして消してしまうということをされてました。怪しげな道具を使わず、しかもフラシュペーパーでインパクトのある消し方でいいなぁと思った記憶があります。ライターをポケットに取りに行く必要性があるのもよいですよね。

 このように指輪を消す道具はいろいろありますが、指輪を使ったマジックといえば、紐(細めのロープ)と指輪のマジックが一つのジャンルを作っていると思います。このマジックのエンディングには指輪が消えて、別の場所から出てくるとかマジシャンの指にあるとかいろいろありますが、それをガムボールマシンに変えるのもいいかと思います。ちょっと古めのリストになるかもしれませんが、私が紐と指輪のマジックを練習するのに見てたDVDのリストを示します。ちょっと古く、他にもいいコンテンツはたくさんあると思いますが、ご参考まで…

 Collateral by Diamond Jim Tyler

http://magicfan.shop21.makeshop.jp/shopdetail/013000000075/

 Gregory Wilson's Ring Leader

https://www.penguinmagic.com/p/469

 指輪deひも生活 by Kuroda

https://www.seomagic-jp.com/shopdetail/000000003331/

 The New Relentless Ring And String by Bob Miller and DJ Ehlert

https://www.penguinmagic.com/p/15385

 Finger Ring Magic -World Greatest-

https://www.gin-magic.com/shopdetail/022011000004/


Gumball Machine by Joe Givan

2023-12-06 21:35:00 | カップ&ボール以外

珍しくカップ&ボール以外の商品紹介です。数回演じていますが、レパートリというほどではありませんので、【My Repertoire】とはしませんでした(;^ω^)

 今回紹介させていただくのは...「ガムボール・マシン」です!!

 サインされたカードが財布から出現するとか、レモンの中から出現するなど、不可能な場所から出現するというマジックは数多くあると思います。指輪に関しても、キーケース(キーホルダー)から出現したり、マジシャンのネックレスにぶら下がってたりなどいろいろあります。このガムボールマシンもその1種です。基本的な現象は観客から指輪を借りますが、その指輪が消えてしまいます。マジシャンはガチャガチャを示し、「代わりにこのガチャガチャの指輪を差し上げます」とコインを観客に渡します。観客がガチャを回すとなんと観客の指輪が出てきます。

 この演出の良いところは、やはり「ガチャガチャ」特有の「わくわく感」があるということではないでしょうか。誰もが小さいときに体験した、何が出るんだろう?(もしくは、あれが出て欲しい!)といった思いを込めてコインを入れ、「ガチャ」というあの特有の音と共に出てくるカプセル…急いでそれを開けて喜びまたは悲しむ…。回すだけで楽しく、また、出てくるときのドキドキ、その体験がマジックにおける出現現象を最大限に「観客が楽しめる」演出にしているのではないかと思います。

 さらに、「指輪が消えてしまったので、代わりにこのガチャの指輪を差し上げます」と安っぽい指輪がたくさん入ったガチャを出すというストーリー(演出)も個人的には好きです。ただ、なぜわざわざ消した指輪をそこから出すのか?というところは演出によってはややつながりが悪いかもしれません。消えてしまったので、申し訳なく、代わりに…という方がつながりが良いかもしれません。

 このマジックをどのくらいの方がご存じなのか分かりませんが(若い方は知らないのかな?)、私にとっては憧れのマジックの一つでした。20年前くらいのマジックブームの際に前田知洋さんもテレビで実演されてましたし、確か何故かタモリさんもこのマジックをテレビでされてました(笑)。当時、コレクターズワークショップがこの商品を販売しており、日本ではUGMさんで正規にそれを取り扱われていたのですが、まあ、高い!我々趣味でマジックを楽しむだけのサラリーマンにはなかなか手がでない価格でした(;^ω^)

ちなみにJPMAGICさんの「Hey presto!」でも、2016年の記事でガチャマジックが取り上げられており、上記商品の実際のカタログやJPMAGICさんのオリジナルマジックなど非常に面白い内容になっておりますので、紹介させて頂きます。

ガチャガチャマジック

今回はガチャガチャ(ガチャポン)の話、でも今まで紹介したような景品の話でなく、マシン本体の方です。先月も書いた気がしますが、このガチャガチャって立派な日本文化で...

 

 私は、90年代後半に、マジックを始めたのですが、あまり情報を持っておらず、このマジックのオリジナルは知りませんでした。そのような中、テレビやマジックショップで扱ってるこの商品をいいなぁ~と思っていました。そのような中、麦谷さんの「クラシック・マジック入門事典」を手にします。2005年ごろです。

クラシック・マジック入門事典 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業133年―

原案が発表されてから50年以上も経つクラシックなマジックの中から優れた作品を厳選し,本来の原案を紹介しつつ,基本的なエ… 麦谷 眞里 著

 

この中に「ガムボールマシン」の章があり、ガムボールマシンの歴史や麦谷さんの自作ガムボールマシンを使った手順の解説などがされているではありませんか!そこでこのマジックの歴史などを知りました。

 このガムボールマシンを使ったマジックのオリジナルはJoe Givan氏で、氏はこのガムボールマシンを使った演技で1988年、オランダのハーグ(デン・ハーグ)で開催されたFISMのクロースアップ部門で1位を受賞しています。ちなみにこのFISMはナポレオンさんがグランドイリュージョン部門第3位を受賞された年ですね。なお、Joe Givan氏はその前の年のIBM大会でもガムボールの演技でゴールド・カップを受賞しています。

 本の中で麦谷さんは実演を見たことがないと書かれていますが、今は良い時代ですね(笑)The Best of Magicというテレビ番組での演技がありましたので示します。解説書にあるFISMアクトとは少し異なりますが、流れ的には同じ感じです。


 詳しくは、「クラシック・マジック入門事典」を読んで頂ければと思いますが、このガムボールマシンに関してはいろいろあったようです。Joe Givan氏の許可なく、コレクターズワークショップが商品を出したので、Joe Givan氏が怒り、コレクターズワークショップからの販売を止めると共に、1995年にオリジナル商品として、自身がプロデュースしたガムボールマシンを200台限定で発売しました。恐らく彼がFISMで使ったものを同じものだと思われます。その200台には裏にシリアル番号が書かれています。また、氏の署名入り証明書も付いていたようですが、私が入手したセットには、証明書は付いていませんでした(T_T)。解説冊子には上記歴史的経緯やFISMアクトの解説などが書かれています。






クロースアップでの演技用なので少し小さめのガムボールマシンです。透明な部分はガラスのようで、大きさの割に少し重たいですし、もし落としたら割れてしまいそうです(;^ω^)。セットできるカプセルは1つでコインは25セントを想定していると思いますが、100円玉でもできます。ガチャは完全に回せず、90度くらい回したところで、それ以上回さないようにと注意書きされており、コインもそれを逆方向に回して取り出すという使い方です。FSIMアクトでは、最後マシン自体を消しますが、もちろんそれができるような作りになっています。レトロな感じのデザインで個人的には好きな形です。恐らくですが現在でも日本のお店で販売されているフォード製の9インチのガムボールマシンを改造して作ったのだと思います。

 実は、私はこのオリジナルのガムボールマシンを最近入手しました。その前から持っていたのが次に紹介するJoe Givan氏の2代目ガムボールマシンです。これは麦谷さんの上記本が出た後の2008年ごろ販売されました。当時の広告画像です。


この広告より、Joe Givan氏が最も強調しているのは他社の高いマシンとは違うぞ!というところに見えますね(;^ω^)。「IMPROVED」というところも強調されつつ、商品名としては「Ring in Gumball Machine」という事ですね。私はHank Leeで購入しました。この商品は先のような限定発売ではありませんが、あまり多くは出回ってなったのかもしれません。一部のお店で少量扱われていたのではないでしょうか。Magic Cafe で良いコメントが書き込まれています。

The Magic Cafe Forums - Joe Givan's Ring in Gumball

この2代目はJoe Givan氏がいろいろ、オリジナルの気になるところを改良し作ったもので、解説DVDが付属しており、細かな解説がされています。改良された点を挙げてみます。

・大きさを大きくし、本当に街中にあるガチャのように見える(迫力もある)

 ※逆にオリジナル用に本体を消すことはできません…。また、持ち運びはオリジナルより大変。

・透明部分を従来のガラス製からプラスチックに変えたので衝撃に強い、軽い

 ※大きさが大きくなっているのでもちろん総重量はこちらの方が重いです

・ガチャを行うとき完全に回しきることができる。コインは内部に溜まるため、毎回取り出す必要はなく、いい時に一気にコインを取り出せばよい。

・連続して、2回ガチャができる。1回目外すことができるので、例えば演者が回して確かにおもちゃの指輪が出てくることを示してもいいし、1回目は何か違うものを入れておいてもよい。

・専用の布が付属し、掛けた状態でロードができ、布を取り去るとロード口が塞がる。







という感じで、Joe Givan氏的にもかなりバージョンアップした2代目ですが、解説書は初代とは表紙が微妙に異なり、Steven Bargatze氏のFORWARDが付きますが、解説書の内容はオリジナルと同じです。恐らく、DVDで映像を使って説明をしているので、冊子の方は、それほど必要ないと思ったのでしょう。

 この商品をHank Leeから購入した時、Hank Leeのせいでは無いかもですが、輸送状態が悪く、段ボールの中に水が少し入った(であろう)状態で商品が届きました。このため、解説書は波打ち、表紙の赤い紙の色が落ち、DVDの紙ケースや解説書の中の紙、Joe Givan氏のサインが書かれた紙に移っています(T_T)。まあ、解説書も読めますし、DVDも見れましたのでまあ仕方がないですが、海外からの荷物はときどきこういうのありますよね(;^ω^)



 以上、私が持っているJoe Givan氏の2台のGumball Machineの紹介でした。個人的にはそれぞれ良いところがあり、どちらの方がよい!ということは言えませんが、2代目の改善点を含ませた、初代くらいの大きさのGumball Machineがあるといいなぁと思います。クロースアップで扱いやすく、それなりにレトロな形でおしゃれなものが販売されると嬉しいですね(^○^)

 せっかくなのでガムボールマシンの写真と一緒にJoe Givan氏が表紙となっているLinking Ring誌(Volume 77 Number 6 June1997)を撮影しました。1997年なので表紙の写真に写っている200台限定のガムボールマシン(写真のものは本人のオリジナルでしょうが…)が売り出されたちょっと後くらいですね。雑誌の中ではJoe Givan氏 に関する4ページ程度の記事がありますがあまり、ガムボールマシンのことは書かれていませんでした(T_T)。