カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Devil's Cups by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox

2024-08-16 20:53:00 | カップ&ボール以外

 久々のカップ&ボール以外のマジックの紹介です。「デビルズ・カップ」というタイトルのマジックでやはり「カップ」に惹かれて購入しました(笑)。まだ2人しか演じていませんが思ったより良い反応が得られたので紹介することにしました。

まずはPVです。


魅力的なPVですね…。しかし、購入された方は同意見だと思いますが、これはちょっと誤解を与えるのでは…というPVです。その点やはりGINさんはしっかりしています。誤解しないようにと但し書きがされています。

Devil's Cups (悪魔的ダイス探知) by Gabriel Werlen, Marchand de Trucs & Mindbox ※日本語解説書付き-マジックショップGIN

仕掛けのないダイスの位置や色を完全透視!!日本語解説を書きがら、何度も「おお〜、賢い。。。」と唸った作品です。手順は5つ解説されており、それぞれ使うカ...

マジックショップGIN

 

はい、観客が自由に混ぜるのは、演者の指示通りに混ぜた「後」なんですね。この点に全く触れずに販売しているお店は、少しどうかな…と思います。さらに完全にはわからない(手順もある)…。まあ、それでも十分不思議なのですが...

こちらの実演映像が解説書通りの演技です。この演技は解説されている5つの手順の中の1つで最後に解説されている「THE 4 DEVIL'S CUPS」という手順で、「DEVIL'S CUPS」の名前が唯一入っている本命手順だと思われます。


 付属するのは、4つの金属製カップと3色のダイス。それからビデオにも出ている円筒のケースです。あとは解説映像ですね。GINさんでは日本語訳を付けてますし、FUNMAGICさんでは日本語の補助原稿といくつかの手順に関する日本語字幕映像を付けてますので、ありがたいと思います。この手のマジックは全く音声無しでは理解は難しいので私のように英語が得意で無い方は日本語サービスのあるお店で購入されるのが無難だと思います。

 金属製カップは飾りもなく、こういうメンタルマジックには合ってると思いました。また大きさも小さめで4つ並べたり、観客が混ぜたりするのにもよい大きさだと思います。どこまで書いてよいか難しいところなのですが、このマジックはある原理とこのカップが必要です。ただし、3つのカップを使った手順ではカップの特徴は使いませんですので、家にあるカップを使って演じることができます。4つのカップを使った手順ではこのカップに仕込まれた特徴を使いますが、これも自分が用意した例えば紙コップ4つに対しても仕込むことで代用できます。個人的には割と応用が効くマジックだと思います。ただ、この手のマジックは評価が割れることも多いのであくまで個人的な意見だとご理解ください。

 ダイスは赤、青、白の3色で、メンタル・ダイスのダイスと同じ色です。ただし、サイズは少し小さく、すり替えには使えるか微妙ですが(多分大きさが違うことに気付く人はあまりいないと思います)、逆にこちら側としては、混ぜても区別が付きますので一緒に持ち運び、すぐに分けることができるのはありがたいです。

 ケースもコンパクトに持ち運びできるサイズで、他のマジック用小物を持ち運ぶのにも使えるかもしれない、いい感じのケースです。

 基本手順は3つのカップを使う手順です。私も今のところ解説されてる手順通りの演技をしていますが、ちょこっと最後に効果を付け加えて以下のような手順を演じてます。

1.3つのカップの上に1~3のダイスを乗せ、演者は後ろ向きになる。好きなカップの下に紙ボールを入れてもらう。演者の言うように動かし、最後にダイスを取り除いてもらう。演者は後ろ向きの状態から戻りどこに入っているかを当てる。

2.続いて、同じようにしてもらうが、演者の言うように動かしてもらったあと、次にどれを動かすかを観客自身が決めて動かす(宣言してもらう)。演者はどこに入ってるか当てる。

3.続いて、1.と同じような感じで動かしてもらうが、最後に混ざっているダイスを1~3に並べ直してもらう。演者はどこに入っているか当てる。さらに紙ボールを開けると上に乗っているダイスの数と一致する。

4.さらに難しくすると言って、もう一つカップを増やし4つにする。3色のダイスのうち1色を選んでもらう。使わないダイスの上に被せものをして見えなくして、好きな色のダイスを好きな数字を上にして、好きなカップの下に入れてもらう。上記動画のように混ぜてもらう。演者はダイス入れの箱とダイス1個だけ入る入れ物をもって振り返り、机に置いておく。どこに入っているかを当てる。1つだけダイスが入っている箱の蓋を開けると、同じ色のさいころが、しかも同じ数字が上に入っている。さらに、もう一つの箱を開け、使わなかった色のさいころを示す。観客に自分のさいころを見てもらうと、こちらも上の数字が一致している

 はい、4.はデビル・カップだけではなくメンタル・ダイスを使っています(笑)。ちょっと「くどい」かなと思いますので、これから演じていきながら、贅肉をとっていこうかなと思います。

 正直なところ、この手のマジックは、演者の指示に従って動かすので「わかるように動かすんでしょ」と思ってしまい、不思議度合いが下がるというか、不思議でも少し冷めてしまうと思ってました(今でも思ってます(笑))。でも、実際演じてみると、不思議がってもらえました(笑)。まだ2人しか演じていませんが、両者から「1.」でダイスを乗せて混ぜてもらった後「どう混ぜたかわかるじゃん!」と言われて、最後にダイスを取り除いてもらうと「じゃあわからないかも」となりました。そして、「2.」で自分自身でどう混ぜるか決めるので、さらに不可能性が上がったように感じて、「3.」では予言になっているので、そちらに驚きが行きます。最後「4.」で最後好きに混ぜているのになぜわかる?でも、やはり最初の演者の指示がなんかあるんだよね…と思われても、色と数字が当たるところは完全に手掛かりがないので驚く、という感じでした。



 このようにコップなどで、隠して、混ぜてもらい、どこに入っているのか当てるというマジックはかなり古くから恐らくたくさんあると思います。私がこの手のマジックをはじめて知ったのは、松田道弘氏のクロースアップ・マジック事典(素晴らしい本です)に乗っていた「コーヒーカップを使った当てもの」でした。紙コップなどを使って即席でもできますので、キャンプやパーティーなどで紙コップとペーパナプキンなどを使ってできるところがいいところだと思います。ですが、やはり演者の指示どおり動かすというところが気になります(;^ω^)。

クロースアップ・マジック事典 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業135年―

クロースアップ・マジックとは,タバコ・コップ・輪ゴムなどのありふれた材料を使って観客の目の前で行う奇術。本書は優れたト… 松田道弘 著

 




 完全に自由に混ぜることができるにはやはり、ギミックが必要で、有名なのは、テンヨーのラッキー・ラビットでは無いでしょうか。1999年の作品で、今は製造されていません。カタログには100年前からある方法だがこの商品は改めが可能という表現が使われているので、かなり昔からあるマジック(原理)なんですね。昔持ってましたが手放してしまいました…。いい説明サイトを見つけることができませんでしたが、動画は見つけることができましたので示します。



 ジャンルとして近いように思えるマジックとして、2003年のテンヨーのプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」があります(全然違うと言われそう(;^ω^))。3つのチップを演者の指示に従い、ただしある程度自由度を持って動かします。演者は後ろ手で受け取ったチップを受け取り、そのチップが何かだけでなく、観客の右手と左手のチップも当ててしまいます。さらに書かれている絵に沿った演出もある、名作です。ただ、少しストレスなところがあるんですよね(笑)。そこで、私が気に入っているのが、東京ディズニーランドで購入したピンバッチバージョンです。有名な「Hey presto!」でも取り上げられていましたのでページを示します。

闇夜のポーカーチップ

今回は、2003年のプラスワンキャンペーンのマジック「闇夜のポーカーチップ」を紹介します。考案は鈴木徹氏。(現象)キャンドル、マッチ、マッチ箱のイラストが描かれた3枚...

 

このディズニーランドバージョンはピンバッチに仕掛けがあり、どれをもったか後ろ手でもわかるようになっています。それを体験した時すご~いと思いました。Tokyo Deisneylandのロゴも入ってますし、仕掛けなさそうでいいです!ただ、ピンバッチの針のところが邪魔なので、とってしまおうか迷ってます。そういえば、以前トリックスさんだったかな。3色のコアラのキーホルダーで同様のマジックがありました。どんな原理だったか忘れてしまいましたが(^◇^;)



 なんて書いていたら、今年(2024)のプラスワンキャンペーンのスペシャルマジックはMENTAL CATSだそうで、これも演者が後ろを向いている間に選んだ猫を当てるマジックだそうな…。今3枚のウサギを送って到着を待っている段階です。届くのが楽しみです(^_^)。

これも、JPMAGICさんの「Hey presto!」で紹介されていたので、引用させて頂きます。

MENTAL CATS メンタルキャッツ スペシャルマジック2024

今年も「プラスワンキャンペーン」のスペシャルマジックが届きました。これは、テンヨ...

 

 多分、同様のマジックはいっぱいあると思うのですが、これは傑作!!というのがあれば教えて頂ければと思いますm(_ _)m。だいぶデビルズ・カップから離れてしまいました(笑)


ジガーカップを用いたカップ&ボール

2024-08-12 20:47:00 | カップアンドボール

 ご存知の方も多いかと思いますジガ―(jigger)とはお酒の液量を表す「単位」だそうです。「1ジガ―」は1.5オンスで約45ミリリットルが規定値ですが、イギリスでは1ジガーは2オンスとされているそうです。国によって違う単位って、単位の意味が無い気がしますが(;^ω^)。他にもウィスキーの量を表す単位(用語)として、「シングル」「ダブル」というのがあり、「シングル」1ジガ―(1.5オンス)はシングルとダブルの中間くらいの量になります。このジガ―を計測する容器として「ジガーカップ」があります。容量の異なるカップが上下の対になっているものが基本で、一般的なサイズとしては30ミリリットルと45ミリリットルだそうですが、15/30の組み合わせや30/50の組み合わせのものなども販売されています。今回はこのジガーカップを使ったカップ&ボールについて、いくつか紹介します。

<Jiggernaut by Mark Jenest>

 たしか、20年くらい前に、Mark Jenest氏の「Miracles While-U-Wait」というDVDが販売されました。このDVDの中に、このジガーカップを使ったカップ&ボール(と言っていいのか少し微妙ですが)の手順である「Jiggernaut」の実演・解説がありました。私がジガーカップを使った手順を見たのはこれがはじめてでした。氏は80年代からこの手順を行っていたという記述(か誰かの話)を聞いたことがあります(違ってたらご指摘お願いします)。もっとも古くジガーカップを使った手順を始めたマジシャンかもしれません。

 このDVDは現在もダウンロード版が販売されています。求めるものが何かによって感想が変わると思いますが、実用的な手順が入っている良いDVDだと思います。

Mark Jenest

You know Mark Jenest from his national television appearances and best selling magic products. Now, Mark performs and teaches his innovative routines in his firs...

Penguin Magic

 

 このDVDのJiggernautの演技です


この手順は、必要なものを含め、商品として販売されていました。私が持っているのは当時Hank Leeで購入したものです。久々に検索してみますと、現在もMagicSmithで販売されていました。ちなみにDVDの中で、この手順(商品?)の名前を「Jiggernaut」と命名したのはMagicSmithのChris Smith氏だとMark Jenest氏は話しています。私の購入した商品では紙に書かれた解説書のみでしたが、現在、MagicSmithで販売されている商品はオンラインビデオ付きのようです。

Jiggernaut by Mark Jenest

Step up to the bar, sit down and be prepared to be knocked off your seat! Mark Jenest has created an intoxicating, inebriating, innovative cup & ball rou...

MagicSmith

 

商品説明にありますが、セットとしては(本物の)ジガ―カップと偽物のオリーブ、ファイナルロード用のコルクが2つ入っています。ジガ―カップはギミックではないので、DVDで手順を知っている人にとっては道具を揃えるのは、偽オリーブ以外は難しく無いと思います(偽オリーブも普通のボールでも良いと思います)。お酒の場で演じると、より雰囲気のあるマジックになるのではないでしょうか。

 Brain Watoson氏のカップ&ボールを紹介しているページにもありましたので示します。

Cups and balls | Cups and balls magic - Jiggernaut

<JIGGERNAUT by DAN FLESHMAN>

 次に紹介するのは、DAN FLESHMAN氏が自分のwebサイトのお店で販売しているセットです。商品名がJIGGERNAUTであり、Mark Jenest氏の名前も説明に出てきているので、権利を得て販売していると思われます。道具のセット内容は同じ(カップ、コルク、オリーブそれぞれ微妙に違うと思います)ですが、こちらはDAN FLESHMAN氏の解説が付きます。下記で紹介するMark Jenest氏のとは少し違う手順が付くのではないかと思われます。商品ページを示します。なお、この商品は残念ですが、日本からは購入することができません…

JIGGERNAUT-Includes DVD with Dan’s Routine/Jigger, Olives & Corks – Dan Fleshman

恐らくここで解説されているだろうと思わる氏の手順の映像は見つけることができました。テレビ番組の一部でしょうか…


こちらは、マジックキャッスルでの実演映像です。14分50秒くらいから、ジガーカップの手順をしています。先程のテレビ番組と同じ手順ですので氏の手順として商品に付属している可能性は高いと思います。


流石DAN FLESHMAN氏ですね。複雑なことをせず、すっきりした手順だと思います。最後にコルク2つの出現に加えライム(?)を出現させています。完全に入らない大きさなのでインパクトは大きいでしょう(笑)

<That’s Nuts! by Danny Archer>

 Danny Archer氏のジガーカップを使ったカップ&ボールバージョンです。まず動画を示します。


この手順は氏のレクチャーライブ((Penguin LIVE)にも収録されています。

Danny Archer LIVE (Instant Download)

SPECIAL OFFER: Order Danny Archer LIVE TODAY and instantly download Danny

Penguin Magic

 

特徴的なのは、オリーブではなくチェリーを使っており、最後にコルクではなくピーナッツが出てくるというところでしょうか…。氏はマジックカフェで家族向けにするためにこのようにしたと書いています。また、恐らく今は既にやってないと思いますが、このマジックカフェの投稿当時(2009年)は個別で手順付きセットを販売してたようですね。

<THE JIGGER by Michael Kaminskas>

 これまでも何度か紹介してきたMichael Kaminskas氏が今年(2024年)に「THE JIGGER」という商品を限定品としてリリースしました。100個の限定品で既に完売しています。

THE JIGGER | mkprofessionalcups

For years people have been asking me to make a chopped version of a jigger. I

mkprofessionalcups

 

氏はこれまで、氏のサイトで、Jeff Case氏のジガーカップの手順と必要な道具をセットにした「Lemon Drop」という商品を販売していました。私はこの商品を購入しておりませんので、手順はわかりませんが、ギミックでないジガーカップを使った手順でPVをみるとDAN FLESHMAN氏と同じように最後にレモンが出てくる手順のようです。是非フル手順を見てみたいですね。再版されたら狙います(笑)

PVです。


一方で、今年発売された「THE JIGGER」はこれまでにない、Chop Cupタイプのジガーカップなのです!なるほど!これはさらに演技をより不思議にできそうな気がします。この商品には基本的な使い方やアイディアが説明された動画が付きますが、完全な手順等のは付きません、あくまでカップ(とオリーブ)の提供ということになります。とはいえ、基本的な扱いや、最後に液体を出すためのアイディアなどありがたい動画です。

 Michael Kaminskas氏はカップにせよウォンドにせよかなり品質に拘った方なので今回の商品もよくできています。日本製のジガ―を使ってくれているのもちょっとうれしいですよね。

 というわけで、今回はジガーカップを使ったカップ&ボールの商品を紹介しました。ジガーカップを使った手順は、スタイルとしてはいわゆるワンカップルティーンになりますが、ジガーカップの構造上、2つのカップが使えます。ですので、通常のカップで行うワンカップルティーンに比べ現象にバラエティを持たせることができるメリットがあります。さらに「THE JIGGER」のようにChop Cup機能を持たせることで現象の幅を増やすことができます。反対側へのロードが自然な形でできるのもよいと思います。また、カップの形状、サイズがコンパクトなのでポケットに入れて持ち運ぶことが楽で、営業などでテーブルを回るマジシャンにはありがたいのではないでしょうか。さらに、道具がジガーカップ、オリーブ、コルクと統一されており、お酒を飲む場などでは特にお洒落な気がします。以前紹介した、「スーパーシェイカー」や「Cocktail Surprise」と合わせて手順を作れるとさらに素敵な気がします(くどいですかね(笑))。バーマジシャンなどにはとても相性がいいと思いますが実際のところやってらっしゃるバーマジシャンの方とかいらっしゃいますか?(^O^)