以前、Johnny Paul Cupsについては紹介したことがあります。
この商品はStevens Magic Emmoriumで数量限定で発売されたカップで、Pete Biro氏がJohnny Paul氏の本物のカップを丁寧に測ってそれを再現したものです。真鍮製です。
このブログの中で、この商品はもちろん今は販売されていませんが、Rings-N-Things Magicで販売されていますと商品URLを貼り付けました。しかし現在は販売されていません。このカップを先日入手しましたので紹介したいと思います。
その前に、前の記事でも貼り付けていますが、Johnny Paul氏の実演映像を示しますので、まだご覧でない方は是非見てください。
まあ、トミーワンダー氏の手順以上に真似するのが難しそうなキャラクタが光るルティーンだと思います。
さて、前回紹介したこのカップを再び入手したのにはきっかけがありました。それが、フレンチドロップさんのメールマガジン「週刊スペルバウンド817号」における庄野さんの文面でした。引用させて頂きます。
「さて話は変わりますが、今のマイブームはカップ&ボールなんです。
今さらと思われるかも知れませんが、フレッド・カップスのカップ&ボールを見直して、毎晩ああでも無いこうでも無いとやっていると、友人の宮中さんより「ジョニー・ポール」のカップ&ボールや最高やで。
これをやらずに、マジシャンや言うたらあきまへんでとサジェスチョンを頂き、又、資料までも頂き、これに挑戦すべく色々な方向よりアプローチしているところです。
ジョニー・ポールのカップ&ボールには独特の形のカップが必要ですが、散々調べた結果、どこにも売ってなく、入手困難だということが解りました。」
これを読んで、あれ?Rings-N-Things Magicになかったっけ?と再度自分が以前ブログで貼り付けたURLをクリックしたところ、ページがなくなっている…。品切れはときどきあるのですが、完全にページがなくなっているので、変だなと思い、Donnie氏にメールで問い合わせてみました。すると以下の返事が来ました…
「the Johnny Paul tooling is now owned by Scott Jenkins, he got the Pete Biro estate. I’m pretty sure though that the spin shop that has the tooling for those cups claimed that they lost the tooling when Scott went to claim it.
The only way I could make Johnny Paul cups now would be to recreate the tooling- make all new blocks. And I have no plans for that.」
Pete Biro氏が亡くなったことに関係するのだろうなと思っていたのですが、なんとspin shopがtoolingを無くしてしまってもう作れないとのこと…なんとルーズな管理なんだ…貴重なカップなのに…と思ってしまいました。もちろんまた出てくる可能性も0とは言えませんが、Rings-N-Things Magicとしては、その見込みも無いということで商品のページを消してしまったんですね…残念です。
そんな折、ebayでこのRings-N-Things Magic製のカップが出品されいる事を知り、もとの価格より高くなっていましたが、思い切って購入しました。
これらのカップはRings-N-Things によってオリジナルの Pete Biro ツールから .050 鋼(Steel)で手作業で紡がれ、外側はブライト クロム仕上げ、内側はブライト ニッケル仕上げでメッキされています。まず、スチールは銅、真鍮、アルミニウムよりも硬い金属なので、へこみにくいですし、クロムメッキ皮膜も非常に固く、耐食性・耐変色性も大きいのです。さらに下地のニッケルメッキでそれらを補っています。Johnny Paul氏の手順ではバンバンカップを叩いたり、ジャグリングのように投げてキャッチしたりするので、それに耐えれるように作ったのではないかと想像します。
前回の記事でも書いたかもしれませんが、カップについて少し書いておきたいと思います。Johnny Paul氏のカップはスポンジボールを消したり出現させたりできる形となっています。上手い手順との融合により多くのマジシャンも引っ掛かり、不思議に思いました。その中の1人であるAl Weatly(アル ウィートリー 1901-1964)がこの現象を再現しようとしてチョップカップを発明したとされています。今ではチョップカップの方が主流となり、クロースアップマジックに欠かせない道具の1つになってますよね。これもJohnny Paul氏がこのカップと手順を発表しなかったら生まれなかったのかもしれないと思うと歴史って面白いですね。
Johnny Paul氏は自分用に50セットのみカップを作ったそうで、今ではこのオリジナルカップは完全にコレクターアイテムになっているようです。Pete Biro氏はこのオリジナルカップを丁寧に採寸し、レプリカ作成用のtoolingを作りました。このカップは実はオリジナルと全く同じでは無く、改良が加わっています。きれいにスタックができるようにし、通常のカップ&ボールの手順でも利用できるようディンプルを作ったようです。通常のカップ&ボールのルーティン用には7/8″のボールが利用でき、ファイナルロードにはラクロスボールサイズ(2 3/8″)のボールが使えると書いてあり、Rings-N-Things Magicのこのセットでは、2インチのスポンジボールだけでなく、7/8インチのニットボールも付属します。
しかし、私の持っているラクロスのボールは完全には入りませんでしたし、2 3/8″のニットボールはほんの少しだけ大きく、マットならカップが問題なく立ちますが、固いテーブルなどでは少し真ん中が浮いてしまいます。さらに、7/8インチのニットボールも3つ乗せてカップを被せると微妙に浮いてしまいました(^◇^;)
Pete Biro氏によると、Johnny Paul氏のカップのサイズ(形)はHofzinser(ホフジンザー:1800年代中頃のオーストリアで活躍したマジシャンで、カードマジックの父とも呼ばれているマジシャン)が使用していたカップと非常に一致しているそうです。ちなみに、ホフジンザーのカップ&ボールの手順は「The Magic of J. N. Hofzinser」に書かれており、その中でボブ・リード氏が保有していたホフジンザーが使っていたカップが写真付きで紹介されています。ホフジンザーは2カップの手順を行っていたようですが、ボブ・リード氏の写真のカップは3つだったところが少し不思議なんですけどね(笑)。でも流石ボブ・リードですよね。Hofzinserのカップを持ってるなんて…我が家にあったら家宝になりそう(笑)
どんな手順か、カップかをご覧になりたい方は上記本を購入されると良いと思います。私は電子ブックで購入しました。
ポールフォックスももちろん素敵なのですが、このクラシックな形もいいですよね。このクロムメッキのスチールカップは頑丈でガンガン叩いてよさそうですが、やはりそれはもったいなくてできないです(T_T)。歴史的にも面白いJohnny Paul Cupsの2度目の紹介でした。
Rings-N-Things Magicのページは無くなりましたが、同じものと思われるカップの紹介HPを見つけましたので示して置きます。
Johnny Paul Cups (Steel, Bright Chrome) by RNT II