2024年初めの商品紹介はテンヨーの「悟空の玉」です。プラスチック製の3色のカップと3つの玉があり、それがカップの底を通り抜けるというマジックです。玉と言いつつ、スポンジ製の円筒なんですけどね。カラフルなカップが子供たちに興味を沸かせ、現象は明確!そして技術はほとんど必要ない!名作です!
既に廃番となっておりますが、まだ商品ページが残っているお店もいくつかありましたので、いつかなくなってしまうとは思いますが、代表でまほうとまほうさんのページを示します。
私としては、まだ販売されているものと思い込んでいたのですがいつの間にか単品での販売(生産?)が終了となっていた商品です。カタログで確認したところ2016年のカタログには載ってましたが、2017年のカタログには載っていませんでしたので、その間に終了となったと思われます。
チャイニーズステッキや小さくなるトランプ、そして悟空の玉…、名作が消えていくのは少し悲しい感じもしますね(T_T)。単体で売り上げを出すのは難しくなったんでしょうね…。でも、この悟空の玉は8種類の手品が入ったセット「8つの手品」に「まほうのコップ」として今も入っていますので完全に消えたわけではありません。
さて、「悟空の玉」は、1965年年のカタログにもある、テンヨーの初期からある商品です。テンヨーの商品にはT番号という年代に沿った番号があるのですが、悟空の玉はT-15かなり前半ですね!でも1番はシンブルなんですね…意外といえば意外。世界最古のマジックとして名高いカップ&ボールなので、カップ好きとしては、1番に来てほしかった(笑)。
当時の値段をみると200円(;^ω^)。初期のカップとその後のカップを並べてみました。初期のカップは底にウサギのマークがあり、色も青と黄色は後半のものと異なります。初期のものは青が濃い青で、黄色は薄いというか明るいという感じの色(レモン色?)です。後半のカップの青はアクアグリーン(?)となり、黄色も一般的な黄色になっています。
ボールに関しては、手元にはありませんが、初期は赤色に染められたコルク製だったそうです。のちのバージョンでは黄色い円筒スポンジとなります。先に書かせて頂きまいたが「8つの手品」にも「悟空の玉」と同じカップが「まほうのコップ」という名前で入っているのですが、そこではコルク玉や円筒スポンジではなく、犬型のスポンジを使います。これは同セットに「ふしぎな犬」というスポンジマジックがあり、このマジックで使うスポンジ子犬を使っているのです。スポンジマジックの後に演技ができます。意味を持たない玉や円筒よりストーリが作れそうです。キデイランド大阪梅田店マジックショップのディーラー木下さんが「8つの手品」を紹介されている映像があるのですが、その実演映像を紹介させて頂きます。
バリエーションを少し紹介します。ディズニーランドで「魔法のコップ」という商品名で以前販売されていた3色カップのセットです。3色のカップにはミッキー(赤色)、ミニー(青色)、ドナルド(黄色)のシールが貼ってあります。面白いことに青色カップの色が上記2つのタイプと異なります。ディズニーの青色カップは水色です。なんで青色だけこんなに違うんでしょうかね(笑)。ちなみにシールはコップの口が上になるように貼っていますので、悟空の玉の手順をする際はキャラクターは逆さまになってしまいます。でもコップとして使う場合は普通は口を上にするので向きとして正しいのでしょうか??
ボールは固いスポンジのような素材の赤い3つのボールです。このセットにはさらにウォンドともう一つ違うマジックが行えるようギミックが入っています。このマジックは「くっつくコップ」というマジックでコップの上に新聞紙を載せ、ウォンドをコップの間に差し込み持ち上げるとコップが新聞紙にくっついて浮き上がってしまうというものです。1970年代前半でしょうか、「いつでも どこでも あなたは手品師」というセットがあったのですが、その箱に透明のカップですが、このマジック(だろう)を演じている男の子が印刷されています。
次に紹介するのは、ディズニーランド30周年記念限定で発売されたカップのセットで名前は上記と同じ「魔法のコップ」です。カップの色は上記のカップと同じですが、キャラクターが貼られている色が違います(笑)。ドナルドは黄色で同じですが、ミッキーが青、ミニーが赤です。もちろん貼られているシールは異なります。さらに、付いてくるボールとウォンドが違います。ボールは「悟空の玉」と同じ黄色い円筒スポンジでウォンドはミニステッキと書かれていますが上記ウォンドと比べるとかなり小さいです。ちなみにこのウォンドはマクドナルドのハッピーマジックシリーズのドナルドのマジックショーというカード当てで使うものを同じです。やっぱりウォンドがある方が不思議を起こすときの雰囲気出ますよね。
このバージョンには「くっつくコップ」用のギミックや手順は入っていません。ちなみにシールの向きは先に述べた商品と異なり、コップの口を下にした状態でキャラクター達の向きが正しい状態になります。通常のコップとして使う場合は逆になりますが、やはりマジック専門のカップなのでマジックをするときに正しく見える方が自然な気はします(;^ω^)
このカップを使ってディズニーランドのディーラーさんが演技をしている映像をYoutubeで見つけました。
流石ディーラーさんです!子供とやり取りをしながらきっちり現象を起こしています。最後の改めっぽいところもへぇ~と思って見ましたが最後の「オチに」最も驚きました!なるほど~その手があるのねという感じです。
JPMAGICさんの超有名なブログでも以前、悟空のカップが紹介されており、このディズニーの30周年記念カップも紹介されています。
この中で「スポンジは同じですが、これミッキーの形をしていたら面白いのに。または最後に3つが一つになってミッキーの形になるとか。」と書かれています!上記実演映像のように3つを並べてミッキーの形だといい、おまじないをかけるとつながって1個のスポンジとなり、分裂して増えて、最後ミスターラビットのように大きくなっても面白いですね。やり過ぎですか...(笑)
他のバージョンとして、私は持っていませんが、アナと雪の女王バージョンも発売されていました。
これは、ちょっと変わってますね。カップの色が3つとも同じです。またボールは雪を意識した白い梵天です。
最後に「悟空の玉」という名前について少し述べたいと思います。「悟空の玉」というのはテンヨーの商品名ですが、あまりにもこれが有名になったせいか、日本ではこのカップのそこを通り抜けて下にボールが移動する手順自体を「悟空の玉」という事があると思います。それって凄いことですよね…
テンヨーイズムでこの悟空の玉の英名を「The Monkey King's Cups」としていることからわかるように、やはりこの悟空は西遊記の孫悟空ですよね…。でもなんで「悟空の玉」なんでしょう?もしかして西遊記の中で悟空が玉とカップを使ったマジックをする記述があるのか?などと思い、西遊記に詳しい文系の大学の先生に聞いてみましたが「聞いたことないなぁ」と言われてしまいました(笑)。
パッケージには「4500年の昔から」と書かれてますし、箱やカタログの挿絵はまさしくエジプトベニ・ハッサンのバケト3世の墳墓の壁画の絵です。それから考えると中国のイメージを持ってしまう「悟空の玉」より「エジプトの玉」「ナイルの玉」とかの方がよさそうですよね(笑)
こうなれば最終手段!ということでテンヨーさんに直接聞くのが良いだろうと思い、テンヨーのホームページに「商品に関する問い合わせ」があることをいいことに、質問をさせて頂きました(使い方を間違ってますので基本的にはよくないと思います、すいません)。返事がなく1週間が過ぎました…。そりゃまあそうだろうな…と諦めていたら、なんとテンヨー開発部さんからメールがありました。転記させて頂きます。
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株式会社テンヨーでございます。
お問い合わせの件、ご返信が遅くなり申し訳ございません。「悟空の玉」は弊社の初期の製品で、1960年代に最初に販売されたようですが、
当時の資料が弊社にも既にございませんでして、名称の由来や正確な販売開始年度などは不明です。
悟空の名称は当然「西遊記」の孫悟空を由来としている筈です。弊社内の人間の推測ではありますが、手塚治虫さんのアニメ「孫悟空の大冒険」が1967年にヒットしたので、そこからとっているのかもしれません。
この度はお問い合わせをいただきまして有難うございました。今後とも弊社製品をご愛顧いただけましたら幸いです。
既に資料は残っておらず、名前の由来や発売開始年度などは不明だそうです。それだけ伝えて終わりではなく、社内の方々の推測として手塚治虫氏の「孫悟空の大冒険」の影響があったのではないかというところまでコメント頂けたところにテンヨーの方々の愛を感じました。ありがとうございました!!このカップは基本的には子供向けですので、子供たちが喜ぶ、興味を持つ、ネーミングを考えられたという可能はありそうですね。もし、ご存知の方がいらっしゃれば、情報頂ければ幸いです。
ところで、私の年代的には西遊記といえば、堺正章さんや夏目雅子さんの番組でして、手塚治虫さんの漫画やアニメは知りませんでした(;^ω^)...のでちょっと調べました。
ぼくのそんごくう|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL
悟空の大冒険|アニメ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL
というわけで、テンヨーの「悟空の玉」についての紹介でした!!