カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2009年12月」。

2010-01-01 12:21:05 | Weblog
石。

 月旅行いつか叶うまで大切に持っている月の石のレプリカ

・カツカツと挨拶を繰り返しながら石畳と踵が出逢う夕暮れ

・石段を疾風の如く駆け下りて伊賀忍者専門学校に入学する

・明け方の川奈ゴルフコースで幸せの靴下を見つける石田純一

・水切りの達人になりたかった暮れるまで水面に投げつけた小石

うたのわ。

鈍色の湖から飛び立つように水鳥が涙腺を流れていった

薄暗いキッチンの輪郭で冷めてゆくミルクティーの意味は

夕闇にアンドロイドの腕を持ち暗い隙間をこじ開ける

願わくば二十四色クレヨンの青から始めるとおい青空

夕食の鍋のなかに崩れてゆく長ネギの理想を引き上げる

わだかまりを晴らすように何処かで窓ガラスを磨く音がする

誰からも受け入れられない思いが水溜まりに凍りつく朝

情熱がうすうくなって暗闇にかすかな鼓動だけは聞こえる

変数の宣言が偽りでふたりリビングルームに降り積る嘘

感情の連弾が途切れたらきびすを返して深海に駆け戻る

夕闇にとぎれる歌をかきしるす楽譜がふいにもらすため息

あなたはもう歩道橋であることを忘れて通りに佇めばいい

一瞬で気化した嘘が横殴りの雨となって頬を叩くのです

灰色のアクアリウムの奥底にとどくひかりを待っていた

はろーはろー宇宙人遥か彼方の星々のヒットソングを歌っておくれ

真っ直ぐなスパゲティーでは生きることなどままならない 折れる

罫線の曲がりかけたノートの隅に丁寧に字を書いているなんて

折鶴をひろげなおして空に泣きあなたは何を祈るのでしょう

銀色の羽根のかわりに腕をもつなんと不自由な身体だろうか

ぼんやりとすごす時間が増えていずれ時間はとまるのでしょう

富士山の雪解け水をふくみあいふたり海まで流れていった

こんにちわさようならをくり返し最期はほんとみんなさようなら

わたしが大きくなったわけではないが夕日が小さくなった気がする

浄化されてゆく望みきえたとき致死量にいたるまであびる月光

熱せられて消えてゆく薬缶の中にそのままでいたかった私

難破船にのこされたあこがれが南の島の輪郭をかたちどる

かすか伝わろうとする冬の音色さりさりさり雪道を歩めば

つちふまずがほんとうの温もりを知らず泣きはらすアスファルト

折りたたみ式自転車で街をゆくかいだんはたたんで駆け上がる

アンディウォーホルみたいな街がよいねビーグルの仔犬をつれて

かるくコートはおり宇多田ヒカルなんて歌いながら冬街をゆく

白い森の奥でうけとるひとのない紙を吐き出し続けるFAX

星空に近付こうとしてまちがえた星座の名を徐々におぼえる

もう幻想はおやめなさい 病室のしろいベッドのしろい説得

届かない空のことを考えて両の手をコートのポケットに入れる

じゃがいもを剥き終えて人参を刻んだら玉葱に取りかかる

かなしみも感じることのないような余白のなかにまぎれこむ

ありふれた西友のまえにみんなサンタの格好をしてにぎやか

完璧な鳩が羽ばたいていればそのまま見守ってあげてください

すんなりと生きてきたわけではない冬の重たいコートに袖を通す

とりたててみれんもない自叙伝をBOOKOFFまで売りにゆく

産院の待合室でまたひとつ天使がはじまりの鐘をならした

何気なくとっておいたケータイに次々と過去からの着信音

朝焼けは手を差し延べてくれるのでしょうひかりやさしい

帰り道の地下鉄の階段をのぼる四角いそらが居場所だった

玩具のレーザーガンもって公園に集まれば僕ら地球防衛軍

世界の屋上で鳩の言葉のわかる老人となって平和をかたる

日常からの帰り道は竹林に分け入って史上最強の竹刀を作る

カリウムの元素記号が判らない空のティッシュの箱をたたむ

ひかりある動物図鑑さいあいの人類が記される最期のぺージ

黒電話のなりだす夜はどことなくあなたの声から昭和史でした

真夜中のあなたの嘘がきらきらと銀河のようにかがやくのです

どこまでもゆけるETC振り回して海沿いの国道とばせば 朝焼け

銀の橇よ時速300マイルでかっとんで聖夜 配れプレゼント

続きまして、ショートコント。鳩に長距離核弾頭ミサイルを食らわす

続きまして、ショートコント。先送りされてヘリコプターは堕ちてゆく

続きまして、ショートコント。やっぱり三千年の歴史もつ国はしたたか

続きまして、ショートコント。結局は子ども手当ては貰えるのかなあ

そうれいなおわかれの儀式のように雪よしずかにわたくしを包めば

マフラーを買いそこねたクリスマスツリー首筋にLEDを飾っているの

そらの意思をたしかめるようにゆきが北の国境線をこえて 真白く

広義では空の悲しみ狭義ではわたくしの悲しみまよなかの雨

そんなもの大切にとっていても飛べるはずもない風のレプリカ

外はさむい入れてくれって風に呼ばれた気がして窓をあける

まよなかの鏡にうつす背中には銀の羽根など生えそうもない

四十六億年前に生まれたという大地の声を届ける鉱石ラジオ

ある時は風に吹かれて猿岩石あなたは消えた白い雲のように

みんな人間だもの翼なき寂しさが間違えて探し求めた飛行石

ひかりある球体の表面にちまちまと小さな虫がいるのでした

優しさは闇に包まれて地底湖の中でうまれてはしんでゆく魚

明日、天候が許すなら見上げるようなオペラ座の階段を昇る

真っ白い壁にもたれ掛かって、明日とか、未来とか、永遠とか

空には届きそうもない指先を遮って飛んでゆく羽根のある者達

資格情報エラーですゲートは閉じられました現実にお戻りなさい

水のない噴水のとなりは途切れた笑顔と静かに羽根をたたむ少女

深海をもとめておよぎだすわたくしのなかに住むシーラカンスの夜

いそぐわたくしに塀の高みから一瞥をくれて去る猫の尻尾

わたくしの生まれた村は漫然と水を抱える灰色の壁の向こう

さびれたこころを深く包み込む言葉が海であればよかった

夕刊の隅っこに誰からも読まれなかった小ちゃな活字がいた

きえてゆく雪豹が求めたのは誰もいないただただ真っ白な世界

あしたへの押しボタン式信号機 おさずにずっと待っている

ここからが未来の線と決められた 花を捧げて祈るのでしょう

何しようかと問い掛けられてとりあえず映画でも観ようかと答える週末

うすかわの危うき身体むいたら何もかもなくなってまよなか

さよならも告げずにいってしまった黒猫のかわりに鳴きだす黒電話

ほんの些細なぬくもりも拒絶して氷河の街で暮らすひとびと

冬空をわたる双子の北風が高層ビルの手前で東西に別れる

生きいそぐひとたちが乗った電車が通過しますご注意下さい

人波に急かされるように見上げればもう誰も渡らない歩道橋

夕暮れのジャングルジムに跨がってあなたは森を見つけたと言う

夜のテーブルの上に星の欠片が散らばるように零れる金平糖

そこには糸の切れた凧が辿り着く天空の城があるのでしょう

明日あたり向日葵の種を持って最良の中庭を探しています

予言書に書かれている通りわたしはまだ青い林檎をえらぶ

海岸線をあるくふたりが言い間違えてまぎれこむ冬の風景

泣き出した空があります名も知らぬひとも泣き出しています

冬の海きらきらと呼びかける遺されたあなたの言葉のようだ

いまが、いまが、いまがあること まっさらな新雪に残す足跡

ゆれまどう水のからだを通過するこの潮騒は夏のなごりだ

一週間後あなたをつれてやってくる白い雪むしと交わす約束

縞馬の親子が渡るゼブラゾーンに永遠の青信号をともし続けて

群れをなすコントラバスがアフリカの低いうねりに調和する夜

ありったけの首を伸ばして朝焼けを見つめた横浜港の海キリン

聞きようによっては何かしら背徳の響もあるデフレスパイラル

約束の時刻がたまたま合戦と重なってしまい甲冑で失礼致します

さかみちを下る速さで先生も追い越してゆく冬の自転車

あけがたの息を白く吐き出してどことなくはじまる十二月

なんて光る汗が似合うのだろうテレキャスターの指版の上に