電話帳に「ま」のある風景

先日、母が、
「決めた。パソコンの勉強をする。
　メールもできるようになりたい。
　お父さんと練習しよう」
と言い出しました。

正直「またかよ」と思いましたとさ。

確か、目の前にあるお母さん用のパソコン、
「これからはパソコンできるようにならなきゃ」
というあなたの言葉で私が購入したものだけど、
「がってんクラブ」のダイエット記録も、もう飽きちゃって、
最近は起動すらしなくなってるでしょ？

「Ｓさんたちも夫婦で家の中ででもメールして、
練習したんだってよ」
…。お母さん。あなたはこうやって、友人の影響を簡単に受けるけど、
そういうこと、私たちも提案してたって、全く覚えてないでしょう。

たまたまＹさんからショートメールが来ていたので、
「よし、これに返信の練習しよう」
と私が言うと、
「Ｙさんには今日会って挨拶してるからいい、今度で」
と言って、寝転がる。

…。またかよ。
そうやって、後回しにしたら、絶対しないでしょう！
ええ、分かりますよ。だって私はあなたの娘ですから！


「返信はすぐにせなん。
いますぐしよう！」
「何て書くと？」
「そりゃあ、お土産ありがとうございましたとか…」
「お…み…や…」
「書いた？書いたら送信」
「送信て？」
「…」

「おお、初めてメール送ったよ！」
と何となく満足げな母。
…初めて、とな？
ここ数年、メールを姉や妹から母に送ってみたり、
返信するよう声掛けしたりしていたのに…。

まあ、いい。
今回Ｙさんのメールを足がかりに、ちょっとずつ触らせていこう。

ところで、今回、そのＹさんの電話番号が全く違って登録されているのが分かって、
ついでにＹさんのグループの電話登録を調べたら。
電話番号が違っているとか、
同じ人の自宅番号と携帯番号を別々に登録したので同じ名前が二つあるとか、
番号のない、名前だけの登録のがあったりとか。
まあ、ここまでは、予想の範囲でした。
が。
その電話帳の中に「ま」という登録名を発見。
なんですか「ま」って。誰ですか「ま」って。
内容を確認すると、どこかのお店みたいな振り仮名は残っていて、
電話番号も登録されていました。
もう、あまりの状況に、
「『ま』ってなんね！『ま』って…」
と私は笑いすぎて涙がボロボロ。
ああ、久しぶりに本気っで大笑いしたわ。

母は「もう削除していいよ」というんですが、
いや、この「ま」は、姉と妹に見せるまでは、死守するよ、私。

母との携帯での会話は基本5秒前後。
どうにか長引かせようと画策しても、10秒前後。
そんな母と、「今日は遅くなるよ～」
なんてメールを送りあう日がいつか来るといいなあ。