空飛ぶ自由人・2

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小説『マリアビートル』

2022年07月17日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

4日前に紹介した、
伊坂孝太郎「グラスホッパー」の続編
といっても、再登場するのは、
塾講師の鈴木と、
「押し屋」の槿(あさがお)と
謎の毒殺魔の男女のみ。
「鯨」も「蝉」も死んでしまったから、当然か。
「桃」は電話でのみ登場。
「槿」は新幹線には乗らない。

物語の舞台は、
東京駅発、盛岡行きの東北新幹線「はやて」。
ほぼ全編が、この車中だけで展開する。
途中数回しか駅に止まらないから、
この密室の中で閉じ込められたままだ。
いやがおうでもサスペンスが高まる。

乗るのは、
幼い息子に大怪我を負わせた中学生の「王子」に
復讐するべく乗り込んで来た「木村」。
木村はアル中で、今は引退した殺し屋。
「蜜柑」と「檸檬」の二人連れは、
闇社会の大物・峰岸から密命を受け、
峰岸の息子を監禁先から救出し、
持参した身代金を持ち帰るために
息子を連れて盛岡に向かう。
更に、峰岸からの依頼で、
二人の持っている、身代金の入ったトランクを奪うために
乗車した「天道虫」こと、七尾。

東京駅を出発した途端に異変が起こる。
蜜柑と檸檬が連れていた峰岸の馬鹿息子が、
知らない間に死んでしまったのだ。
木村は王子に対面した途端、スタンガンの攻撃を受け、
王子によって捕縛される。
そして、トランクを奪った七尾は、
上野駅で降りようとした時、
七尾に恨みを抱いている「狼」が偶然乗り込んで来て、
下車できずに、大宮まで行くはめになる。
蜜柑と檸檬はトランクを探すために車中をうろつくので、
トランクを何とかしなければならない。

王子というのは、優等生然とした風貌の裏に
悪魔のような心を隠し持っており、
自分からの連絡が途絶えたら、
木村の息子を殺しに行く人材を配備しているという。

天道虫は、何をしてもついていない男で、
悪い方へ悪い方へ転がっていく宿命の持ち主。
仲介役の真利亜(まりあ)から、
いつも「簡単な仕事だ」と言われて、
決してそのとおりにはならない。

檸檬は「機関車トーマス」が好きで、
その蘊蓄に蜜柑がいらついている。

こうして、上野で降り損なった七尾は、
大宮でも仙台でも降りられずに、
ついには終点・盛岡までいくことになるのだが、
その間にトランクの争奪戦と、
何人かの死体が生まれることになる。
大宮では、峰岸から派遣された殺し屋によって、
息子の安否とトランクの確認が行われる。
トランクの中の身代金はどうなる、
馬鹿息子の死体はどうなる、
木村の復讐と息子の運命は・・・
と危機を乗せて、新幹線は盛岡に向かう。

途中、ある二人の人物が乗って来て、
更なる展開になる。

天道虫は英語でレディバグ、レディビートルと呼ばれ、
そのレディとは、聖母マリアのこと。
題名のマリアビートルとはそこからきたもの。

本作は英語でも出版され、評判は上々。
 ブラッド・ピット主演の映画「ブレット・トレイン」として、
公開予定。


予告編を見る限りでは、
随分テイストの違った映画になっている模様。
東北新幹線から東海道新幹線に変更
ブラッド・ピットは七尾役をやるようだ。

 



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