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「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿

2024年04月02日 23時00分00秒 | 音楽関係

ウィーン生まれの世界的ヒット・ミュージカル、
「エリザベート」のコンサート形式の上演。


ハプスブルク王朝ゆかりの
シェーンブルン宮殿で行われた。

シェーンブルン宮殿・・・
オーストリアの首都ウィーンにある宮殿。
ハプスブルク帝国の歴代君主が、
主に夏の離宮として使用した。
現在、同宮殿と庭園群は世界遺産に登録されている。

ミュージカル「エリザベート」は、
ハプスブルク帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフの妃となり、


皇太后との確執の軋轢、
伝統と格式を重んじる宮廷との葛藤で苦しみ、
自由に生きることを望みつつ
革命の勃発、皇太子ルドルフの自殺などに翻弄され、
やがてウィーンを離れヨーロッパ中を流浪する日々を送り、
その旅の果てに
無政府主義者に暗殺された皇后エリザベートの
波乱に満ちた生涯を描く。
中央ヨーロッパにおける帝国支配の終焉と
新時代の萌芽を描いた作品。

ミヒャエル・クンツェ(脚本・作詞) 、
シルヴェスター・リーヴァイ(作曲・編曲) の名コンビによる
美しいメロディと
躍動するスペクタクルに溢れた史劇ミュージカルの傑作

1992年ウィーン初演以来、
日本、ハンガリー、スウェーデン、オランダ、ドイツ、
イタリア、フィンランド、スイス、ベルギー、韓国など、
世界中で翻訳版が上演(14カ国、9言語、観客動員数1200万人) され、
日本でも宝塚歌劇団と東宝による再演が重ねられた
人気ミュージカル。
ただし、アメリカでは上演されていない
ウィーン・ミュージカルはブロードウェイと体質が違うので、
受け入れがたいらしい。
笑いがないとブロードウェイではヒットしないので、
陰鬱のウィーン・ミュージカルはやはり受けない。
「ダンス・ウィズ・バンパイア」は惨敗、
「レベッカ」は上演の予告はあったが、
何時の間にか絶ち消えになった。

 別説には、アメリカ人にはハプスブルク家の話など全く知らないから、とも。

初演から30周年の記念すべき2022年の夏、
登場人物たちが実際に起居した
ウィーンのシェーンブルン宮殿で
欧州のミュジーカル・スターによって演じられた
コンサートの収録映像。

このコンサートは、
2019年に始まったが、
2020年、2021年はコロナ禍で中止になり、
2022年6月30日、7月2日は
3年ぶり2度目の上演となった。
今年も行われる予定。

エリザベートは、マヤ・ハクフォート
エリザベートの少女時代は、アブラ・アラウィ
トート(死)は、マーク・ザイベルト
暗殺者ルイジ・ルキーニは、ダフィット・ヤーコプス
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフは、アンドレ・バウアー
皇太后ゾフィーは、ダニエラ・ツィーグラー
皇太子ルドルフは、ルカス・ペルマンが演じている。
いわばヨーロッパでの「エリザベート」の選抜キャストの趣。
演出は、ギル・メマート
指揮は、ミヒャエル・レーマー
ウィーン劇場協会管弦楽団が演奏。
作曲者のシルヴェスター・リーヴァイが
一曲だけ指揮を振る。

出演者たちはちゃんと扮装し、
動きもついていて、
コンサートというよりはミュージカル舞台寄り。
コンサートの目玉は、
1994年以来、
世界最長期間エリザベートを演じ続けたマヤ・ハクフォート。
ただ、年齢的に少女時代を演ずるのは無理らしくて、
若い女優が演じ、
途中で、入れ替わるという演出。
ただ、それでもしっかりおばさんで、
エリザベート役にはやや無理があった。
トート役はかっこいいし、声もいい。
皇帝ヨーゼフ役、皇太子ルドルフ役も
役柄をよく理解した演技で苦悩が表現されていた。

私は1996年、東京宝塚劇場でこの舞台を観ているが、
全く記憶にない。
キム・ジュンス主演の韓国版は、
3、4回観ているが、
今度のは本家本物のドイツ語版。
ああ、こういう語感で歌われていたのか、
と初めての感覚。
字幕が出るので、ストーリーが良く分かった。

暗殺者ルイジ・ルキーニを狂言回しにし、
エリザベートにつきまとい誘惑する「死」(トート)という
死の抽象概念を擬人化した存在
天才的な設定が生きる

「最後のダンス」、「私だけに」、「闇が広がる」
「ミルク」、「キッチュ」など名曲ばかりの中、
エリザベートが皇帝ヨーゼフとの
心のすれ違いを
積荷も目的地も違う二艘の船に例え、
海上で偶然すれ違うことはあっても、
二人が相容れることは決してないと告げる
「夜のボート」が印象的だった。

「私が旅に出るたびに、
 カモメの群れが船のあとについてきた。
 その中には必ず、
 ほとんど黒に近い濃い色のカモメが一羽いる。
 時にはその黒いカモメが、
 大陸から大陸へと移動する間、
 ずっと私に付き添っていたこともあった。
 その鳥は私の運命なのだと思う... 」
というエリザベートの自作の詩から
「死」が着想されたという。

2時間があっという間に過ぎ、
大変な傑作だと
改めて認識させられた。
これを観れないアメリカ人は可哀そうだ。

ミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイのコンビ作品は、
「エリザベート」の他に
「モーツァルト! 」(1999)、
「レベッカ」(2006)、
「マリー・アントワネット」(2006)などがある。

 



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