空飛ぶ自由人・2

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映画『マッシブ・タレント』

2023年04月01日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジを演ずる
という、珍品の匂いただよう映画。

冒頭、ニコラス・ケイジの映画をビデオで楽しんでいた
政治家の娘が誘拐される。
転じて、ハリウッド。
かつてのオスカー俳優、ニック・ケイジは、
苦境に立たされていた。
作品に恵まれず、
多額の借金を抱え、
妻とは別れ、思春期の娘からは愛想をつかされていた。
泊まっていたホテルから、莫大な請求書が送られ、
ルームキーが取り替えられ、入れない始末。
引退も考えていた。

そこへ、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで
100万ドルが得られるオファーが舞い込む。
借金返済のため渋々受け入れ、
スペインへ飛んだニックを迎えた大富豪ハビは、
ニコラス・ケイジの熱狂的なファン。
二人は意気投合し、友情を深めていく。

ところが、CIAのエージェントがニックに接近して来て、
実は、ハビの正体は国際的な犯罪組織の首領、
政治家の娘誘拐の犯人で、娘を監禁中。
彼の動向をスパイしてほしいというのだ。
ニックは、ハビの書いた脚本を検討するという名目で
滞在を延長してハビの周辺を捜査する。
ハビとの友情を取るか、
それとも国家のために働くのか。
元妻と娘も巻き込み、
俳優人生を懸けた一世一代のミッションの幕が上がる・・・

というわけで、アクションが連続するが、
テイストはコメディ。
「コン・エアー」、「リービング・ラスベガス」(アカデミー賞主演男優賞受賞!)、
「フェイス/オフ」、「ザ・ロック」、「月の輝く夜に」、
「ナショナル・トレジャー」、「ゴーストライダー」
などが話の中に出て来ると、
改めてニコラス・ケイジは大した役者だったのだなあ、と認識する。
「カリガリ博士」や「パテイントン2」などのネタも笑える。

また、ニックの前に、
若い頃のニックが幻影として会話するのも面白い。
デミ・ムーアが変なところで顔を出す。

さて、この話、どう落とし所を見つけるのか、
まさか、「あの手」を使うんじゃないだろうな、
と思っていると、
まさしく「あの手」だった。
まあ、腹も立たないが。

ハビを演ずる俳優が魅力的で、
どこかで見た顔、何の映画だろう、
と思っていたら、
「スター・ウォーズ」のスピンオフ・ドラマ「マンダロリアン」で、


タイトルロールを演じたチリ出身の俳優、ペドロ・パスカルだった。


「マンダロリアン」は、終始マスクを付けて演じて、


気の毒だな、と思っていたが、
シリーズ中、2回だけマスクを取って、顔をさらす。
憶えていたのだから、それだけ印象的だったということだろう。

ニコラス・ケイジが浪費癖で、借金苦だったというのは、有名な話。
2009年には200万ドルの債務不履行で銀行から訴えられており、
未納分税金や延滞分利子および罰金などで
630万ドルを滞納している、などなど。
借金返済のために、
仕事を選ばずに多くのB級映画に出演、
46本もの映画に出たことで、
現在は全ての借金を完済済みだという。

そんな苦境を逆手に取ってた、
自虐ネタ映画
もはや、破れかぶれだが、
昨年4月に全米公開されると、
初登場5位にランクイン、
通算4週トップテンに入り、
更に、全世界67カ国で初登場TOP10入りしたという。
よかったね。

原題の「THE UNBEARABLE WEIGHT OF MASSIVE TALENT 」は、
直訳すると、「巨大な才能の耐え難い重さ」

監督は、トム・ゴーミカン

5段階評価の「3」

角川シネマ有楽町他で上映中。