轟見聞録

表現者・轟ひろたが、学んだことをメモ書きします。(毎週木・日曜更新)

充実

2012-12-24 | Weblog
桑田佳祐のことば


手術の翌日からリハビリが始まった。さらに時間が経つにつれ、体力を回復させるために、病院の廊下を点滴のぶら下がったガラガラを押しながら歩く練習をした。
「今まで胃でやっていたことを、口でやっていかないといけないんですよ」
看護師さんのそんな話を聞きながら、消灯前のうす暗い廊下を歩いていた時、あることに気づいた。
今の自分はこんな姿だけど、こうした日々はむしろ、「これまでの人生より充実しているんじゃないだろうか」と。
ずっと付き添ってくれていた女房の原由子と、廊下の窓から外のビルの明かりを眺めつつ、
「あ、あれ綺麗だね」
などと話すうちに、そんな想いに満たされていく。
仕事などで、ただストレスを溜めながら一日が終わって、
「こんな無茶な飲み方をするなら、DVDの一本でも見ときゃ良かったなぁ」
なんていうかつての日々より、よっぽど目の前が鮮明になった気がした。身体のみならず、ある意味、心の健康も取り戻せそうというか。