轟見聞録

表現者・轟ひろたが、学んだことをメモ書きします。(毎週木・日曜更新)

宮沢賢治「風の又三郎」

2006-04-18 | Weblog
どっどど どどうど
どどうど どどう
青いくるみもふきとばせ すっぱいかりんもふきとばせ
どっどど どどうど
どどうど どどう



(三郎は)歩き出しました。
その時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり、運動場のまん中でさあっと塵があがり、それが玄関の前まで行くと、きりきりとまわって小さなつむじ風になって、黄いろな塵は瓶がさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。
すると嘉助が突然高く言いました。
「そうだ。やっぱりあいづ又三郎だぞ。あいづ何かするときっと風吹いてくるぞ」